春から社会人の仲間入り。早速、入社式とオリエンテーションの案内文書が届いたけど、「オリエンテーション」って、いったい何するんだろ? というわけで、今回は「オリエンテーション」の意味と役割についてお話しします。

  • オリエンテーションの意味を理解していますか?(写真:マイナビニュース)

    オリエンテーションの意味を理解していますか?

オリエンテーションとは

オリエンテーションとは、「方位、指標」「自己の位置づけ、新しい環境への適応・順応」といった意味の英語【orientation】から来たカタカナ用語です。

ビジネスシーンでは主に、新入社員の教育や研修を行うことを指して「オリエンテーション」といいます。「オリエン」と略されることもあります。

オリエンテーションでは、会社の方針や規則、業務内容などの説明・指導を行いますが、企業の一員として何をすべきか、どうあるべきかを方向づける狙いがあることから、入社後すぐに行うのが一般的です。

また、新しい企画やプロジェクトをスタートする際に、最終的なゴールの設定と、それに向けた計画や役割分担などを話し合うような場もオリエンテーションになります。

このように、オリエンテーションの役割は、新しい物事がスタートする際に、早い段階で「全員の意識が同じ目的に向かうよう方向づける」ことにあります。

ゲーム形式によるオリエンテーションの効果

オリエンテーションでは、座学による一般的な研修のほかに、体を動かしながら学ぶゲーム形式のものがあります。渡された資料を手に、ひたすら話を聞くだけ、ビデオを見るだけの座学では集中力も切れてしまいますし、参加者のモチベーションも下がってしまうでしょう。そんなオリエンテーションに参加して、一体、どれほどの知識が頭に残るでしょうか。

その点、参加者が主体的に取り組むことのできるゲーム形式では、楽しみながら学ぶことができるため、参加者の集中力を自然と高めることができます。また、自ら考え、自ら行動するよう促すことで、自発性や創造性が高まる効果も期待できるでしょう。

さらに、チームで取り組むようなゲームを取り入れれば、協調性やチームワーク、コミュニケーション能力の向上を図ることも。特に、新入社員研修会といった面識のない人同士が集まる場面で取り入れると、場の緊張感を和らげ、自然とコミュニケーションを取りやすい雰囲気にすることも可能です。

堅苦しくなりがちな自己紹介も、ゲーム形式で行えば、いわゆるアイスブレイクとしても効果的です。

このように、受け身である座学に比べて、ゲーム形式の研修には多くの効果が期待できます。しかしながら、楽しいだけのゲームでは単なる交流会です。学んだことを実務に活かせるようなゲームでなければ、意味がありません。

例えば、はじめに会社の方針や規則について座学で説明を行い、その後に、○×形式のゲームでどれだけ頭に入ったかを確認するなど、双方の利点を上手く組み合わせながら進めると良いでしょう。

社会人向けのオリエンテーションのゲーム

初対面同士が集まるような研修会では、まず、自己紹介をゲーム形式で行うのがおすすめです。そのほか、チームによるプレゼン型や作業型など、多種多様なゲームが存在します。いくつかご紹介しましょう。

他己紹介

ペアを作り、お互いに自己紹介をします。その後、全員の前で、ペアだった人を紹介します。話をするキッカケ作りになるだけでなく、相手の話を聞く力、聞き出す力など、実務にも役立つことでしょう。

共通自己紹介リレー

グループで輪になって行うもので、前の人の自己紹介を受けて、その人と自分との共通点を見つけ、それを取り入れた自己紹介を行うというもの。もしも共通点が見つからなかった場合でも、無理矢理結びつけるようにします。

NASAゲーム

チームで一つの結論を導き出すことを目的としたコンセンサスゲームです。宇宙で遭難し、月に不時着。壊れた宇宙船の中で、まだ使えそうなアイテムが15個あります。300km離れたところにいる母船が迎えに来るまでの間、生き残るために必要なアイテムを、1~15位まで順位付けをします。

まずは、各自考えた順位を発表してもらい、意見をまとめ、最終的にチームとしての一つの答えを出します。このゲームにはNASAの模範解答があり、NASAの回答との誤差が少ないチームが勝ちになります。他にも、無人島や砂漠での遭難をお題としたものもあります。

ペーパータワー

チームで取り組む作業型のゲームです。A4用紙30枚の紙だけで、制限時間内にどれだけ高いタワーを作ることができるかを競います。非常にシンプルなゲームですが、互いにアイディアを出し合いながら、冷静に積み上げていかなければなりません。

もちろん、うまくいかずに途中で倒れてしまうこともあるでしょう。しかし、そこでイライラして投げ出してしまうような人が1人でも現れれば、チームワークもタワーも崩壊してしまいます。

ペーパータワー+経営シミュレーション

上記のペーパータワーに、経営の要素を加えたシミュレーションゲームです。決算と同様に、ゲームは四期(4回)行います。タワーの高さを1cmにつき10万円の売り上げとし、その売り上げで、二期目に使用する紙(1枚10万円)を仕入れます。

残ったお金から、チームで決定した給与(全員同額)、税金を支払い、利益を確定させます。その後、一期目の反省点と改善策を話し合い、二期目を実施します。これを四期まで繰り返し、最終的に各個人が得た給与の総額が多いチームの勝利となります。企業経営を理解するのにもってこいのゲームといえるでしょう。

