先日、1年目の後輩・M君からこんな相談を持ちかけられた。
「俺、忘年会の幹事を頼まれたんすけど、正直めんどくさいんですよね……。なんかうまいこと他のやつにパスできないですかね? 」
身の回りで1番めんどくさがり屋っぽい雰囲気を漂わせている筆者なら、何かいい逃げ道を知っているのではないかという考えのもとでの相談だろう。しかし、自分も参加する忘年会をテキトーに済まされるのも困りものだ。そこで、このM君を説得するべく、とある方のもとを訪ねた。
幹事はチャンス!
今回協力していただいたのは、販売促進コンサルタントとして活動している桜井淳さん。「幹事」に関する書籍も執筆している同氏に、幹事を請け負うことのメリット、そして幹事というプロジェクトを成功させるための秘訣を伺った。果たして、M君は幹事をやる気になってくれるだろうか。
「若手社員にとって、幹事を任されるということは完全にチャンスでしかないです」
いきなり核心を突いてくる桜井さん。しかし、M君を見てみると、この期に及んで「キレイごとはいらないんですわー」みたいな顔をしている。それでは、具体的にどういった部分がチャンスだと捉えられるポイントなのかを聞いていこう。
幹事にはビジネスのエッセンスが詰まっている
「周囲とあまり差がついていない若手のうちは特に、幹事という仕事で評価を得るのは大事だと言えるでしょう。例えば、自分が上司だったらと考えてみてください。上司は、若手社員の仕事を一部始終観察している暇はなかなかないという状況でも、未来の会社を担う存在を育て上げなければいけないわけです。こんなときに、飲み会やパーティーにおける幹事としての仕事ぶりを見るのが、最もわかりやすくて手っ取り早いんです」
クライアントに直接関わるわけではないライトな仕事、しかも面倒ということで、それだったら若手に任せておこうというのが上司側の本音かもしれない。ただ、クライアントに直接影響が出ないからこそ、幹事という仕事は若手の能力を見るのにもってこいだと言い換えることもできる。
「実は幹事という仕事は、ビジネスのあらゆる基本能力が必要となる“プチ・プロジェクト”なんです。これをうまくやり遂げることができれば、次の仕事はあいつに任せてみようか、となるわけですね。具体的に必要な能力として挙げられるのが、企画力、スケジュール管理能力、リーダーシップ、予算管理能力、危機管理能力といったところです。幹事の仕事には、これらの要素が凝縮されているんです」