2018年6月に「トマレのススメ」でアーティストデビューを果たした声優の駒形友梨。デビュー後はイベント「カラオケMAX」(7月開催)やテレビ東京「THEカラオケ☆バトル」(10月放送)に出演するなど、その歌唱力を生かし、活躍の幅をひろげている。

  • 駒形友梨(こまがたゆり)。1991年8月25日生まれ。東京都出身。 スペースクラフト・エンタテインメント所属。主な出演は『アイドルマスター ミリオンライブ!』高山紗代子役、『まんがーる!』鳥井あき役、『未確認で進行形』三峰白雪役など。野村香菜子、角元明日香と3人でパーソナリティを務めるラジオ「だれ?らじ」ではキレのあるツッコミ役として番組を進行する
    撮影:Wataru Nishida(WATAROCK)

そんな彼女が12月5日に1stミニアルバム『〔CORE〕』をリリースした。今回は、駒形自身の歌声を中心(〔CORE〕)に様々な楽曲を歌い上げるというコンセプトの本アルバムを中心にインタビューを実施。アルバム収録の全7曲について語ってもらった。

▼深く掘り下げられる楽しさ

――デビューシングル「トマレのススメ」をリリースしてからはやくも半年が経ちましたね。

はい! デビュー以降、いろいろなライブイベントに出演させていただく機会が増えました。これまでも作品のイベントに出演する機会はありましたけど、駒形友梨として呼んでいただくのは、また違ったうれしさがあります。

――生活面での変化はありました?

デビュー前から作品の主題歌やキャラクターソングなどで歌のお仕事はさせていただいていたので、大きな気持ちの変化などはありませんでした。でも、今回のアルバムで作詞にチャレンジしたので、日々感じたこととかフレーズとかをメモしておけばよかったなと思いましたね。いろいろな人から「書いておいたほうがいいよ」と言われてはいたんですけど、身をもって実感しました。

――「作詞初チャレンジあるある」ですよね。アルバム『〔CORE〕』をリリースすると最初に聞いたときの気持ちはいかがでしたか。

スタッフさんとイベントなどの空き時間に、「次はこんな曲を歌うのどう?」とか「こういう曲の雰囲気って好き?」といったディスカッションを自然にしていたんですよ。「楽曲の話をしていただいているということは、次があるのかな?」とは感じていて、ひとりで勝手にうれしく思っていました。

――気付いてしまった(笑)。

でも、ミニアルバムとは思わなかったですね。一気に7曲も増えると聞いたときはうれしかったです。いつかワンマンライブをやりたいと思っていたので、持ち曲が一気に増えて実現に近づくことができると思いましたし、アーティストとしての世界観も濃くなっていくなと。

――シングルではできないアプローチというのもありますしね。

デビューシングルではアニメのタイアップがあって、作品の世界観も大切にしないとという部分や、収録曲数も限りがありました。今回のミニアルバムはノンタイアップだからこその良さや自由度があって、自分の曲ということでの世界観や雰囲気などの密度を濃くしていけると思いました。アルバムのテーマがあるからこそ、より深く掘り下げられる楽しさがありましたね。

▼迷路に迷い込んでいまった一曲

――『〔CORE〕』というタイトルはどのように決まったのでしょう。

アルバム制作序盤のころは、好きな曲の雰囲気だとか、プロデューサーが思うミニアルバムの方向性といった話し合いをしていました。ある程度楽曲が集まってきたときに、プロデューサーの口からふわっと「タイトルは〝CORE″ってどう?」と。「今回はいろいろなジャンルの楽曲を歌っていくミニアルバムで、その中心に駒形さんのボーカルがあるから」というイメージを聞かされて、それは素晴らしいなと思って決定しました。

――歌声が中心になるというコンセプトに対して、自信や不安などは。

デビューシングル「トマレのススメ」を経た分、キャラクターを通さずに自分だけで歌うということについて、少しずつ噛み砕いて慣れてきてはいたんですよ。でも、最初に「メイズ」のレコーディングをして、初っ端からつまずいてしまいました。「トマレのススメ」の作曲の矢野達也さんが作詞・曲を担当してくださっていて、メロディと歌詞の世界観がバッチリ合っているんです。歌詞も1度読んだだけではわからなくて、私も何度も読んだり解説していただいたりしまいした。

――それは歌唱が難しかったり、精神的なものだったり。

全体を通して、歌い方や表現方法に迷いましたね。世界観が重め、暗めの楽曲なんですけど、どこまで気持ちを落とし込んで歌えばいいのか迷ってしまったんです。たとえば元気な楽曲だと、自分の元気さを最大限に出せばそれが正解になるんですけど、逆の方向だと難しいですね。「大人っぽい雰囲気で歌って、サビで感情を爆発させたほうがいいのだろうか」とか悩んでしまって。

――技術的にはいかがでしたか。

難しかったです。音程も高くて、しかもメロディーが行ったり来たりするんです。コーラスでも英語パートがあて、なかなかキャラクターソングではアプローチしない方向性なんですよ。でも、そこに挑戦できるのはソロだからこその良さでもありました。これまで経験していない分、迷ってしまいましたけど、なんとか最後まで歌い切りました。

――「メイズ」は2曲目に収録されている楽曲で、1曲目の「starting in the haze」からシームレスでつながるようなつくりになっていますね。

まさに続きになるような楽曲で、聴いていても耳でしっかりとわかるようになっているんです。「starting in the haze」はぼやっとした霧の中からはじまるようなプロローグで、「メイズ」で一気にアルバムの世界に引き入れるという印象的な楽曲です。「迷路」がテーマになっている楽曲で、音やコーラスの数がたくさんあるので、いろいろな音を探そうとして、聴いている人も迷路に迷い込んでいる気持ちになるかもしれないですね。私も迷い込んでしまい、レコーディングにいつもより長く時間がかかりました。コーラスも全部自分でやっているからかもしれないですけど。ゼーハー言いながら出口を探していきました。