学生を対象としたオリエンテーション

オリエンテーションは、社会人だけのものではありません。学生を対象としたものも多く、大学などでは、新入生を対象に、学生生活を円滑にスタートさせるためのオリエンテーションが数日~1週間程度かけて行われます。

大学入学時に行われるオリエンテーション

大学によって内容はさまざまですが、一般的には、全学部共通のガイダンスとして、校則や教育方針、施設の利用方法、資料の配布、必要書類の提出、クラス分けなどが実施されます。クラスや学部ごとのガイダンスでは、時間割や単位の取り方、教授の紹介、研究内容などについて話を聞くことができるほか、学力テストや健康診断も行われます。

就活生を対象としたオリエンテーション

就活生を対象に、面接やインターンシップとしてオリエンテーションを実施する企業もあります。例えば、面接の一種として、先輩従業員と顔合わせをし、実際の業務内容などについて説明を受け、質疑応答がなされます。

また、一定期間の職業体験ができるインターンシップでは、参加するにあたっての心構え、ルール、社会人としてのマナーなどの説明がなされます。さらに、内定をもらい、いよいよ入社となると、入社前に同期や上司との顔合わせを兼ねたオリエンテーションが行われる場合もあります。

学生を対象としたオリエンテーションは、いずれも、新しい環境に適応するための重要なものになります。要点をしっかりとおさえ、スムーズに新生活をスタートさせましょう。

学生向けのオリエンテーションのゲーム

学生の場合でも、初対面に近い状況の場合には、まず、自己紹介系のゲームでアイスブレイクするのがおすすめです。前述の社会人向けで紹介したものでも構いませんし、ほかに、自分を漢字一文字で表す「漢字自己紹介」や、「もし自分が○○なら○○をしていた」という「妄想自己紹介」などもあります。

学生向けということで、ここでは、大人数でもできるゲームをいくつかご紹介します。

出身地で並び替えゲーム

参加者全員に、「こちらを北(北海道)として、自分の出身地はこの辺だと思う順に、声を出さずに並んでみてください」と指示します。全員が並び終わったら、北に並んでいる人から順に出身地を発表してもらい、その都度、正しく並び替えていきます。同じ出身地の人と分かれば、自然と話も弾むものです。

情報伝言ゲーム

全体を2チーム以上に分けて一列に並んでもらい、各チームの一番前の人に、なるべく長い文章を提示し暗記してもらいます。例えば、「今日、○○町のスーパーで、牛乳とヨーグルト、キャベツ、トマト、しめじ、挽肉300gを買ったら、合計で1,165円かかりました」など。

それを、次の人にだけ聞こえるように伝え、最後の人が紙に書き出した文章が最も正解に近いチームの勝利となります。

じゃんけん列車

全員が一斉に近くにいる人とじゃんけんをします。負けた人は勝った人の後ろについて、列車を作ります。勝った人は他の列車とじゃんけんをして負けたら後ろにつく、これを繰り返し、最終的に残った列車の先頭の人が勝者となります。

オリエンテーションのマナー

オリエンテーションの案内状が届くと、誰もが悩むのが服装ではないでしょうか。

企業でのオリエンテーションに参加する場合には、スーツが基本です。案内状に「服装は自由」「平服」と書かれているケースもありますが、ダメージジーンズにTシャツ、短パン、ミニスカートなど、あまりにラフな格好は避けた方が良いでしょう。また、コーディネートの大半が派手なカラーだとか、不要な露出もNGです。

「服装は自由」「平服」とあっても、基本的には、カーディガンにシャツ、ジャケット、パンツ、セットアップ、膝下スカートなど、いわゆるオフィスカジュアルで臨むのが無難でしょう。

また、靴やカバンといった小物や、ヘアスタイルにメイク、へアカラーといった身だしなみにも注意が必要です。内定や合格通知をもらったからといって気を緩めてはいけません。印象を悪くしてしまうことのないよう、細部にまで気を配るように心がけましょう。

オリエンテーションとガイダンスの違い

オリエンテーションとガイダンスが同じものだと思っている方も多いと思いますが、ガイダンスには、元々「初歩的な説明をすること、手引き」といった意味があります。つまり、新しい物事がスタートするにあたり、その物事の意味や事情も知らないような不慣れな人に対して、初歩的な説明を行うのがガイダンスです。

一方、オリエンテーションでは、会社の方針や規則、業務内容など、新しい環境に適応できるような指導が行われます。大学でも同様に、明日からでも充実した学生生活が送れるような内容となっており、オリエンテーションの方が、より具体的かつ実践的な内容であるのが一般的です。

また、大学のオリエンテーションの中には、「時間割や単位取得に関するガイダンス」「奨学金に関するガイダンス」などの時間が盛り込まれていることが多く、ガイダンスは説明に徹するもの、オリエンテーションは、指導や研修を中心に様々なガイダンスも含んでいるものと考えて良いでしょう。

ちなみに、「オリエンテーリング」という言葉がありますが、これは、予め決められているポイントを地図とコンパスだけを頼りに順に通過し、ゴールするまでの所要時間を競う野外スポーツです。言葉は似ていますが、全く別の意味になりますので注意しましょう。


入社時に受けるオリエンテーションは、自分に与えられた役割(業務)を理解する上で重要な研修といえます。オリエンテーションから多くのことを吸収し、社会人として素晴らしいスタートを切りたいものですね。