JR西日本は13日、おおさか東線の運行体系など概要に関する記者会見を実施した。2019年春に新大阪~放出間が開業予定のおおさか東線では、新大阪~久宝寺間の各駅に停車する普通列車に加え、新大阪~奈良間の直通快速を平日・土休日に上下各4本運行する。

  • おおさか東線と梅田貨物線の合流部分。隣の線路を走る列車はJR京都線(東海道本線)を走る新快速。11月13日の報道公開にて撮影

直通快速は新大阪~奈良間をおおさか東線・大和路線(関西本線)経由で結び、所要時間はおおむね60分。平日の直通快速はビジネス(出張)や通勤・通学の利便性向上を目的とし、朝ラッシュ時間帯に奈良発新大阪行を4本運転し、運転間隔は30分に1本程度で、新大阪駅到着は7時頃から8時30分頃、夕ラッシュ時間帯には新大阪発奈良行を4本運転し、運転間隔は60分程度で、新大阪駅発車は17時30分頃から20時30分頃を予定している。

土休日の直通快速は、奈良から出かける際に便利な列車として8・9時台に奈良発新大阪行2本、17・18時台に新大阪発奈良行2本、奈良観光に便利な列車として10・11時台に新大阪発奈良行2本、16・17時台に奈良発新大阪行2本を運転する。平日・土休日ともに直通快速の使用車両は7両編成の207系または321系。新大阪~奈良間の途中停車駅は放出駅・高井田中央駅・JR河内永和駅・久宝寺駅と、王寺駅からの各駅とされている。

普通列車は新大阪~久宝寺間で1時間あたり上下各4本、おおむね15分間隔で運転(早朝・深夜は除く)。所要時間は新大阪~久宝寺間おおむね35分、新大阪~放出間おおむね20分となる。使用車両は6両編成の201系とされた。

  • 直通快速は7両編成の207系または321系を使用(2013年撮影)

  • 普通列車は201系6両編成で運転される(2013年撮影)

記者会見ではJR西日本執行役員 近畿統括本部大阪支社長の川井正氏が、おおさか東線全線開業後の直通快速・普通列車の運行体系などを説明。直通快速の停車駅に高井田中央駅・JR河内永和駅が加わったことにも触れ、「高井田中央駅は(Osaka Metro)中央線、JR河内永和駅は近鉄奈良線と隣接する駅。南区間(放出~久宝寺間)の開業から10年、この2駅は利用されるお客様が増え、とくに定期利用者が増加傾向にあります。直通快速が停車することで利便性が向上するものと考えています」と述べた。

おおさか東線の全線開業にともなう運賃等も発表され、新大阪駅からおもな駅までの普通旅客運賃(大人)はJR淡路駅まで160円、放出駅まで220円、久宝寺駅まで390円、王寺駅まで640円、奈良駅まで920円となる。全線開業に合わせ、「ICOCA」による利用促進キャンペーンも考えているという。

おおさか東線の全線開業による効果について、川井氏は「大阪東部エリアを南北に結ぶ鉄道ルートができ、新大阪駅で新幹線と結節することで、全国各地から大阪東部、さらには奈良方面への移動がスムーズになり、利便性が向上するものと考えています。一方、沿線の方々にとっても、京都・神戸方面のアクセスがスムーズになり、学校または職場の選択肢が広がるなど、生活シーンを変えられるのではないか」と説明する。

奈良県内では来春から新型車両227系の導入が始まり、再来年春には県内全駅でICカード乗車券も利用可能となる予定で、観光がより快適・便利になるという。JR西日本としても奈良県の観光に力を入れているようで、「奈良はきわめてポテンシャルの高い有名観光地。その歴史・文化は比類なきものがあります。世界各国から、あるいは日本全国から訪れていただきやすいようにアクセスルートを整備し、それを生かしていくことが大事」「じつは奈良への鉄道での入域に関して、割合としては東が9割で西が1割。私たちとしては、やはり西からの流動・交流も促進したいと考えています」と語った。

  • 記者会見の後、川井正氏(JR西日本執行役員 近畿統括本部大阪支社長)がおおさか東線全線開業をPRする法被を着て撮影に臨む場面も

なお、新大阪~奈良間の直通快速の運転開始にともない、現行の学研都市線(片町線)・JR東西線経由の直通快速は運転取りやめとなる。おおさか東線全線開業後の学研都市線との接続に関して、「放出駅で同一ホーム乗換えとなります。できる限り時間調整もしたいと思います」と川井氏は言う。新大阪駅での在来線との接続については、「ホームを移動する必要があるものの、JR京都線・JR神戸線の列車本数は非常に多いですし、問題なく各方面へ乗り換えられるのではないかと思っています」とコメントした。

おおさか東線の新駅のホームはいずれも8両編成対応だが、全線開業後も直通快速は7両編成、普通列車は6両編成での運転となる。将来の車両置換えで編成両数を増やした場合でも運用できるように、設備に余裕を持たせた設計になっているという。なお、ホームドアについてはいまのところ設置の予定はないとのことだった。

JR西日本では、おおさか東線の全線開業後も、大阪駅北地区のうめきたエリアで東海道線支線の地下化と大阪駅に近接する北梅田(仮称)駅の設置、大阪市内を南北に走るなにわ筋の地下を通り、難波付近までを結ぶ新路線「なにわ筋線」の整備などが進む。質疑応答では、おおさか東線の北梅田(仮称)駅および「なにわ筋線」への直通に関する質問もあり、川井氏は「うめきたの新駅に入ることは構造的に可能ですが、現在のところ新駅に行くような計画はありません。なにわ筋線も含め、運行可能性はあるとしても、どのように路線を使っていくかはこれからの検討課題だと思っています」と答えていた。

  • 記者会見ではおおさか東線全線開業後に運転される直通快速・普通列車の概要、全線開業で見込まれる効果などが説明された