披露宴の服装といえば、略礼服もしくはスーツをイメージするかもしれませんが、2000年代以降、披露宴のドレスコードは徐々に変貌を遂げました。「結婚披露宴に呼ばれたけれども、着ていく服装がわからない!」と考えている男性が多いようです。

着こなしのバリエーションが増え、絶対的な正解をひとつに絞れないのではないでしょうか? 厳粛なホテルの式場のみならず、披露宴のバリエーションが増えてきたことが関係しているとわたしは見ています。

  • 披露宴の服装で迷うことはありますか?(写真:マイナビニュース)

    披露宴の服装で迷うことはありますか?

とはいえ、いずれの会場であったとしても、ドレスアップした女性陣に服装を合わせることがキーポイントです。のべ4,000人を超えるビジネスマンにファッションアドバイスをしてきた服のコンサルタントが「結婚披露宴に着ていく服装」について教えます。

披露宴での女性の服装

披露宴に参加する女性は「新婦より目立たない!」という絶対ルールを理解しています。だからこそ、ドレス・ワンピースは「白を選んではいけない」そうです。白は、披露宴の主役である新婦の色だからです。写真写りも想定し、白く写ってしまうリスクのあるオフホワイト・クリーム色も避けるべき色だといわれています。

もちろん、全身黒もNGです。喪に服するイメージが強いからこそ、ストッキングもベージュが好ましく、夏場も生足は避けたいところ。黒いドレスを選ぶ場合、上に羽織るボレロや靴・小物で色を調整します。

披露宴での女性のバッグ

また、男性のジャケットのようにポケットがないからこそ、クロークに預けるバッグとは別にミニクラッチのようなパーティー用バッグを会場内で持ち歩きます。このとき、アニマル柄・皮は殺生をイメージし縁起がよろしくないので避けましょう。

披露宴での女性のアクセサリー

そして、披露宴の時間によって肌露出の許容範囲まで変わります。昼間の披露宴においては肌の露出を抑え気味にします。ネックレスも基本的にはパールを着け、夜の会であればキラキラする装飾品も許容されます。女性は男性以上に服装のルールが細かいのです。

  • ネックレスはパールが基本

    ネックレスはパールが基本

これだけ整えている女性陣に男性も合わせるならば、どんな服装が好ましいのでしょうか?

披露宴での男性の服装

結婚披露宴の定番といえば、黒い略礼服に白いネクタイを連想するかもしれません。そして、「フォーマル=黒いスーツ」というイメージから、黒いビジネススーツを略礼服代わりに羽織る方もいらっしゃるでしょう。ところが、これは微妙なところです。

というのも、糸の染色がちがうため、黒いビジネススーツと略礼服は別物。略礼服の方が、より一層色が黒いのです。それだけではありません。そもそも黒い略礼服を披露宴に着る男性自体が近年減っています。年配の方を除き、ドレススーツを選ぶ男性が増えていました。

THE SUIT COMPANY、SUIT SELECT、P.S.FA、オリヒカ、ONLYなど、20~40代に馴染みのあるツープライススーツ量販ブランドでは、各社ともフォーマルコーナーを設けています。 本格的なタキシードの扱いに加え、「ビジネススーツ以上タキシード未満」といったドレススーツを扱っています。合わせるネクタイ次第ですが、普段の白シャツを生かすことも可能です。ただし、ボタンダウンカラーはカジュアルなので避けましょう。

男性の服装に勧めるドレススーツ

店舗によってその呼び方は異なりますが、結婚披露宴やレセプションといったパーティーシーンに最適なスーツを「ドレススーツ」と私は呼んでいます。タキシード・モーニングコートといったフォーマルウエアのエレガントさをもったスーツです。小物として、ポケットチーフやラペルピンといった装飾品で華やかさを演出しましょう。

  • ドレススーツがお勧め

    ドレススーツがお勧め

また、足元はタキシード着こなしのごとくエナメルの革靴を合わせることも可能ですし、普段の黒い革靴であってもおかしくありません。このとき、靴下は靴と同じく黒を合わせます。靴下は下着という位置づけから目立たせたくないのです。

続いて、胸元は普段のネクタイであっても色によっては違和感が無いですし、蝶ネクタイを合わせることも可能です。昨今、蝶ネクタイも多種多様です。ウール素材からコットン素材までカジュアルな素材に変えることで蝶ネクタイ特有の仰々しい印象を取り払ってくれます。パーティーシーンに合うドレススーツは、合わせる小物を変えることであらゆる披露宴に対応するのです。

披露宴での髪型

そして、ドレススーツを着るときは髪型も重要です。女性もドレスを着るとき、プロのヘアメイクさんに当日朝ヘアアレンジしてもらう方が多く、複雑に編み込んだハーフアップや長い髪をフルアップでアレンジしています。

また、ショートカットの女性はヘアアクセサリーを活用します。男性も整髪料を着ける意識は持ちたいところです。さらっとしたナチュラルヘアよりもカチッとしたヘアの方がスーツには合います。

男性の服装を会場・シチュエーション別で考える

2000年以降、披露宴の服装の幅は劇的に広がりました。結婚披露宴のバリエーションが増えたことが関係しているのではないでしょうか? ドレスコードという言葉からもわかるように、会場にふさわしい服装は変わります。 

1990年代、結婚式といえばシティホテルで厳粛に執り行うものが主流でした。ところが、ハウスウエディングやレストランウエディング、また、披露宴のバリエーションが増えた結果、1.5次会と呼ばれるスタイルも増えています。カジュアルな場の略礼服はかえって悪目立ちします。もっとも大切なことは、会場や披露宴の雰囲気を想定し、服装を変えることだったのです。

カジュアルな披露宴では、「平服でお越しください」という案内もあることでしょう。ここでいう平服とは普段着ている服装ということになりますが、カジュアルな格好は含まれません。

とはいっても、会社で着ているただのビジネススーツでは面白みもないことでしょう。そこで、オフィスカジュアルのジャケット&パンツ、通称ジャケパンを私はお勧めしています。昨今、ビジネスファッションのカジュアル化が進みジャケパンのビジネスマンが増えました。

  • 明るい色のジャケットとダークカラーのスラックス

    明るい色のジャケットとダークカラーのスラックス

ジャケパンの醍醐味は、スーツでは選べない「明るい色のジャケット」を選択できるところにあります。スーツの場合、全身を占める面積が大きいので、なかなか明るい色を選べません。

ところが、ジャケパンの場合、ダークカラーのスラックスを選ぶことで明るい色のジャケットが合わせられます。男性の場合、多少明るいジャケットを羽織ったとしても、新郎より目立つということはないでしょう。特別なハレの日だからこそ、普段着からアレンジを変えてみてはいかがでしょうか?

著者プロフィール: 森井良行(もりい・よしゆき)

エレガントカジュアル 代表取締役
20代後半から40代の男性のファッションを「エレガントカジュアル」でワンランクアップさせる「服のコンサルタント」。 街のセレクトショップを歩き、顧客に試着を繰り返してもらいながら、その人に最も似合う服を探していく独自の「買い物同行」は9割以上の高い満足度を誇る。著書『毎朝、迷わない! ユニクロ&ツープライススーツの上手な使い方』 (WAVE出版)