蚊に刺されたのか、じんましんなのか、なんだか体がひどくかゆい……なんてこと、ありませんか?
もしかすると、お部屋にダニが潜んでいるのかもしれません。もし本当にダニがいるとしたら、解決するのにはどうすればよいのでしょうか。
ダニが発生した場合に起こる症状と、その対処法について、ダニの研究とその対策商品の開発を行っている日革研究所・研究開発室の山岸さんにお話を伺いました。


――ダニのかゆみにはどんな特徴がありますか? 他のかゆみとの見分け方を教えてください。

「屋内に生息しているダニの中でそのほとんどを占めているのがヒョウヒダニといわれるダニです。このダニは人を刺すことはありませんが、そのフンや死骸が、アトピー性皮膚炎をはじめとする皮膚炎や気管支喘息などのアレルギー疾患の主要な要因といわれています。

ダニによるかゆみは、このヒョウヒダニのアレルギー物質が皮膚の表面から体内に入り込むことで起こります。この場合、すぐにかゆみを感じます。

このほかに、ダニ刺されによるかゆみもあります。これは、ツメダニというダニが主な原因です。このダニに刺されたときには痛みはなく、いつの間にか刺されたという感覚です。

蚊のように刺された後すぐにかゆみが起こるのではなく、刺されてから数時間後にかゆみが襲ってくるのが特徴です。刺されるととてもかゆく、10日ほどかゆみが続くこともあります。刺された箇所は赤く、小さなできものができたようになります」

――食べ物につくダニもいるそうですが、食べたらどうなってしまうのでしょう?

「食べ物で問題になっているのは、パンケーキ粉やお好み焼き粉の中で繁殖するダニです。こちらもヒョウヒダニによる被害が報告されています。

ダニによるアレルギー疾患を持たれている方が、ダニの入った食物を食べてしまうことでアナフィラキシーショックを発症し、最悪の場合は命を落とす危険性さえもあります。開封したら密封保存して冷蔵庫で保管するか、なるべく早く使い切るようにしましょう」

――命にかかわる問題なのですね! では、これはダニが発生しているかも……という場合の対処法を教えてください。やはり市販のくん煙剤のような殺虫剤で退治するのがよいのでしょうか?

「ダニの居場所を特定して重点的に除去することがもっとも効果的なダニ対策です。一般的には寝具や布製のソファー、カーペットにダニが多いといわれています。また、押入れや食品保管庫も注意すべきところです。

屋内に生息するダニは、殺虫剤などの薬剤耐性が強いといわれています。殺虫剤の使用によって、化学物質過敏症といった健康被害が起こる可能性もあります。また、殺虫剤はダニそのものを退治するものではありますが、アレルギーの原因となる死骸やフンはそのままになっていますので、根本的な解決にはなっていないといえるでしょう」

――ダニの被害にあわないために、普段からできる対策はありますか?

「ダニは温度25~30℃、湿度65~85%で繁殖し、条件が整えば3ヵ月で500倍に増えるという恐るべき繁殖力を持っています。人間の髪の毛やフケ、皮脂、またお菓子の食べカスなどのエサになるものがある場所、潜れる場所、暗い場所が好きです。

そして、ダニはいくらお家の中をきれいにしたとしても、外から衣服などに付着して入ってきてしまいます。ダニは非常に小さな生き物ですので、普段の生活の中で、人が肉眼で確認することも難しいでしょう。

いったん侵入したダニは住みやすい場所を探して隠れます。なかなかピンポイントの対策がしにくいのですが、少なくともお掃除と換気、湿度管理はきちんと行いましょう。寝具類は布団乾燥機や天日干し、さらに掃除機をかけるのも一定の効果があります。しかし、繊維の奥まで潜り込むダニを完全に取り除くことはできません。ダニ予防アイテムをカーペットや畳、押し入れなどに設置するのもひとつの手ですよ」

目に見えるサイズの虫ではないからこそ、対策も難しいですね。しかし、日頃からお掃除と換気を心がけて清潔にしておくのが大切だということもわかりました。山岸さん、ありがとうございました!

〈取材協力〉
日革研究所 http://nikkaku-j.com/
ダニ捕りドットコム https://www.danitori.com/



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