■嬉しい予想外の反響と可能性

「茨ひより」の登場以降、これまで茨城県の魅力を伝えるためのクイズやゲーム実況、質問コーナーなど、若年層を狙ったポップなコンテナ作りがメインになっているが、一方で「茨城県議会議員一般選挙」啓発動画にも登場し、県職員としての仕事もしっかりこなしている。

  • 県庁職員らしく名刺も用意されている

    県庁職員らしく名刺も用意されている

この啓発動画で何よりも注目する点が、コメント欄にまだ選挙権を持っていない若者たちから、選挙に興味を持つ好意的なコメントが多く寄せられていることだ。選挙啓発のために芸能人をイメージキャラクターにする手法は多くあるものの、これまでチャンネルのコメント欄を通して視聴者と交流してきた分、身近な存在となっている「茨ひより」の呼びかけは、本来若い世代には敬遠されがちな内容でもより伝わりやすくなっているようだ。

谷越氏も「選挙啓発の動画が若い人に伝わりやすかった。魅力の発信以外でも「茨ひより」の活動に広がりがあるのではと思っているので、普及・啓発のような取り組みも進めていきたい」と予想外の嬉しい反響に、Vチューバーの可能性を感じているようだった。

■2019は「勝負の年」

自治体初として登場した「茨ひより」だが、現在Vチューバーは6,000体いると言われており、「今年は生き残りを賭けた年」だという。谷越氏は「自治体初のアドバンテージがあったが、これからはもっと多くの人に見てもらうことを考えなければならないので、活動の幅を拡げていきたい」と話す。

  • 茨城国体の文化プログラム「全国都道府県対抗eスポーツ選手権」ではイメージキャラクターを務める

    茨城国体の文化プログラム「全国都道府県対抗eスポーツ選手権」ではイメージキャラクターを務める

発表されているものでは、今年は9月28日から10月8日まで開催される『いきいき茨城ゆめ国体・大会』のPR担当に就任。またその中でも10月4~6日に初開催されるeスポーツ大会『全国都道府県対抗eスポーツ選手権 2019 IBARAKI』ではイメージキャラクターを務め、昨年9月に行われたプレ大会に続きアシスタントMCも狙っている。また、海外向け発信のために、英語にも挑戦しグローバル展開も視野に入れているという。

■Vチューバー運営半年間で得た自信

自治体初の取り組みとして始まった「Vチューバー」起用から半年。気が抜けない部分も多々あるというが、谷越氏は「自治体初ということで注目を浴びたことはすごくありがたい。想像以上に皆さんからコメントが集まってきていて、この企画ができてよかったと思える。視聴者とコミュニケーションを取りながら動画を作っていくことができるので、その点が一番良いと思っている」と充実感をにじませていた。

  • 『いばキラTV』のスタッフの皆さん

    『いばキラTV』のスタッフの皆さん

今年の魅力的ランキングについては「魅力が伝わってないのは事実なので、伝わるように動いていれば自ずと反映されていくんじゃないかと思っています」と手応えを感じているようだった。

昨年から企業がVチューバーの「柔軟性」、「汎用性」に目をつけ導入する例がどんどん増加しているが、今後は「ゆるキャラ」と同様に自治体でも取り入られるケースが増えるであろう。日本の「Vチューバー」界のパイオニアは「キズナアイ」だが、自治体系Vチューバーのパイオニアである「茨ひより」が、今後もさらなる活躍を見せ、モデルケースとして全国に広がることを期待したい。

■「茨ひより」に質問してみた

  • 茨ひより

    茨ひより

Q1「魅力度ランキングが最下位脱出への意気込み」

「茨城は本当にいいところなんですよ!! ランキングが最下位なのは、まだまだ皆さんに茨城の魅力を十分知ってもらえていないだけ……。なので、ただ単に情報を発信するだけではなく、視聴者の皆さんにも楽しんでもらえるようにこれからもいろいろな企画にチャレンジしながら、茨城の魅力を余すところなく伝えていきたいと思いますっ!」

Q2「茨城県の魅力は?」

「海もあり、山もあり、食べ物もおいしいところです。今の季節だと、袋田の滝の氷瀑とか、食べ物だといちごの『いばらキッス』やあんこう鍋、干しいもなどがおすすめですよ! 想像するだけでお腹が空いてきちゃいますね……!」

Q3「配属から半年経ちましたが、印象に残っている配信と嬉しかったユーザーからの声は?」

「特に印象に残っているのは、やっぱり#1の自己紹介です。緊張しすぎて「老若男女」を噛んじゃいました……。あとは、#5の都道府県別魅力度ランキング発表の回! 順位も去年と変わらず47位でしたし、まさか知事に出演いただけるなんて思ってもいなかったので、もう番組は打ち切りで私は異動かな……ととてもドキドキヒヤヒヤしました。視聴者の皆さんから「がんばって」と応援してもらったり、Twitterで「ひよりんアート」(視聴者からの茨ひよりのイラスト)を投稿してもらえたり、いつもたくさんのパワーをもらっています。中でも『茨城にはひよりんがいるから、茨城出身を自慢できるようになった』というコメントをもらった日は、ずっとニコニコしちゃいました! 温かい応援、いつも本当にありがとうございます……!」

Q4「今後どのようなアナウンサーになっていきたいと思っていますか?」

「まずは、原稿をスラスラ読めるように……そして、もっと茨城県民の皆さん、そして全国の皆さんに私のことを知ってもらえるようになりたいです! さらに言えば、外国語も勉強して、ワールドワイドなアナウンサーになりたいです。これからも頑張っていきますよ~っ!」