俳優の窪田正孝が7日、都内で行われた主演舞台『唐版 風の又三郎』の記者会見に、共演の柚希礼音、北村有起哉、風間杜夫、演出の金守珍とともに出席した。
窪田は「年明けから稽古を始めて分からない世界に飛び込んでみたいと思って今回お仕事をさせていただきましたが、分からない世界に飛び込んでいく中で噛み砕いて『唐版 風の又三郎』が入ってきている感じがあります。だから今はすごく楽しくてワクワクしていますよ」と公演が待ち遠しい様子。稽古が終わった後は共演者とともに焼き肉やカラオケに行ったそうで、「この前皆さんとカラオケに行ったんですけど、風間さんの吉幾三を聴けたのはすごく貴重でしたね」と仲が良いエピソードを明かした。
窪田は6年ぶりの舞台で、故・蜷川幸雄氏が演出した2013年公演の『唐版 滝の白糸』以来となる。前回の舞台も同じくBunkamuraシアターコクーンでの舞台だったが、「ここ3日間、シアターコクーンで場当たりをしていたんですが、どこかで蜷川さんが見てくれている感覚があって」と故人を懐かしみ、「そうやって感じられることも大切なことだと思うし、本当にやってきたものが染み付いていたんだなと純粋に思いました。だからすごく楽しみですね」と蜷川氏から教わったものを再び同じ場所で披露できることを心待ちにしているようだった。
『唐版 風の又三郎』は、1974年に状況劇場公演として初演され、根津甚八や李礼仙、小林薫といった俳優たちが出演して大きな話題を集めた作品。宮沢賢治の『風の又三郎』にギリシャ神話、シェイクスピアの『ヴェニスの商人』、さらに初演の前年となる1973年に起った自衛隊員による隊機乗り逃げ事件などをつきまぜながら誕生した民衆の"神話"ともいえる作品を、43年の歳月を経て再演される。主演は約6年ぶりの舞台出演となる窪田正孝とアングラ演劇初挑戦の柚希礼音がダブル主演。演出は2016年5月に逝去した蜷川幸雄の遺志を継ぎ、同年8月に上演した追悼公演『ビニールの城』(作・唐十郎)の演出を担当した劇団・新宿梁山泊主宰の金守珍が務める。
Bunkamura30周年記念 シアターコクーン・オンレパートリー2019『唐版 風の又三郎』は、2月8日~3月3日(2月12日・18日・25日は休演)に東京・渋谷のBunkamura シアターコクーン、3月8日~13日に大阪・ 森ノ宮ピロティホールにてそれぞれ公演。また、同公演の模様は6月にWOWOWで放送を予定している。