米労働省が2019年4月5日に発表した3月雇用統計の主な結果は、(1)非農業部門雇用者数19.6万人増、(2)失業率3.8%、(3)平均時給27.70ドル(前月比0.1%増、前年比3.2%増)という内容であった。

(1) 3月の米非農業部門雇用者数は前月比19.6万人増と、市場予想の17.7万人増を上回った。天候の回復などを受けて建設業を中心に雇用が増加。また、大幅に減速した前回分は2.0万人増から3.3万人増へ僅かに上方修正された。なお、3カ月の平均雇用者数増加幅は18.0万人となった。

(2) 3月の米失業率は3.8%となり、予想通りに前月から横ばいとなった。ただ、就労意志を持つ人の割合である労働参加率は63.0%と、前月(63.2%)から低下。なお、フルタイム雇用を希望しながらもパート就労している労働者などを含めた「広義の失業率」である不完全雇用率は7.3%と、前月から横ばいだった。

(3) 3月の米平均時給は27.70ドルとなり、前月から0.04ドル増加。伸び率は前月比+0.1%、前年比+3.2%と、いずれも予想(+0.3%、+3.4%)を下回った。なお、前月比の伸びは2月特有の日数上の歪みが出たとの指摘もある。しかし、前年比の伸びは2009年4月以来、ほぼ10年ぶりの高さであった。

(4) 米3月雇用統計発表後の米ドルは小幅に上昇した。また、米長期金利(10年債利回り)は小幅に低下し、米国株(NYダウ平均)は小幅高であった。いずれも反応は控えめであり、今回の雇用統計は市場に強いインパクトを残さなかったと言える。

雇用者数の伸びが持ち直したことから、米連邦準備制度理事会(FRB)による年内の利下げ観測は後退したが、賃金(平均時給)の伸びが鈍化したため、早期に利上げを再開するとの期待が浮上することもなかったようだ。なお、トランプ米大統領は雇用統計の発表後に「FRBは利下げすべき」とコメントしたが、市場はこれに耳を貸さなかった。

執筆者プロフィール : 神田 卓也(かんだ たくや)

株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役調査部長。1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信(デイリーレポート『外為トゥデイ』など)を主業務とする傍ら、相場動向などについて、WEB・新聞・雑誌・テレビ等にコメントを発信。Twitterアカウント:@kandaTakuya