厚生労働省は2月28日、受動喫煙に関する啓発イベントを都内にて開催した。会場には厚労省の関係者のほか、受動喫煙対策推進キャラクターを務める女優・タレントの岡田結実さんや、受動喫煙防止対策マスコットの「けむいモン」も登場。受動喫煙対策の標識を発表するとともに、望まない受動喫煙の防止を目指した働きかけを行った。

  • 女優・タレントの岡田結実さんや厚生労働大臣政務官の新谷正義氏も参加した啓発イベント

「健康増進法の一部を改正する法律」とは?

2018年7月25日に公布され、2020年4月1日より施行される「健康増進法の一部を改正する法律」では、喫煙設備のあるすべての施設で喫煙に関する「標識」の掲示が義務付けられる。今回のイベントは、東京2020に向けてこの法律と標識の周知を推進するために開催された。

新谷正義 厚生労働大臣政務官は、主催を代表して「望まない受動喫煙を無くしていくことが何よりも大切なことです。今年7月からは、まず病院や学校での敷地内禁煙を行います。来年の4月には多くの方が集まる施設を原則屋内禁煙とし、喫煙可能場所で標識を出すとともに20歳未満の方が入れないよう対策を講じました。本日のイベントを通じて、受動喫煙対策の意識が広がっていくことを心より願います」と、法律の趣旨と概要を説明した。

  • 厚労省を代表してあいさつを行った、新谷正義 厚生労働大臣政務官

喫煙に関する標識がマナーからルールに

続いて、壇上に厚生労働省の武井貞治 健康局健康課長、岡田結実さん、けむいモンが登場。武井氏は今回の法律の大きな柱として「飲食店、オフィス、事業所などの受動喫煙防止への取り組み」「健康への影響が大きい20歳未満の方や妊婦の方、病気を患っている方の望まない受動喫煙を無くすこと」を挙げる。

  • トークセッションを行った武井貞治 健康局健康課長、岡田結実さん

事業者にどのような影響があるかというと、1つは、今までマナーだったものがルールに変わること。もう1つは、喫煙室や喫煙が認められる施設には標識の掲示が義務化され、違反者には罰則が設けられること。「従来の受動喫煙対策より一歩踏み込んだ法律になっています」と武井氏はまとめた。新しい標識は主に4種類の組み合わせで掲示される。

  • 主だった4種類の喫煙施設に関する標識

1つ目は、屋内の喫煙専用室の入口に掲示する「喫煙専用室」。たばこは吸えるが、飲食が禁止されるとともに、20歳未満は立ち入り禁止となる。

2つ目も喫煙専用室の入口に掲示する「加熱式たばこ専用喫煙室」。通常のたばこは禁止だが加熱式たばこはOKで、飲食も可能という表示だ。こちらも20歳未満は立ち入り禁止。

3つ目と4つ目は「喫煙可能室あり」「加熱式たばこ専用喫煙室あり」。どちらも建物の入口に掲示され、建物内の構造を示すものとなっている。

これら4つとも、入口のドア周辺など、目につく場所への掲示が求められている。

受動喫煙について学べる「全国統一 けむい問模試」

説明を受けた岡田さんは、マスコットの「けむいモン」に見守られつつ、2月28日より厚生労働省のWebページに公開された「全国統一 けむい問模試」にチャレンジ。喫煙環境について考えるクイズや、掲示場所への正しいステッカーの貼り方に挑み、見事に全問正解した。

  • 店舗の入口の分かりやすい場所に標識ステッカーを貼る岡田さん

岡田さんは「ご家族やご友人の中でタバコを吸う人が限られる場合でも、お店の判断がすぐにできますね。これまで心づかいだったものがルールに変わって、日本中にどんどん増えていくと思ったら、安心してお店に入れると思います。私はたばこの煙が苦手なので、入ってから『あー! 間違えた』と思っちゃうんですけど、入口にこうして掲示されているとスムーズにお店を選べますね」と感想を述べる。

  • 「吸う人、吸わない人、お互いの気持ちを考えた取り組みだなと感じました」と語る岡田さん

けむい問模試は街編・家編・店編に分かれており、問題はそれぞれ全10問。「お子さんや妊婦さんがいらっしゃる家庭でもご利用いただける、学べば学ぶほど役立つ問題になっています」と武井 健康局健康課長はアピールする。岡田さんは「家族同士、友達同士、会社のみなさんなどでけむい問模試に挑戦していただき、受動喫煙の知識を分かち合って欲しいと思います」と述べ、最後に“けむいモンポーズ”で理解を呼び掛けた。

  • けむいモンポーズで「望まない受動喫煙をなくしていきましょう!」と呼びかける岡田さん