最近、政治家などが、「○○のスキームを確立して」などと発言しているのを耳にすることがありますが、「スキーム」がどんな意味を持つ言葉なのか、知らない人も多いのではないでしょうか。

  • スキームの意味や使い方を正しく理解していますか?

    スキームの意味や使い方を正しく理解していますか?

そこで今回は、カタカナビジネス用語スキームの意味や使い方について解説します。

スキームの意味とは

スキームは、「計画」「事業計画」「陰謀」「仕組み」「体系」などの意味を持つ英語【scheme】から来たカタカナ用語です。

一般的なビジネスシーンでは、主に「枠組みを持った計画」という意味になりますが、経済や政治の分野では「基本計画・基本構想」という意味で用いられます。また、アメリカなど、国によっては「陰謀」という意味で捉えられてしまうため、使う際には注意が必要です。

スキームの使い方と例文

さまざまな意味を持つスキームですが、いずれにしても、計画に関わる場面で使用する言葉になります。では、具体的にどのように使うのでしょうか。

ビジネスシーンでの使い方と例文

前述のとおり、一般的なビジネスシーンでは枠組みを持った計画という意味で使用されます。「枠組み」とは、「骨子」「仕組み」「ひな形」といった言葉に置き換えることができ、「枠組みを持った計画」は、ある目的を達成するためにどう行動していくかという具体的な手順や仕組みが備わった計画を意味します。

例文

  • 新規事業のスキームを作成し次のミーティングまでに提出してください。
  • 仕事内容のスキームについて無理があるので無理があるので改善を要望した。

また、ビジネスシーンで使用する場合には、何に対するスキームなのかを「○○スキーム」という形で表現するのが一般的です。例えば、市場を開拓し、利益を得るまでの仕組み(ビジネスモデル)を「事業スキーム」あるいは「ビジネススキーム」と呼びます。

ほかにも、「評価スキーム」「課金スキーム」「認証スキーム」などがあり、いずれも「仕組み」に置き換えてみるとイメージしやすいと思います。

経済や政治関係での使い方と例文

経済や政治分野では、「基本計画」「基本構想」といった意味で使用されます。実際に、経済や政治の場で使用されたスキームの事例を、いくつかご紹介しましょう。

例文

  • メイ英首相が、EU治安維持スキームからの離脱に懸念を示した。
  • 経済産業省は、IT人材育成の取り組みとして「産学連携によるワンストップ育成スキームの確立を目指す」ことを発表した。
  • 安倍総理は「未来投資会議」にて、「乗り合いバスなどについて共同経営を認め、町の中心部における頻度の高い便数の適正化を図れば、その収入を調整することにより、低需要の路線を維持することが可能となります。これは、地域の皆さんの利便性向上につながります。地域において、関係者による協議会を設置することを前提にした、新たなスキームを実現したいと考えています」と述べた。

陰謀という意味で

【scheme】の元々の意味にもあるように、スキームは陰謀という意味を持っています。特に、アメリカでスキームといえば、陰謀という意味が一般的であるため、アメリカ系の企業とのビジネスにおいては、安易に使用しない方が無難です。

ちなみに、イギリスでは、日本と同様に「公共計画、案、計画」といった意味で使われています。国や文化の違いによって、異なる解釈になる点に留意しましょう。

「スキーム」のつく言葉

スキーム構築

文字通り、「枠組みを持った計画(スキーム)」を構築することを指すビジネス用語です。

スキームオブアレンジメント

英国における会社法上の組織再編制度の一つを指すM&A用語です。組織再編のために裁判所の認可を経た上で、対象企業の株式の買い付けや会社分割、債務再編といった計画を行う仕組みのことを指します。

カラースキーム

色彩計画のことです。インテリアやWebページなど、目的に合わせて配色を行うための設計を指します。

スキームと「プラン」の違い

ビジネスシーンでは、社内会議などで「来月までに、新たに50件の契約を取ろう」などと計画を立ててはみたものの、どのようにして達成していくのかという具体的な戦略が定まらないこともあるでしょう。

このように、まだ構想段階の途中にある計画や、具体的な行動計画が定まっていないものは、単なる「計画【plan】」でしかありません。

これに対しスキームは、計画を達成するまでにどう行動していくかを示した仕組みが伴っている計画を指します。プランも、何かしらの目的をもって計画されていることに違いはありませんが、スキームの方がより具体的な行動計画が示されている印象になるでしょう。

また、スキームは、一時の計画に終わらず「組織として今後も継続的に実行される見込みがある」ことを前提に使用される言葉です。

例えば、先述の「事業スキーム(事業計画)」は、1~5年先の目標や戦略等を描いたもので、事業の目標を実現するために組織全体で長期にわたって継続していくものになります。そのため、終われば継続することのない旅行の計画は、旅行プランであって、旅行スキームではありません。

スキームは、プランよりも綿密かつ継続的な計画である点を、押さえておきましょう。


今回はスキームについてお話ししましたが、いかがでしたでしょうか。スキームは、相手によっては陰謀という意味で解釈されることもあるため、自分から安易に使用することはおススメしませんが、誰かに言われて理解できないようでは困ります。

プランとの違いも含め、しっかりと頭に入れておきましょう。