社会人になってから数カ月、「あの人はプロパーじゃないわよ」という会話を耳にした。プロパーってどういう意味?
というわけで今回は、「プロパー」の意味とともにメリット・デメリットについてもお話しします。
プロパーの意味
プロパーは、「正規の」「本来の」「特有の」「ちゃんとした」などの意味を持つ英語【proper】から来たカタカナ用語です。日本のビジネスシーンでは、「プロパー社員」のことを指す場合がほとんどです。
各分野におけるプロパーの意味
一般的なビジネスシーンでプロパーといえば、多くの場合プロパー社員を指し、主に身内同士のやりとりで用いられます。
「プロパー社員」の意味は、大きく分けて3つです。
1.中途採用や出向中の社員と区別して「新卒入社の社員」
2.非正規労働者と区別して「正社員」
3.協力会社などの外部スタッフと区別して「自社社員」
特に、IT業界ではこの3つ目の意味で使われています。また、製薬会社でプロパーといえば、病院などに新製品の宣伝・販売を担当する医療情報担当者(MR)のことを指します。
プロパーの付く用語
プロパーは、他の言葉と組み合わせて用いられることが多く、その代表的なものとして、プロパー社員、「プロパー商品」といった言葉が挙げられます。いくつかご紹介しましょう。
プロパー商品
卸売業者から小売業者に卸される正規の商品のこと。
プロパー価格
値下げ・割引をしない正規の価格のこと。セール価格・バーゲン価格の対義語。
プロパーカード
他社と提携せずに、国際ブランドが直接発行する独自のクレジットカード。
プロパー融資
信用保証協会の保証を付けずに、直接銀行からお金を借り入れる融資のこと。通常は、保証が付いた保証付融資が一般的。
○○学プロパー
学問の分野では「○○学プロパー」という形で、「○○学を専攻している人」「○○学本来の」「○○学固有の」といった意味になります。
たとえば、「社会学プロパーの問題だ」といった場合は「社会学固有の問題だ」という意味に、「経済学プロパーの学生を対象に」は「経済学を専攻している学生を対象に」という意味になります。文脈によって意味が異なりますので、注意しましょう。
プロパー社員のメリット
プロパー社員のメリットといえば、新卒の時から一貫して同じ企業で働いていることから、企業への帰属意識が高いといえます。また、入社時の同期との絆をはじめ、上司や他部署の人たちとのつながりも自然と築き上げられることから、社内に良いチームワークが生まれ、業務がスムーズに遂行されやすいというメリットもあります。
また、プロパー社員本人にとっては、待遇や給与面で優遇されるケースも少なくありません。
プロパー社員のデメリット
一方、デメリットとしては、一から仕事を教えるための手間とコストがかかる上に、せっかく育ててもすぐに離職されてしまうというリスクが考えられます。
また、1つの企業でしか働いたことがないために経験値が浅く、仕事の幅や視野が狭くなってしまう傾向にあります。ゆえに、中途採用の社員に比べて、突発的あるいは多種多様な仕事に柔軟に対応できないほか、保守的で新しい方法を受け入れようとしない、チャレンジしない、新たな発想が浮かびにくいといった欠点があるといえるでしょう。
さらに、プロパー社員と他社員との間でいざござを生じるケースも少なくありません。プロパーのメリットで同期との絆やチームワークの良さを挙げましたが、裏を返せば派閥ができやすく、中途採用者を受け入れようとせず閉鎖的であるということで。結果、職場に馴染めず、中には退職してしまう人もいるようです。
立場の違う者同士が協力できる職場環境とは
プロパー社員と中途採用者との軋轢は、企業にとっては大きな問題です。しかしながら、立場の違う者同士が働く環境を逆手にとり、良い方向に舵を切ることができれば、企業の発展につながるはずです。では、具体的にどうすればよいのでしょうか。
端的に言えば、先に述べたプロパー社員との壁や差を小さくするよう努めることです。まずは、勤続年数・年功序列にとらわれない平等な評価制度や、実力のある非正規社員を正社員として雇用する制度を構築することです。
また、双方が交流を持てる場を意図的に作ってあげることも大切です。社内イベントや、課内会議・研修会などを定期的に開催するのも良いでしょう。コミュニケーション作りだけでなく、それぞれに培ってきた知識やスキルに基づいて意見を出し合い、互いの良い点を吸収するという相乗効果も期待できます。
さらに、中途採用者には同期と呼べる仲間がいません。同世代のプロパー社員が、中途採用者を同期に紹介してあげるなど、積極的にサポートしてあげたいものですね。
若手社員を中心に、1つの企業で働き続ける意識が低い傾向にある現代、プロパー社員と中途採用者が協力し合えない企業は、いずれ衰退してしまうかもしれません。
人と人との関わりが薄れゆく今こそ、従業員同士のコミュニケーションを今一度見直してみてはいかがでしょうか。