近鉄グループホールディングスは25日、沿線の重要観光地である伊勢志摩エリアの志摩地域において、今秋から観光地型MaaS(Mobility as a Service)「志摩MaaS」の実証実験に取り組むと発表した。

  • 写真は賢島行の近鉄特急

また、志摩市との間で「志摩MaaSに係る連携協定」を締結し、両者が連携して事業推進を図るとともに、「志摩MaaS」に参画する交通・観光事業者、三重県、学識経験者などによって構成される「志摩MaaS協議会」を立ち上げ、地域一体となって「志摩MaaS」構築をめざす。

今回取り組む「志摩MaaS」の実証実験では、志摩地域における近鉄特急の停車駅(鵜方駅・賢島駅)と周辺観光地を結ぶタクシー・バス・英虞湾舟運など二次交通の利便性向上を図るとともに、新たな着地の観光体験やイベントを組み込んだ着地型旅行商品を造成し、志摩地域の観光地としての魅力向上を図る。

近鉄と二次交通の乗車券類のほか、着地型旅行商品の検索・予約・決済など一連の購買アクションのシームレス化を図るためのMaaSアプリを開発し、志摩地域に関する観光商品が近鉄沿線エリア(駅)だけでなく、全国・全世界どこでも簡単にMaaSアプリを通じて購入できるしくみを提供する。

実証実験は2019年度中に秋・冬の2回に分けて実施する予定。1回目(秋)では、タクシー・バス・英虞湾舟運など二次交通のオンデマンドのサービス提供を行い、需要や運営上の課題を研究する。2回目(冬)では、MaaSに関する一連のシステム(検索・予約・決済)の開発とその運用実験を行うとともに、鉄道でのデジタルフリーパスや着地型旅行商品のサービス提供を行う。

2019年度の実証実験の結果をもとに、伊勢志摩(伊勢・鳥羽・志摩)エリア全体での観光地型MaaSの提供を検討するとともに、将来的には近鉄沿線の奈良大和路をはじめとする他の観光地についても導入を検討する。

今後、2025年に大阪・関西万博が開催されるほか、同時期に大阪では統合型リゾート(IR)の誘致も進めており、2027年にリニア中央新幹線東京~名古屋間開業も予定される。これらのチャンスをとらえ、国内外から観光客を伊勢志摩へ呼び込むべく、「志摩MaaS」の推進などを通じて伊勢志摩の観光地としての魅力向上に努めるという。

なお、今回の実証実験については、6月18日に国土交通省がMaaS等新たなモビリティサービスの推進を支援する「新モビリティサービス推進事業」の「先行モデル事業」に選定されている。