――お2人が今着ていらっしゃる衣装はダークカラーを基調としたカッコいいデザインですが、この衣装を身に着けられたご感想はいかがですか?

北原:とてもカッコいいと思いました。6500万年前ではあるんですが、現代とは別の文明が栄えていたという設定で、原始時代というイメージではなくてちょっと未来的なところもありますね。

佐野:その時代に人類の祖先は誕生してないよ、と普通なら笑われてしまいそうなんですが、もっと想像力をはたらかせてみると、今の人間が繁栄するはるか前に「超古代文明」のようなものがあったかもしれないですよね。世界じゅうから掘り出された古代遺跡に、人類の存在をほのめかすようなオーパーツが確認されていたりしますし、まったくありえないわけではない、というところに非常にリアリティがあるんです。

――恐竜がうごめく古代の世界を映像化するにあたって、CGをはじめとするデジタル技術が効果的に使われているかと思います。改めて、本作の特撮映像をご覧になっての感想をお願いします。

佐野:『リュウソウジャー』のテレビシリーズも観ていますが、技術の進歩にはほんとうに驚かされますよ。

北原:映画で恐竜の群れが出てきたときは、あまりの迫力にびっくりしました(笑)。

佐野:僕はフィルム合成~オプチカル処理の特撮映像作品で育っていますからね。実相寺昭雄監督の『帝都物語』(1988年)に出演したときのことですが、ハイビジョンによる合成カットを撮影するため、機材が詰め込まれた大型トラックが2台やってきたのに仰天しました。いまではスマホで4K動画が撮影できるようになりましたからね。時代の流れを痛感します。

北原:合成といえば、グリーンバックを背景にして空を飛ぶシーンを撮ったりしましたね。

佐野:ああいった撮影は楽しいですね。どういう風に合成されるのか、完成した映像を想像しながら演じるのも特撮作品の魅力です。

――共演されたリュウソウジャーのみなさんには、どんな印象を持たれましたか?

北原:とても明るくて、可愛い方ばかりでしたね。テレビシリーズでもそうなんですけど、コウ、メルト、アスナの幼なじみ3人はいつも一緒にいるんです。撮影していないときでも、3人はテレビとまったく同じテンションで、騒いだり笑ったりしていて、自分も子どものころの無邪気な心を思い出させてくれます。

佐野:僕からしたら、里英ちゃんも彼らとそんなに年齢が違ってないんだけどね(笑)。今回、リュウソウジャーのキャストのみなさんとご一緒させていただいてあらためて感じたことなのですが、一番大切なのは熱心であることなんだなと。これまで俳優としてカメラの前に立つ以上は、新人でもベテランでも常に対等な存在だと思ってきました。みんな、がむしゃらに監督からの要求に応えようと必死な姿勢に心動かされましたが、中でも出身地が同じ島根県松江市のリュウソウグリーン/トワ役の小原唯和くんのことは、やはり気になりました。出雲の地の龍蛇つながりも感じて。ここのところ、同郷の役者さんと共演する機会が続いていて、なにか出雲の土地の力といいますが、神秘的な縁を実感しているんです。小原くんとの共演も、ただの偶然じゃないと思っています。

――それでは、佐野さん、北原さんによる『騎士竜戦隊リュウソウジャー THE MOVIE タイムスリップ!恐竜パニック!!』のおすすめポイントを挙げていっていただけますか。

佐野:恐竜時代でヒーローと怪人がアクションを繰り広げる上に、巨大な「怪獣」が出てくるのがいいね!

北原:マイナソーですね。キシリュウジンと迫力満点の対決をしています!

佐野:等身大アクションに巨大怪獣の戦いなど、僕が好きな特撮映画の"いいところ"が全部入っている感じです(笑)。

北原:もう、佐野さんが出演されるのは運命だったんですね。

佐野:ほんとうに、お声をかけていただいてありがたかったです。僕は要所要所で展開の橋渡しをしていく立場だったけど、里英ちゃんは映画の物語を引っ張っていく重要なキャラクターを演じているよね。

北原:そうなんです。子どもたちが観る作品なんだと思うと、いっそう真剣に演じなければと思い、お芝居に気合いが入りました。私がおすすめする見どころは、子どもたちも大人も大好きな"恐竜"が生きていた時代に、もしかしたらユノやヴァルマのような人間が存在していて、人間と恐竜の共存があったかもしれない……という、スケールの大きなストーリーが描かれている部分ですね。そして、ヴァルマとユノ、父娘の"絆"が感じられる場面をしっかりと演じましたので、ぜひご注目してください。

佐野:映画では、6500万年前の恐竜時代から現在まで、"生命"が何らかの形でずっと受け継がれてきたという事実を描くと同時に、もっとも近い生命の受け渡しである「親」から「子」への関係を描いています。映画館には子どもたちと一緒にお母さん、お父さんたちも観にいらっしゃると思いますが、この映画から「次の世代に"生命"を受け渡していく」ことを古代から脈々と受け継いでいき、その流れがあって自分がいまここに存在しているんだということを、子どもたちと共に感じ取っていただけたらうれしいです。6500万年の時を経て、さまざまな生命が受け継がれてきたという……。恐竜という存在がかつて地球上に実在していた生物だからこそ、より"生命"のリアルが感じられると思います。ぜひ、ご家族そろって映画館にお越しください!

■プロフィール
佐野史郎(さの・しろう)
1955年生まれ。島根県出身。1975年、舞台俳優としてデビュー後、テレビドラマ、映画などで個性的な役柄を演じ、注目される。1992年に出演したテレビドラマ『ずっとあなたが好きだった』で桂田冬彦を演じたことで大ブレイクし、「冬彦さん」ブームを巻き起こした。ゴジラシリーズをはじめとする特撮映画のファンであり、『ゴジラ2000ミレニアム』(1999年)『ゴジラ・モスラ・キングギドラ大怪獣総攻撃』(2001年)、『ゴジラFINAL WARS』(2004年)に出演したほか、『ウルトラマンオーブ』(2016年)などの特撮テレビドラマでも独特な存在感を発揮している。
北原里英(きたはら・りえ)
1991年生まれ。愛知県出身。2007年にAKB48 第二回研究生(5期生)オーディションに合格し、AKB48グループのメンバーとして活躍。2018年春に同グループを卒業した後は本格的に女優として活動を始める。映画『サニー/32』『映画 としまえん』や舞台『新・幕末純情伝 FAKE NEWS』で主演を務めたほか、テレビドラマ、バラエティなど幅広く活躍を続けている。

劇場版「ジオウ・リュウソウジャー」製作委員会 (C)2019 テレビ朝日・東映 AG・東映