東京メトロ日比谷線で活躍した車両03系が熊本電気鉄道へ譲渡され、2両編成となって上熊本~北熊本間で運行されている。東京メトロから熊本電気鉄道への車両譲渡は、元銀座線01系(熊本電気鉄道01形)に続いて2例目となる。

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    東京メトロ日比谷線で活躍した03系が譲渡されて2両編成となり、熊本電気鉄道の上熊本~北熊本間で運行されている

03系は営団地下鉄時代の1988(昭和63)年にデビュー。日比谷線の主力車両として活躍し、東武線を中心に相互直通運転も行われた。8両編成で1両あたり車体長18m、大半の車両が片側3ドアだが、一部編成では前後各2両を片側5ドアとしていた。

日比谷線では7両編成・車体長20m・片側4ドアに統一し、仕様共通化を図った新型車両(東京メトロ13000系・東武鉄道70000系)の導入が進められ、2019年度中に既存車両の置換えが完了する予定となっている。03系の譲渡先に関して、熊本電気鉄道が計3編成を購入する予定との報道もあった。現在、熊本電気鉄道で運行される車両は「03 831」「03 131」の2両編成。今年4月から営業運転を開始したという。

上熊本~北熊本間を走る2両編成の電車は、日比谷線で活躍した頃の外観を踏襲し、車内外の号車番号も上熊本方(03 831)が「1」、北熊本方(03 131)が「8」のまま残る。車体側面の乗務員用ドア付近に、熊本電気鉄道の社章と「Kumamoto Dentetsu」のロゴを東京メトロのコミュニケーションマークをイメージさせるデザインで配置した。車両番号の上に「ワンマン」のステッカーが貼られ、乗降ドアのガラス部分にワンマン運転時の乗車・降車で使用できるドアを示したステッカーを掲出している。

北熊本方の車両にシングルアーム式のパンタグラフ2基を設けたほか、ワンマン運転への対応として、各車両の車体前面にミラーを設置した。車内のドア上には、案内表示器に代わって路線図を取り付けている。各車両の連結部側に車いす・ベビーカー利用者向けのスペースが確保されている。

この2両編成の電車が運行される上熊本~北熊本間は所要時間約9分。日比谷線で慣れ親しんだ車両が九州の地を走っていることに、若干の違和感も覚える。これまで上熊本~北熊本間の列車に使用された01形は1両あたり車体長16mで、車体幅も狭いことから、乗降ドアにステップが設置されていた。元日比谷線の車両は車体長18mということもあり、以前の車両と比べて広々としている。

北熊本駅で御代志行・藤崎宮前行の電車と接続する。この日、藤崎宮前~御代志間では元銀座線の車両01形、元都営三田線の車両6000形が運用に就き、かつて東京都内の地下鉄で活躍した3編成が北熊本駅で勢ぞろい。藤崎宮前駅にて、日比谷線03系の概要と東京メトロ社員のメッセージを紹介したポスターも見ることができた。

  • 日比谷線で活躍した頃の外観を残しつつ、熊本電気鉄道での運行に合わせた改造やデザインの一部変更などが行われている