5月13日、東京都中央区の明正小学校にて「東京2020算数ドリル」の実践学習会が開催された。学習会には、元バルセロナ五輪男子バレーボール日本代表の大竹秀之さん、元アテネ五輪女子バレーボール日本代表の大山加奈さんも参加。バレーボールと算数をかけ合わせた特別授業で子どもたちのひらめきを引き出した。

  • 「東京2020算数ドリル」実践学習会が開催

オリンピアンとともに運動しながら算数を学ぶ

「東京2020算数ドリル」は、子どもたちがスポーツの魅力を感じながら楽しく算数を学習できるようにと東京2020組織委員会が制作した教材。2019年版ドリルは、オリンピック競技に関連した問題を収録する上巻、パラリンピックに関連した問題を収録する下巻で構成されている。

  • 東京2020組織委員会が制作した「東京2020算数ドリル」上下巻

このほど明正小学校で行われた学習会には、同校の6年生が参加した。まず先生から出題されたのは、「バレーボールの選手は、自分の身長の何倍の高さまで手が届くでしょうか」という問題。身長208cmの大竹さんと身長187cmの大山さんが実際に垂直飛びをして壁に貼った白い紙をタッチし、その高さから問題の答えを計算してみることに。その結果、「2人とも身長の約1.5倍の高さまで手が届く」という答えが得られた。

  • 身長208cmの大竹秀之さんは、ジャンプして310cmの位置まで手が届いた

  • 身長187cmの大山加奈さんがジャンプして手が届いた高さは280cm

この答えを踏まえ、先生は「オリンピックに出た選手は自分の身長の1.5倍の高さまで触れますが、みんなはどれぐらいの高さまで触れますか」という新たな問題を出題した。生徒たちはグループに分かれて垂直飛びの高さを計測し、1.4~1.6倍という解答を算出。「身長は違うし、飛んだ高さも違うけど、みんなだいたい1.5倍の高さまで手が届く」という答えを導いた。

  • 子どもたちも垂直飛びを実践

  • 大竹さん、大山さんも子どもたちとともに飛んだ高さを計測した

明治とオリンピアンに食事の大切さを学ぶ

続いて、全日本女子バレーボールチームの栄養管理や食事のサポートを行っている明治によって食育の特別授業が行われた。

授業では「夢を実現するには丈夫な体が必要」であること、「丈夫な体を作るためにバランスのよい食事を取ることが重要」であることが説明され、バランスのよい食事の例として給食が挙げられた。

大竹さんは好きな給食のメニューとして「肉や魚が好きですが、基本的に何でも残さず食べていました。みんなも残さず食べられるよう頑張ってください」とコメント。大山さんは「私は食べることが大好きなので給食が大好きでした。とくに牛乳が大好きで、お休みの子がいるとその子の分の牛乳の取り合いをしていましたね」と当時を振り返った。授業終了後には、大竹さんが生徒たちと一緒に給食を食べながら交流する場面も。

  • 明治によって行われた食育授業では、食事の役割と大切さが語られた

  • 生徒たちとともに給食を楽しみながら談笑する大竹さん

生徒の代表の1人として取材を受けた村山ゆうさんは、特別授業の感想を「オリンピックやパラリンピックに絡めた問題がいっぱいあって、苦手な算数が少し楽しそうに思えました。このドリルで算数のことがもっと好きになれたらいいと思います」と話した。

大山さんは「ジャンプの高さを計測して、子どもたちと私たちの数字に共通点があったことで選手のことを身近に感じてもらえたと思いますし、『僕も私も頑張ればオリンピック選手になれるかもしれない』と感じてもらえたんじゃないかなと思います」と授業を振り返る。

大竹さんは「子どもたちの取り組む姿勢がすごくよかったなと感じました。途中、計算間違いをしている子もいましたけど、それを周りの子たちが助けてあげることができていて、良い意味での繋がりを持っているなと思いました」と子どもたちと触れ合った感想をまとめた。