総務省の報告によると、2016年の共働きの割合が2010年の51%から61%まで上昇しているとのことです。現代では世帯総数が減少している中、共働き世帯数が増加しているので、その割合は右肩上がりに増えています。

夫婦2人で忙しく生活しているとなかなか子どもを公園に連れて行くことが難しいのではないでしょうか。近隣に体を思いっきり動かせる場所があればいいのですが、都心だとそのような場所を見つけるのは苦労するかもしれません。私もトレーナーとして運動能力を向上させるのには公園が一番と常日頃から発信しているのですが、肝心の公園が身近にない場合はどうすれば良いか保護者からよく質問されます。今回は、そんな共働き夫婦にオススメな"団地併設の公園"の活用についてご紹介します。

  • 忙しい共働き夫婦は、団地併設の公園を活用しよう

    共働き夫婦にオススメな"団地併設の公園"の活用法

都会で見つけた、遊び場充実の"意外な空間"

たまたま取引先へ向かって歩いている途中でたくさんの子どもたちが団地(東京都江戸川区・小島町二丁目団地)の方へ走り込んでいきました。

海外生活が長かった私の幼少時代ですが、小学校2~5年生の3年間だけ千葉県習志野市に住んでいました。当時は学校から帰ると、ほぼ毎日ランドセルを玄関先に放り投げて友達と外遊びに行くのが日課だったのを覚えています。当時は広々とした野原が市内に点在していて、カンケリやケードロなどで暗くなるまで遊んでいました。団地に住んでいる友達も何人かいましたが、団地の敷地内で遊んだ記憶は全くなく、子どもたちが大勢団地の敷地内になだれ込んでいく図が新鮮に思えたのです。

打ち合わせが終わり、帰り道に興味引かれるまま団地の敷地内に入ると、そこは意外な空間が広がっていました。まず、金網で囲まれた広いボール遊びエリアが目に留まりました。そこではたくさんの男女のグループが球技で遊んでいます。また敷地内の別のエリアにはアスレティック遊具や鉄棒・すべり台のオーソドックスな遊具があるスペース、そしてある場所には1-2歳の子どもが安心して遊べる場所もありました。

  • 思いっきりボール遊びができるフィールド

  • 階段がないチャレンジングな滑り台

調べてみるとこれは「プレイポット」と呼ばれるスペースで、UR団地にはこのような小さな公園スペースが複数あり、昔はプールが併設された場所もあったようです。幼少期の団地のイメージは「直方体の建物がショーウィンドー内のケーキのように並んでいる」というものでしたが、それは完全に覆されました。

  • じゃぶじゃぶ池がある団地も

幼少期の運動能力を身に付けるのに十分な設備

このようにリノベーションされたかつての集合住宅は都内に増えて続けているようで、2013年の研究では団地の住民よりも団地外の子どもの方が多く遊んでいる報告もありました。敷地内にある公園は団地内外を問わず子どもたちに利用してもらう遊び場として設計されているという研究報告はかなり衝撃的でした。

  • 木登りが楽しめるフィールド

今回見学したUR都市機構の団地は、子どもたちが元気に育ち、また活き活きとした暮らしが根付くよう"地域社会に貢献するまちづくり"の一環として取り組んでいるとのこと。乳幼児から中高生まで様々な年齢層の子どもが楽しく体を動かせる場所であることに納得しました。

団地の敷地内にありますので、公園の利用者は騒音やゴミの持ち帰りなどのマナーをしっかり守って利用するのは言うまでもありませんが、運動能力を養うのに幼少期に身につけておくべき、「投げる」、「走る」、「蹴る」などの基本動作は団地にある公園で十分体験できることがわかりました。一度近所に団地があればお子さんと一緒に行ってみてはいかがでしょうか。

著者プロフィール:遠山 健太(とおやま けんた)

ウィンゲート代表取締役、健康ニッポン代表理事、「リトルアスリートクラブ」代表トレーナー。1974年、米国ニューヨーク生まれ。ワシントン州立大学教育学部初等教育学科卒業。東海大学スポーツ医科学研究所研修員を経て、2004年より全日本フリースタイルスキーチームフィジカルコーチを務め、主にジュニアアスリートの指導を担当する。現在は学研プラスと共同で立ち上げた子ども運動教室「リトルアスリートクラブ」を展開。また都内の公立小学校へ「文部科学省新体力測定結果を用いたスポーツ適性診断」の特別授業も行っている。著書は『スポーツ子育て論』(アスキー新書)、『運動できる子、できない子は6歳までに決まる!』(PHP研究所)、『ママだからできる運動神経がどんどんよくなる子育ての本』(学研プラス)など多数。