クリスマスにお歳暮と何かと贈り物が増えるこの季節。平成最後の特別なシーズンとあって、今回は記念になにか贈ろうかなと考えている人も少なくないはず。せっかくなら、印象に残る贈り物をしたいと思い描いている人に向けて、ラッピングコーディーネーターの資格取得のための講習を行っている「ラッピング協会」の専務取締役・チーフコーディネーターである熊谷洋子さんに、ラッピングの基礎から教わってきたのでご紹介しよう。

  • ラッピングってどうやればいいの?

    ラッピングってどうやればいいの?

ラッピングに必要なもの

ラッピングをはじめる際に最低限必要な道具は、3つある。

カッター
ハサミ
セロハンテープ(または両面テープ)

  • ラッピングに必要な3セット

    ラッピングに必要な3つのツール

編集部は今回100円ショップで道具を集めてきた。その中で購入する際に注意してほしいのが、カッターは刃が細いものを選ぶという点。包装紙を切る際に刃を長く出して、しならせながらカットするときれいに切れるため、木工用などの刃が太い物だと難しくなってしまうからだ。

  • カッターは刃を短く出すと包装紙が切れにくい

    カッターは刃を短く出すと包装紙が切れにくい

  • カッターは刃を長く出す

    カッターは刃を長く出す

  • 刃がしなって包装紙と机の隙間が無くなりきれいにカットできる

    刃がしなって包装紙と机の隙間が無くなりきれいにカットできる

ハサミはリボンやテープを切る際に使用。セロハンテープか両面テープどちらでも良いとのことだが、両面テープだと仕上がりが美しくなるという。

ラッピングの種類

ラッピングの基本となるベースの包み方は3種類あると熊谷さんは話す。

「合わせ包み」…キャラメル包みとも呼ばれる。最も使用する紙が少なく簡単に包むことができるという。

「風呂敷包み」…商品をひっくり返さないで包めるため、重い物や転がせない物などを包む際に用いられるとのこと。

「ななめ包み」…デパート包みとも呼ばれる。祝儀と不祝儀に分けて包み方を変えることができるのが特徴。見分け方は、祝儀の場合は包装紙の折り目が上向きにあり、不祝儀の場合は逆に包装紙の折り目が下向きになる。これは「良いことは上のポケットから入って、悪いことは下のポケットから流れるように」との意味が込められているという。

包装紙の選び方

熊谷さんのおすすめは、「ストライプ柄」「ドット柄」「総柄」など絵柄の向きを気にしなくて良いものだという。その理由は、気にしていない人が多いという「包装紙の向き」にあると話す。絵柄があるものだと包む際に、模様が切れてしまうことや、柄が逆になってしまう場合があり、見栄えが悪くなってしまうケースがある。特に包むものが小さい場合は注意が必要とのこと。

  • 絵柄を気にしないデザインがラッピングしやすい

    絵柄を気にしないデザインがラッピングしやすい

  • 絵柄がある場合は向きを気にしながらラッピングする

    絵柄がある場合は向きを気にしながらラッピングする

商品の大きさによって、包装紙の絵柄の大小を見分ける点もポイント。また絵柄の向きを気にしない包装紙を使用して、シールやスタンプでデコレーションをおこなうと見栄えがアップするとのこと。さらに外国人向けの贈り物の際は、和紙や風呂敷を使用すると喜ばれるという。

  • シールやヘアゴムで装飾することも可能

    シールやヘアゴム、モールで装飾することも可能

ラッピングワンポイントアドバイス

熊谷さんは、リボンを結ぶ際に右利き用と左利き用の結び方を意識すると、上手に蝶結びができると教えてくれた。

  • ラッピングされる前のマイナビベア

    ラッピングされる前のマイナビベア

  • ラッピング袋の中からひょっこり

    ラッピング袋の中からひょっこり

  • 右利きの結び方

    右利きの結び方

  • 左利きの結び方

    左利きの結び方

上記のように右利きの場合は、リボンを交差した際に右手が上、左利きの場合は逆に左手が上になるようにする。そうすることにより、その後の輪っかを作ったまま、真ん中の穴にリボンを通す作業が利き手で行えるため、きれいな仕上がりになりやすいという。

  • 結んだリボンはお好み長さにカット

    結んだリボンはお好みの長さにカット

5分で完成 簡単ラッピング術

ここまでラッピングの知識をお伝えしてきたが、いよいよ実際に簡単にできるギフトラッピング術を教えてもらった。今回は間近に迫ったクリスマス仕様のラッピングをご紹介。

  • 用意するものは100円ショップですべて購入可能

    用意するものは100円ショップですべて購入可能

  • ラッピングする箱(約150mm×80mm×40mm)

