日本テレビは、新規事業として「日テレアカデミア」を開始した。これは“知的コンテンツ”の集まるサロンというイメージで、YouTubeチャンネルやFacebookページで展開しているもので、同局のアナウンサーがビジネス家庭教師に学ぶほか、最近話題の「Study with me」を実践する動画が、無料公開されている。

そこで今回は、ビジネス家庭教師による1対1の授業で、新たなビジネス思考ツール「OODA(ウーダ)ループ」を学んだ青木源太アナウンサーに、受講してみての感想などを聞いてみた――。

  • 日本テレビの青木源太アナウンサー

    日本テレビの青木源太アナウンサー

■番組への意識が変化

「知的好奇心はあるほうです」という青木アナは、今回の授業について「カメラが回ってるのをそんなに意識せず、自分の気になったことを聞いていったので、本当に知的好奇心がくすぐられてとても楽しかったです」と感想。テレビ番組の収録と違って台本も進行表もなく、「36歳、入社して14年目という自分の素直な疑問を直接ぶつけて、それに全部お答えいただけたので、あっという間でした」と、充実の表情を見せた。

また、「インプットしないとアウトプットできなくなるので、普段から本を読んだり雑誌読んだりしてるんですけど、時間をとってどこかで何かを学びにいくというところまでいけないので、僕もこういう動画があったら見たいなと思いますし、そういうちょっとしたインプットになればいいなと思いながらやりました」と、視聴者側としての印象も語る。

アメリカの軍事戦略家が提唱したという「OODAループ」を学んで、「今までは、自分の出演コーナーだけとか、自分のコメントだけに精いっぱいになっていたんですけど、立場がどんどん変わっていって、スタッフも自分より年下が増えるという中で、アナウンサーという演者の立場だけれども、番組運営全体もプロデューサー目線をちゃんと持ってスタッフの働き方とかまで目を配れるようにならなきゃなと思いましたね」と、さっそく意識が変わったそうだ。

  • 日テレアカデミア理事の眞邊明人氏(右)から授業を受ける青木アナ

■すごいと思う人は学び続けている

日テレのアナウンス部では、自主的にさまざまな勉強会を立ち上げて、番組の収録がないアナウンサーが参加しているのだそう。そのジャンルは、東京五輪、皇室など多岐にわたり、同局が中継を担当する『ラグビーワールドカップ2019日本大会』(9月20日開幕)を前に、ラグビーの審判員を呼んでの開催も予定しているという。

しかし、この取り組みは、あくまで番組につながることを目的としているため、「(MCを担当する)『バゲット』では、もちろん専門分野としてエンタメに誰よりも詳しくなければいけないという気持ちはあるんですけど、同時に自分のいろんな将来設計を考えたときに、それだけでもダメだと思うので、アナウンサーとして人間として幅を広げるために、いろんなインプットをしていきたい」という青木アナにとって、「日テレアカデミア」は貴重な機会になっているようだ。

そうした“学び”の意欲がわいてきたのには、官僚や金融関係の仕事をしている大学の同級生がMBA(経営学修士)を取得したなど、周囲のキャリア形成の話を聞いて刺激を受けた部分もあるという。

「テレビの出演者の方もそうなんですけど、すごいなと思う人は、その地位にあぐらをかかずにずっと学び続けてるんです」といい、具体的に「例えば加藤浩次さんは、本当に毎日毎日学んでる。しかもあの人は『がっちりマンデー!!』(TBS)という番組でいろんな企業の社長と話をしてるんですよね。それはどんなMBAより良い授業を受けてると思います」と、『スッキリ』を毎日切り盛りする背景を分析した。

「ビジネス家庭教師シリーズ」では、青木アナが授業を受けながら取るノートの中身が、タブレット端末を使うことによってそのまま映し出される。「めちゃくちゃ恥しいですよ(笑) 字って今書かないから、当たり前のような漢字も出てこないんですよね。この前『撮影』っていう漢字を書こうとしたのに『影』をなぜか『映』って書いていて。絶対これだろうと思うんだけど、ちょっと変だなって思ったり(笑)」と、予想外の方面からプレッシャーを感じながら受講している。

青木アナは次回、「桶狭間の戦い」の失敗と成功を学ぶ授業を受けることになっており、以降も古今東西の戦略を学んでいく予定。その“達筆(!?)”ぶりにも注目だ。

■「新しい発見」「狭い世界にいた」

「日テレアカデミア」では他にも、視聴者の勉強のお供に、人が勉強している姿を映す「Study with me」に岩田絵里奈アナが登場する「Study with meやってみた」も公開中で、岩田アナは「でき上がった動画を見て、自分はこんな表情で仕事や勉強をしているのだなぁと不思議な感覚になりました。新しい発見でした」と感想をコメント。

今後は、中島芽生アナの進行による、企業内研修で“定番”となっている人気講座のeラーニング用動画教材を公開する「定番の教科書」も配信する予定だ。まず配信されるのは「異文化コミュニケーション講座」で、中島アナは「新しい知識を聞いて、自分が狭い世界で仕事をしていることを痛感しました。身近な例や、すぐにできるアドバイスを頂いたことで、外の世界に出て行くことへのハードルがグッと下がったように思います」と語っている。

  • 岩田絵里奈アナ

  • 中島芽生アナ(右手前)