東京2020組織委員会は、6月10日、パラリンピック競技のボッチャをしながら算数を学ぶ、『東京2020 算数ドリル』実践学習会を江東区立第二亀戸小学校で実施した。

同競技のリオパラリンピックなどで銀メダルを獲得した廣瀬隆喜選手と、2018 ISE Boccia Regional Open団体戦で優勝した蛯沢文子選手も参加し、児童たちがパラリンピック正式種目ボッチャを体験した。

  • ボッチャをしながら算数を学ぶ、『東京2020 算数ドリル』実践学習会が行われた

    ボッチャをしながら算数を学ぶ、『東京2020 算数ドリル』実践学習会が行われた

 苦手な算数の授業もオリ・パラ競技で楽しく学ぶ

東京2020大会の全55競技を取り入れた問題で構成される『東京2020 算数ドリル』は、今年度、都内の全公立小学校1,273校の小学6年生(約10万人)に配布。算数を学習しながらオリンピック・パラリンピック競技についても学べるドリルとして、現在、千葉県市川市や静岡県の全公立小学校などの自治体でも活用されることが決定している。

今回の実践学習会に参加したのは江東区立第二亀戸小学校6年1・2組の児童63名。オリンピックで12競技10会場、パラリンピック8競技7会場がある江東区は、ボッチャ交流行事推進事業の実施地区になっていることなどもあり、今回の実践学習会が実現したという。

ボッチャは最初にジャックボール(目標球)と呼ばれる白いボールを投げた後、赤・青のボールを投げたり、転がしたり、他のボールに当てたりして、ジャックボールにいかに多く近づけるかを競う。“地上のカーリング”とも呼ばれ、ジャックボールの位置が毎回変わり、途中で弾いて動かすこともできる点が特徴だ。

  • ボッチャを体験する小学生たち

    ボッチャを体験する児童たち

この日に向けてボッチャの練習を重ねてきた児童たちは男女混合チームに分かれ、投げたボールとジャックボールまでの距離を測定。団体戦形式でチーム毎に平均距離を求めて勝敗を競った。

  • 投げたボールの飛距離を図る

    投げたボールの飛距離を測る

  • 投げたボールの平均距離を計算した

    投げたボールの平均距離を計算した

実践学習会では両選手が実演する一幕もあり、プロの正確な技を目にした児童たちは大きな拍手を送っていた。

  • ボッチャの実演をする蛯沢選手と廣瀬選手

    ボッチャの実演をする蛯沢選手と廣瀬選手

実践学習会後、「算数が苦手」というある児童は、「いつもだと(授業の)時間がすごく長く感じるんですけど、全員でボッチャをやった後に計算したので、計算の時間も楽しかったです」と感想を述べた。

安田照雄校長は「(東京2020大会に対する)子どもたちの興味・関心も高まりましたし、私たち教員も含めて期待が高まりました。1年後に子どもたちがテレビや会場で廣瀬選手や蛯沢選手の活躍を見たとき、必ず今日のことを思い出すだろうなと。あの子たちが大人になってからも残るようなレガシーを今日残していただいたと思います」と、振り返った。

競技に打ち込む子どもたちの様子を笑顔で見守っていた両選手。時折、児童にアドバイスする場面もあったが、廣瀬選手は囲み取材で「計算をしながらボッチャやいろんなパラスポーツを楽しめるという機会は、すごくいいと思います。アドバイスすると子どもたちの吸収が早くて。どんどん上手くなっていくなと思いました」とコメント。

  • 蛯沢選手(左)と廣瀬選手(右)

    蛯沢選手(左)と廣瀬選手(右)

「子どもたちが上手で驚いた」という蛯沢選手は、「(この算数ドリルを通して)いろんな競技があるということも分かっていただけると思いますし、実際にボールとボールの距離を測るなど、実際に体験して学習もできていいなと思いました」「(競技や選手のことを)身近に感じてもらえると競技の見方も全然違うかなと思います」と、今回の実践学習会の意義を語っていた。