花粉症患者は年々増加を続け、もはや国民病だ。鼻水やくしゃみ、目のかゆみに加え頭痛や倦怠感で睡眠や仕事にも大ダメージ。そんな花粉症に悩む人に向けた新商品がエステーから登場した。同社が国立大学法人埼玉大学大学院理工学研究所の王青躍(おう せいよう)教授を招いて行った花粉症セミナーの内容をレポートする。

  • 国立大学法人埼玉大学大学院理工学研究所の王青躍(おう せいよう)教授

都市部で凶悪化する「花粉」

人体にとって、花粉とは異物といえる存在。身体がこれを排除しようとする働きにより、鼻水・くしゃみや目のかゆみといった免疫反応(抗原抗体反応)が現れる。

原因となる抗体をつくらせるのは実は花粉そのものではなく、花粉の中に含まれるアレルゲン。花粉が生産される山間地では、花粉はマスクで防げるほどの大きさがあり体内に入り込みにくいが、風に乗って運ばれるうちに花粉は凶悪化する。二酸化窒素などの大気汚染物質と結びつくと、水分で膨らみ破裂して粉々に。花粉は小さくなり、アレルゲンが飛散し体内に取り込まれやすくなるというわけだ。

さらには化学変化を引き起こし、人間にとってより強いアレルギー症状を引き起こす花粉となる。そのため、山間地よりも市街地のほうが花粉症の発症リスクが高いという。

花粉を香りでガードする「トドマツ」の力

花粉対策といえばマスクをまず思い浮かべるが、およそ3割の人が効果を疑問視して不満を抱いているというデータがある。同社ではマスクと一緒に使える商品として、「MoriLabo花粉バリアスティック」を開発した。

  • 「MoriLabo花粉バリアスティック」(価格はオープン/店頭実勢価格は税込1,058円前後)

同商品は、リップクリームとよく似た外観。スティック状の薬剤をマスクの外側に塗ることで、マスクの周りに「香りのバリア層」を作り、このバリア層に入ってきた浮遊するスギ花粉を香りでコーティングしてガードしてくれる。

この香りというのが、北海道の「トドマツ」の葉から抽出した精油。スギ花粉を包み込み、抗原抗体反応の起こりやすさを約10%に低下させるという研究成果がある。

トドマツの香り成分については、「空気中で花粉のアレルギー性をやや抑制する」「花粉アレルゲンの毒性を低減する」「大気汚染物質で凶悪化した花粉にも効く」という3つの特徴を有するという。トドマツの精油を塗ったマスクを花粉症患者が着用すると、塗布ありと塗布なしでは症状の重さに大きな差が出るということも実験によって明らかになっている。

森林浴気分で花粉症対策を

  • (左から)エステー事業統括部門ビジネス開発事業部クリアフォレスト担当部長の奥平壮臨氏、国立大学法人埼玉大学大学院理工学研究所の王青躍教授、日本かおり研究所代表取締役社長の金子俊彦氏

森や林の澄んだ空気に癒やされる「森林浴」。楽しいアクティビティーとしれ親しまれていたが、その健康効果についても科学的な裏づけがなされ、「森林セラピー」として新たに注目を集めている。森の空気は気持ちいいだけでなく、二酸化窒素などの大気汚染物質を浄化する作用があることが解明された。そんな中から「森の香りにヒントがあるのでは?」というアイデアを得て、今回の新商品開発のきっかけとなったそうだ。

同社は国立研究開発法人 森林研究・整備機構とともに「樹木精油を利用した環境汚染物質の無害化剤」といった研究をかねてより続けてきたが、その中で最も効果を発揮したのはトドマツだった。樹木の香りで空気の質を改善するという意味から「クリアフォレスト」というブランドで事業を展開している。

MoriLabo花粉バリアスティック(価格はオープン/店頭実勢価格は税込1,058円前後)は2018年12月12日発売。全国のスーパー、ドラッグストア、ホームセンターなどで購入できる。さまざまな花粉症対策商品があるが、同商品は他商品と併用できるのがいいところ。すっきり爽やかな香りで森林浴気分にもなれる花粉対策も視野に入れてはいかがだろうか。