4月25日、渡部愛女流王位に里見香奈女流四冠が挑戦する第30期女流王位戦五番勝負第1局が兵庫県姫路市「夢乃井」で行われ、里見女流王位が勝利を収めました。

リターンマッチ第1局は挑戦者の勝利

  • 挑戦者里見(左)先勝! 渡部は地元で行われる第2局で巻き返すか

振り駒で先手となった里見女流四冠が得意の「中飛車」に進めると、渡部女流王位は棋風通りの「居飛車」で対抗。互いに玉の守りを固める「持久戦」となり、中盤まで互角の形勢が続きましたが、終盤に差し掛かる辺りで堅陣を頼りに角を捨てて攻め込んだ里見女流四冠がペースをつかみ、最後は「イナズマ」とも称される終盤力を発揮し渡部玉を即詰みに討ち取りました。

幸先の良いスタートを切った里見女流四冠は女流王座、女流名人、女流王将、倉敷藤花のタイトルを保持し、現在本棋戦と第12期マイナビ女子オープンで挑戦者としてそれぞれ五番勝負に出場しています。自身が同時に保持した最高タイトル数は五冠(女流史上トップ)。1棋戦で勝てば五冠返り咲き、2棋戦とも制すれば初の六冠に輝きます。

さらに、今年から始まった新棋戦、第1期ヒューリック杯清麗戦でも、6勝通過2敗失格の予選において3勝1敗と勝ち残っていて、六冠どころか七冠制覇の可能性も残されています。ただし、マイナビ女子オープン五番勝負は西山朋佳女王に第2局までを終えて0-2とされ、後のない状況となっています。

前期五番勝負で里見女流王位(当時)を3-1で破りトップ女流棋士の仲間入りを果たした渡部女流王位は、劣勢になってからも相手の攻撃を必至に耐えて容易には倒れませんでしたが、最後は力尽き無念の黒星スタート。しかし、5月8日に行われる第2局の開催地は出身地である北海道帯広市の「とかちプラザ」ですので、ホームの利、地元の声援を力に変えて巻き返しを狙ってくることでしょう。

女流棋戦の中ではもっとも長い持ち時間の4時間で行われる本棋戦五番勝負は、女流棋戦と比べ総じて持ち時間の長い男性棋戦でも活躍する両者にとって、得意とする土俵でしょう。トップ女流棋士同士の真剣勝負はまだ始まったばかりです。