春から新しい部屋で暮らしはじめた人も、そろそろ生活に慣れてきた時期。そんななか、「生活音」「騒音」の問題が気になり始めている人もいるのではないでしょうか。

物件見学の時には気が付かなかったものの、実際に暮らしてみると隣の部屋から聞こえる音が気になる、という人は実は多いもの。これからでもできる対処法と部屋探し時の注意点をご紹介します。

  • 住まいの音問題、どう対処したらいい?(写真:マイナビニュース)

ひとり暮らし女性の5人に1人が近隣トラブルを経験。最多は騒音

マンションやアパートなどの集合住宅で暮らす上で避けて通れないのが、生活音の問題です。少々の生活音であれば「お互いさま」という気持ちになりますが、真夜中だったり、毎晩続いたりすると、「嫌だなあ」「気になる……」ともやもやした気持ちになるもの。

こうした生活音の問題に悩む人は多く、日本情報クリエイトが実施したアンケート調査によると(※)、ひとり暮らしの女性のうち約5人に1人が近隣トラブルを経験していて、その多くが騒音だそう。

ただ一口に「騒音」といっても種類があり、ドスドスという足音、お酒を飲んで夜中まで騒いでいる声、洗濯機や掃除機の音、大音量の音楽、赤ちゃんの泣き声、ペットの吠える声などさまざま。我慢できる範囲であればいいですが、ひどいと「うるさくて眠れない」ということも。深刻な状態になる前にまずは、大家さんや管理会社に音の問題で悩んでいることを伝えましょう。

管理会社の連絡先は契約書類に記載されていますが、もし書類をなくしてしまった場合はエントランスなどの掲示物に書かれた「管理会社」の名前を探し出しましょう。また、水道やガスのメーターなどに連絡先が書かれていることもあります。

とはいえ、管理会社に単に「音がうるさい」と伝えてもなかなか真剣味が伝わりません。何時頃、どんな種類の音、発生元はどの部屋とあらかじめメモをとっておくとスムーズに話せます。また、騒音がひどいようであればスマホで録音しておくと客観的な証拠として残すことができます。

ちなみに、自身で騒音発生元の部屋に行って注意するという方法もありますが、当事者同士で話し合うことで、大きなもめ事やしこりが残る可能性もあります。トラブルを回避するためにも、直接注意するのはあまりおすすめできません。

防音対策には限界が。最悪は引っ越すという選択肢も

大家さんや管理会社に注意を依頼したとしても、あくまでも部屋に住む人への「お願い」なので騒音が止むとは限りません。場合によっては「数日は静かになったけれど、結局、もとに戻った」「かえってひどくなった」ということもありえるでしょう。

そこで考えられる自衛手段としては、自室に防音・吸音シートを設置する(貼る)方法があります。伝わってくる音の種類にもよりますが、最近では壁や床に設置できる防音パネル・吸音シートが数千円から販売されているので、DIYで設置するとよいでしょう。細い虫ピン、養生テープなどで手軽に施工できますし、退去時にも原状回復が可能です。

また、音が伝わってくる「窓」の対策として、防音機能のあるカーテンにする、または賃貸でも設置できる二重窓という方法もあります。ただ、窓、壁、床は面積も大きいのでしっかり対策しようとすると数万円単位での出費であることは間違いないですし、「なぜ私がここまでしなくてはいけないの…?」という気持ちにもなることでしょう。騒音を出している人との感覚の違い、生活時間のズレなどもあり、なかなか難しい問題です。

一度、騒音、生活音が気になりはじめると、くつろぐことができず、大きなストレスになります。どうしてもイライラし、不満が溜まるようであれば、引っ越すのが根本的な対策かもしれません。防音性能を求めるのであれば分譲賃貸(分譲マンションの一室を賃貸している)を探していくのがよいでしょう。

また、窓が二重サッシになっていると防音性能が高くなります。部屋探しの時に「音が気になるので二重サッシを採用している部屋を希望している」ことを伝えましょう。ただ、分譲賃貸や二重サッシの部屋は、数が少ないのが難点です。こまめにサイトをチェックしておき、見かけたらすぐに内見を希望するのが良いかもしれません。

内見の際は「バルコニーの様子」「エントランスの清掃状態」「ゴミ置き場」の状態を確認しましょう。ゴミが出しっぱなし、荒れた雰囲気になっていると、暮らしぶりが乱れて、騒音などの生活トラブルが起きやすいといわれています。騒音問題は住み心地に直結します。たかが「音」ではなくしっかり耳でも確認して、心地よい住まいを見つけてくださいね。

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嘉屋恭子

フリーライター。編集プロダクションなどを経て、2007年よりフリーランスで活動。主に住まいや暮らしに関わる分野で取材・執筆を続ける。FP技能士2級取得