クレジットカードには、お買い物などをできる上限額が設定されています。いわゆる「限度額」と呼ばれる枠ですが、どんなふうに決まるのでしょうか? また、一度決まった限度額を上げることはできるのでしょうか?

  • クレジットカードの限度額はどう上げる?

そこで今回は、クレジットカードの限度額について解説します。

クレジットカードの限度額ってなに?

利用限度額とは、クレジットカードを利用できる上限額のことです。「カード利用枠」「カード利用可能額」などとも呼ばれます。(本稿では「限度額」と呼びます)

限度額には、カードの機能すべてを合わせて利用できる金額が含まれます。ショッピングでのほかキャッシング機能がついているカードなら、ショッピングの枠、キャッシングの枠がそれぞれ設定されるほか、合計の利用額の上限も設定されます。

利用限度額はどう決まる?

カードの限度額は、カードを申し込んだときに決まります。申込書に記載した職業や年収などをもとに返済能力が審査され、カードが発行されるときに限度額が設定されます。カードが自宅に届く時にカードが貼り付けられている台紙に、決定した限度額がかかれています。

一般的には勤続年数が長いほど、年収が高いほど限度額は高めに設定されます。ただ、年収などが同じ条件でも、カードの種類によって限度額が異なることもあります。若者向けに発行されているカードを初めて作るときには10万円程度に設定されるケースが多いのに対して、ゴールドカードなどステータスの高いカードでは100万円程度に設定されることも少なくありません。

もちろん、限度額の高いカードのほうが審査の水準が高く、返済能力が低いと判断されると作れないことがあります。

カードを更新するときや、同じカード会社で一般カードからゴールドカードに切り替えるときには、それまでのカードの利用状況によって限度額が変わることがあります。それまでにカードの引き落とし時に銀行口座が残高不足になったことがない、支払いを遅延したことがないなど、滞りなく支払いをしていれば、返済能力が高いとみなされて限度額がアップすることがあります。

逆に返済が繰り返し遅れたことがあると、限度額を下げられてしまうこともあります。

利用可能額と限度額はどう違う?

カードを利用できる上限額を「限度額」というのに対して、カードを使っているときに「あとどれくらい使えるか?」を「利用可能額」といいます。

利用可能額は、限度額のうちカードを利用してまだ支払っていない金額を差し引いた残りの金額を指します。たとえば、限度額が30万円のカードで10万円のお買い物をしたときは、その引き落としが済むまではあと20万円使えることになります。引き落としが済めば、利用可能額は30万円に戻ります。

なお限度額がショッピング、キャッシングそれぞれに設定されている場合は、ショッピングの限度額からお買い物金額を引いた残りがショッピングの利用可能額になりますが、ショッピングのほかキャッシングなどカードの機能を合わせた総利用枠が設定されている場合には、キャッシングを利用するとその分ショッピングの利用可能額が減ることもあります。

詳しいしくみはカードによって異なることがありますので、お手持ちのカード会社に確認してみましょう。

クレジットカードの利用限度額を上げる方法

一度設定された限度額は、後で変えることができます。引き上げには2種類の方法があります。

ひとつめは、限度額を一時的に上げる方法です。海外旅行に行くときなど、クレジットカードをたくさん使いたいときだけ限度額を上げるもので、電話やインターネットで申し込みます。1万円単位で上げられ、引き上げる期間をあらかじめ設定します。カード会社によっては、申し込むと即時で引き上げられることもあります。

ふたつめは、継続的に限度額を上げる方法です。こちらは増額にあたり審査が必要です。申し込みは電話やインターネットでできますが、その場ですぐに引き上げられることは原則としてありません。

1~2週間程度で審査の結果が郵送かメールで通知されることが多いようです。増額は10万円単位などまとまった金額ごとになるのが一般的です。

逆に、限度額を引き下げることもできます。引き上げと同じようにカード会社に電話で申し出るか、インターネットの会員サービスから減額の手続きをします。審査は不要で、基本的に申し出ると即日など速やかに減額されます。

ただ、一度限度額を引き下げると、再度上げたいときには増額の手続きが必要です。継続的な増額には審査も必要ですから、クレジットカードを長期的にどれくらい使うかをよく考えてから引き下げるのが安心です。

カードの限度額のしくみを理解して、お買い物で便利に使えたらよいですね。

※写真と本文は関係ありません

加藤梨里
ファイナンシャルプランナー(CFP(R)認定者)、慶應義塾大学スポーツ医学研究センター研究員
保険会社、信託銀行を経て、ファイナンシャルプランナー会社にてマネーのご相談、セミナー講師などを経験。2014年に独立し「マネーステップオフィス」を設立。専門は保険、ライフプラン、節約、資産運用など。大学では健康増進について研究活動を行っており、認知症予防、介護予防の観点からのライフプランの考え方、健康管理を兼ねた家計管理、健康経営に関わるコンサルティングも行う。