    ラッピングする箱(約150mm×80mm×40mm)

  • 熊谷さんが使用したラッピング用品

    熊谷さんが使用したラッピング用品

作り方

  • (1)

    (1)

  • (2)

    (2)

  • (3)

    (3)

(1) 包装紙の柄を下向きにし、その上に箱を裏向きに置く
(2) 三つ折りに重ねた不織布を箱の上に置く
(3) 不織布を包装紙で包む

  • (4)

    (4)

  • (5)

    (5)

  • (6)

    (6)

(4) 包装紙を少し引っ張りながら押さえて、テープ止めした後ひっくり返す
(5) 不織布をキュッと箱の中央に束ねてカーリングリボンを固結び2回
(6) カーリングリボンを線に沿ってハサミで引くとカールする

  • (7)

    (7)

  • (8)

    (8)

  • (9)

    (9)

(7) 結んだカーリングリボンの間にオーナメントを差し込む
(8) 不織布をお好みの長さに切る
(9) 不織布を華のように拡げて完成

  • 完成したクリスマス仕様のラッピング

    完成したクリスマス仕様のラッピング

熊谷さんは約3分で完成させたが、編集部でも挑戦した結果、5分ほどでラッピングができた。今回はクリスマス仕様だが、素材や色の組み合わせを変えるだけで、バレンタインや上司・同僚へのプレゼントなど、さまざまな使い道がある。

  • 素材や色の組み合わせを変えるだけで様々な使い道がある

    素材や色の組み合わせを変えるだけでさまざまな使い道がある

贈り物の心得

熊谷さんはラッピングの心構えの基本は「自分がもらった時に嬉しいか?」、さらに「その材料を見て作りたいと思うか」が大切だと話す。ラッピングの考え方は生花と同じだと言い、「例えばお客さんのために花を飾っていても、時々枯れてきても店頭に置いてあるお店ってあります。私は『だったら置かないほうがいい』と言います。その花を見て、美しい、きれい、可愛らしいと思ってもらわないと残念な結果になります。ラッピングも完成時に満足するのではなく、渡すときまで気を配ることが大切です。相手に渡すところまでリボンの結びが相手の手元できっちり収まっていないと意味がないです」と力説してくれた。

  • ラッピング協会の講座ではさまざまなラッピング術を学ぶことができる

    ラッピング協会の講座ではさまざまなラッピング術を学ぶことができる

  • 洋風・和風と多種多様のラッピング術は奥が深い

    洋風・和風と多種多様のラッピング術は奥が深い

贈り物は心を贈るからこそ、自分のワクワク感を大切にして相手を思いやる気持ちが重要だろう。包装紙の向き1つに気を配ることも、装飾のズレが無いか渡すその時まで注意を払うことも、そんな「きめ細やかな心配り」がラッピングにも表れるのかもしれない。この記事を読んでいる読者の方は、きっと贈る相手を想ってこのページを開いてくれていると思う。ぜひとも参考にしていただき、素敵な贈り物にしてほしい。

  • ぜひお試しあれ

    ぜひお試しあれ

監修者プロフィール: 熊谷 洋子(くまがい ようこ)

15年以上ラッピング協会の講師を務め、自身のラッピング教室の運営と多数のカルチャー教室を開催。2010年よりラッピング協会チーフコーディネーターに、同年より協会講習用テキストすべての編集と講習内容の見直しを担当し、2013年よりラッピング協会取締役に就任、現在に至る。商品に合わせた新しいラッピングデザインを大手企業や海外企業に提供するなど、新しいラッピングデザインをクリエイトするラッピングデザイナーとして活躍中。日本テレビ系昼の情報バラエティ番組『ヒルナンデス!』をはじめ、多数のニュースメディアに出演。「ラッピングマニュアル」(ラッピング協会)、「スイーツラッピングマニュアル」(ラッピング協会)、「ラッピングバイブル」(ナツメ社)など多数の書籍を発表している。

ラッピング協会では、贈り物を美しく包みあげるラッピング技術を有したラッピングコーディネーターの育成・振興を目指し、これまで全国で25,000名以上のラッピングコーディネーター資格取得者を輩出。ラッピングコーディネーター取得後は、講師として活躍できるサポートクラスもあり、取得によって自宅教室やカルチャー教室で講師として、小売り関係などでは職場で指導的な立場を得て活躍できるという。