ボーナスの手取りを増やすためのコツ

ボーナスから控除される額を抑えられれば、手取り額がより多くなることがおわかりいただけたと思います。しかし、ボーナスの額面金額はもとより社会保険料などは自分で調整できるものではありません。

それでも、所得税の金額が前月給与の額に基づいて計算されることがわかれば、調整の余地はあるかもしれません。ここでいう給与の額とは、毎月一定の額が決まった基本給や職能給などだけではなく、通勤手当や残業手当などの諸手当も原則として含まれます。

ということは、残業代をはじめとした諸手当を抑え、できるだけ前月給与を増やさないようにして、税率の段階を下げることができれば、ボーナスから引かれる税金を少なくすることができるでしょう。

年収ベースで手取りを多くすることも考えよう

前月給与の調整でボーナスから引かれる所得税が少なくなるのはうれしいことです。しかしながら、所得税はその年の1月~12月の所得に対してかかるもの。会社員が給与やボーナスから徴収されている所得税は暫定的な金額で、年末調整で確定した所得税額によって還付されたり、追徴されたりするものです。

つまり、一時的にボーナスからの所得税額を抑えられても、年末調整の結果によっては意味がなくなる可能性もあります。それならば、ボーナスにこだわるよりも年間ベースで手取り金額を増やすことを検討してはいかがでしょうか。そのためのポイントはいくつかあります。

1つ目は「所得控除を増やす」ことです。必要最小限の範囲で保険に入って生命保険料控除を利用する方法もあります。老後の貯金と思ってiDeCoに加入し、所得控除を増やす方法もあります。

2つ目は、毎月の給与から引かれている「社会保険料の金額を少なくする」ことです。給与から徴収される社会保険料の金額は、毎年4月~6月までの平均給与で決まる標準報酬月額に基づき決定されます。つまり、4月~6月までの3カ月間、残業を減らして平均給与を抑えることで1年分の社会保険料を少なくすることができるかもしれません。結果的に手取り年収の減りを抑えることにつながります。

一般的にボーナスは支給額が大きいだけに、手取り額とのギャップを感じてしまうものですが、今回紹介した控除額計算の仕組みを知れば、手取りの概算額はつかめるでしょう。これから使い道を考えるときには手取り額で検討するようにできればいいですね。

そして何より、賢い工夫と対策で、少しでも手取り年収額を増やすのが得策ではないでしょうか。

※写真と本文は関係ありません

■ 筆者プロフィール: 續恵美子

女性のためのお金の総合クリニック「エフピーウーマン」認定ライター。ファイナンシャルプランナー(CFP)
生命保険会社で15年働いた後、FPとしての独立を夢みて退職。その矢先に縁あり南フランスに住むことに――。夢と仕事とお金の良好な関係を保つことの厳しさを自ら体験。生きるうえで大切な夢とお金のことを伝えることをミッションとして、マネー記事の執筆や家計相談などで活動中。