外為どっとコム総合研究所の神田卓也氏が2019年1月の為替相場レビューと、今後注目の経済指標やイベントをもとにした今後の相場展望をお届けする。

  • 1月ユーロ/円は約0.8%下落、今後はユーロ安・円高に振れる?

【ユーロ/円 1月の推移】

1月のユーロ/円相場は118.284~125.843円のレンジで推移し、月間の終値ベースでは約0.8%の下落(ユーロ安・円高)となった。もっとも、高値を付けたのが2日、安値を付けたのが3日と日本の正月休み中にひとしきり上下しただけで、その後は値動きが細った。

4日以降31日までのレンジは122.580~125.459円の3円未満にとどまった。ドイツを筆頭にユーロ圏の景気減速に対する懸念がくすぶる中、ユーロの上値は重かった一方、各国中銀のハト派化観測などを背景に主要国株価が年末年始の下落を埋めて反発する中では円の上値も限られた。

【ユーロ/円2月の見通し】

ドイツをはじめ、ユーロ圏の景気減速に対する懸念がくすぶっており、2月もユーロの上値は重そうだ。なお、独連銀のバイトマン総裁は1月31日の講演で「独経済に下振れリスクが広がっている」「2019年の独成長率は潜在成長率を下回るだろう」との認識を示した。

欧州中銀(ECB)は、現在の金融緩和策を「夏まで」維持する方針を示しており、「秋には」利上げする可能性を排除していないが、市場はすでに年内の利上げを全く見込んでいない。原油安の影響でインフレが上昇する公算も小さいため、目先的にユーロを買う理由は乏しいだろう。

英国と欧州連合(EU)の離脱再交渉に進展が見られれば、ポンドの反発とともにユーロ高に振れる可能性もあるが、EU側の再交渉を頑なに拒む姿勢に鑑みれば、その可能性は高くなさそうだ。足元の株高基調が続かない限り、ユーロ/円が大きく上値を伸ばす事は考えにくい。一方で、株安などのリスク回避局面ではユーロ安・円高に振れやすくなりそうだ。

【2月のユーロ圏注目イベント】

執筆者プロフィール : 神田 卓也(かんだ たくや)

株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役調査部長。1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信(デイリーレポート『外為トゥデイ』など)を主業務とする傍ら、相場動向などについて、WEB・新聞・雑誌・テレビ等にコメントを発信。Twitterアカウント:@kandaTakuya