外為どっとコム総合研究所の神田卓也氏が2019年2月の為替相場レビューと、今後注目の経済指標やイベントをもとにした今後の相場展望をお届けする。

  • ドル/円 2月の推移

【ドル/円 2月の推移】

2月のドル/円相場は108.726~111.492円のレンジで推移し、月間の終値ベースでは約2.3%上昇(ドル高・円安)した。米連邦準備制度理事会(FRB)が1月に利上げ休止を宣言した影響などからドルの上値は重かったが、世界的に株価が上昇する中で円の上値はさらに重く、ドル/円はじりじりと上昇した。

下旬には、米中通商協議が「大きく進展(トランプ米大統領)」し、対中関税の引き上げが延期されたことで株高・円安が進むと25日に111円台を回復。さらに28日に発表された米10-12月期国内総生産(GDP)・速報値が予想を上回る伸びを示し、米経済に対する悲観的な見方が後退すると111.49円前後まで上値を伸ばした。

【ドル/円 3月の見通し】

1月の長い下ヒゲの効果もあって2月の月足は大陽線で引けた。18カ月移動平均線(執筆時:110.810円前後)や24カ月移動平均線(執筆時:110.92円前後)を上抜けており、3月も上向きの流れが続く可能性が高いことを示唆している。昨年11月から12月にかけて下値支持として機能していた112円前後を上抜ければ、さらに上値余地が広がりそうだ。米中通商協議の延長線上にある米中首脳会議の開催日時が正式に決まればリスクオンの円売りも期待できよう。

一方で下向き(ドル安・円高)へのリスクがあるとすれば、日米通商協議だろう。米通商代表部(USTR)によると、日本政府が「日米物品貿易協定(TAG)」と呼ぶ日米間の通商協議が3月中に開催される見込みだ。協議の過程で、米国側が対日貿易赤字の8割近くを占める自動車輸出の制限を迫ったり、通貨安誘導を禁じる為替条項を協定に盛り込んだりする動きが見られるようだと、短期的にせよ円高に振れる可能性があろう。なにせ、USTRのライトハイザー氏は、1980年代の対日通商交渉で、日本に鉄鋼輸出の自己規制を飲ませた豪腕の持ち主だ。

その他、3月19,20日の米連邦公開市場委員会(FOMC)にも注目が集まろう。パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は、2月の議会証言でバランスシートの縮小停止プログラムについて、「近く発表できると期待している」と述べている。縮小停止はある程度織り込み済みとも言えるが、米長期金利の低下に繋がればドル/円の下押し要因となり得るだけに要注目となりそうだ。

【3月の日米注目イベント】

  • 3月の日米注目イベント

執筆者プロフィール : 神田 卓也(かんだ たくや)

株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役調査部長。1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信(デイリーレポート『外為トゥデイ』など)を主業務とする傍ら、相場動向などについて、WEB・新聞・雑誌・テレビ等にコメントを発信。Twitterアカウント:@kandaTakuya