南海電気鉄道は20日、諏訪ノ森駅西駅舎の卒業セレモニーを行った。当日は諏訪ノ森駅を管轄する泉大津駅の駅長をはじめ、関係者や地元小学生が参加した。
諏訪ノ森駅は1907(明治40)年に北濱寺駅として開業。翌年、現在の諏訪ノ森駅に改称された。1919(大正8)年に駅が移設された際、現在の西駅舎が建てられた。
西駅舎は木造平屋建てで、入口上方にある明かり取り窓に5枚のステンドグラスがはめ込まれている。現存する木造駅舎として希少性が高いことから、1998(平成10)年には浜寺公園駅の旧駅舎とともに、大手私鉄で初という国の登録有形文化財に登録された。西駅舎の外観は堅牢だが、ステンドグラスなどの装飾はモダンな印象を受ける。
約100年にわたって地元に愛されてきた諏訪ノ森駅西駅舎も、現在行われている「南海本線(堺市)連続立体交差事業」の進捗にともない、5月24日の営業終了をもって閉鎖となる。今回の卒業セレモニーも西駅舎の閉鎖に合わせて行われた。今後、駅舎は移設され、来場者の集い・憩いの場などとして保存活用されるという。
卒業セレモニーでは、諏訪ノ森駅を管轄する泉大津駅駅長、横田寛人氏が挨拶した。「ひとつ南隣にある浜寺公園駅と同じように、駅舎としての役割を終えても、いつまでもこの地で地元の皆様にご利用いただけるとのことで、本当に幸せな駅舎だと思います」と述べ、駅舎としての役割を終えた後も再利用されることへの喜びを表した。
地元代表として挨拶した浜寺校区自治連合会会長、井手口満昭氏は、かつて南海本線を走った貨物列車や、1985(昭和60)年まで運行された旧国鉄紀勢本線直通の「きのくに」に触れつつ、長きにわたる西駅舎との思い出や高架化への期待を語った。
「卒業証書授与」では、地元の堺市立浜寺小学校の児童代表から横田駅長へ、卒業証書を授与。西駅舎への感謝の気持ちを込め、児童たちによる合唱も行われた。
諏訪ノ森駅では5月25日の始発列車から仮駅舎の供用を開始する。南海本線(堺市)連続立体交差事業の完成は2028年3月末の予定。計画では、南海本線石津川~羽衣間のうち約2.7kmが高架化され、諏訪ノ森駅と浜寺公園駅は高架駅となる。