JR西日本は5日、網干総合車両所宮原支所にて「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」の修繕・改修の可否やメンテナンスの方向性を検討する「瑞風を見守る会」を実施した。
当日は「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」の内装を中心に全体監修を手がけた建築家・インテリアデザイナーの浦一也氏、車両設計に携ったインダストリアルデザイナーの福田哲夫氏をはじめ、約20名が参加した。
「瑞風を見守る会」は年に1度のペースで開催され、デザイン検討や設計に携った担当者が集まる。「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」を実際に見ることで、車両や家具、備品の傷み具合を確認し、修繕・改修の可否の検討やメンテナンスの方向性について話し合う。同様の会は浦氏が内装設計に携った京都迎賓館でも行われるという。なお、「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」は2017年6月から運行開始しており、「瑞風を見守る会」の実施は2回目だが、報道関係者らへの公開は今回が初めてとなった。
最初のミーティングで、浦一也氏は「見守る会の最大の敵は高齢化。後継者をつくりながら、会を続けていくことはすばらしいと思います」と挨拶。福田哲夫氏は「磨けば磨くほどモノは光っていきますし、磨くのを怠るとどんな玉でも落ちる」と指摘し、車両メンテナンスを続けることの意義を強調した。
その後、「瑞風を見守る会」の参加者らは、歩きながら「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」の車体全体を目視で確認。前面や連結器周辺を念入りに観察する様子も見られた。
福田氏によれば、外観に関して設計段階から車体を磨いて美しさが保てるように仕込みをしているという。「磨ければまだ光沢は出るし、5本の線のハイライトの状態も太陽の光で確認できました」と話していた。
車内においては、全体を見るだけでなく、調度品も細かく観察する。5号車の「ラウンジカー」では、調度品が煤煙等の影響により、汚れがあることを指摘し合う場面が見られた。一方、7号車「ザ・スイート」にある天然木は、時代によって木目の色が変化するという。「色あせて、より良い味が出るのです」と浦氏は話す。
「瑞風を見守る会」を終え、参加者との質疑応答では、改めて「TWILIGHT EXPRESS瑞風」の魅力を問う質問が出た。浦氏は天然素材を多く用いたことにより、時が経つことで車内の落ち着きが増し、味わい深さが出てくることを挙げていた。
「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」は豪華な車内に目が行きがちだが、調度品や内装を通じて日本の天然素材が持つ味わい深さを感じられる点も魅力といえる。「瑞風を見守る会」を定期的に実施することにより、「TWILIGHT EXPRESS瑞風」がブラッシュアップされ、国内外を問わず多くの旅行客を引き付ける列車になることを期待する声も上がった。