「貯蓄から投資へ」という言葉を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。将来に向けて資産を増やしていくためには、今までのように貯蓄だけではなかなか資産が殖えません。資産運用の大切さを一緒に考えていきましょう。
そもそも資産運用ってなに?
資産運用とは、将来に向けて資産を運用しながら殖やしていくことをいいます。資産運用というと、株や債券などで運用するというイメージがありますが、広い意味では銀行の預金も含まれます。
しかし、2018年9月現在の大手銀行の1年定期の金利は0.01%です。100万円預けても1年後に受け取る利息はわずか100円です。実際はここから20.315%の税金がひかれるので手取りは80円にもなりません。これでは残念ながら資産を殖やしていくことは難しいのが現状です。
ですから、資産を効率よく殖やしていくためには株や債券などで運用することが必要になってくるのです。
どうして資産運用が必要なの?
では、なぜ資産運用が必要なのでしょうか。資産運用の必要性を将来想定されることから考えていきましょう。
1.インフレ
現在、日本は2%のインフレを目標に掲げています。インフレとはモノの値段である「物価」が上がり、お金の価値が下がることを言います。物価が上がるのと同じように預金の金利が上がればいいのですが、先ほどもお伝えしたように、現在の大手銀行預金の金利は0.01%です。そしてしばらくはマイナス金利が継続される見通しなので当分預金の金利が上がることはなさそうです。
物価が2%上がるということは、今まで1万円で買えていた物が10,200円出さないと買えないことになります。銀行に1万円を預けていても1年後に受け取る利息は1円。このように、物価だけが上がり銀行預金の金利がそのままだと、お金が目減りしてしまうことになるのです。
2.少子高齢化
「2025年問題」という言葉を聞いたことはありますか? 2025年には団塊の世代の人達が75歳を超えて後期高齢者となります。さらに、国民の3人に1人が65歳以上となり、かつて日本では経験したことがない超高齢化社会となります。このことを「2025年問題」と言います。このように少子高齢化が進んでくると、年金や医療費などの社会保障はどうなるのでしょうか?
また、これからは「人生100年時代」と言われています。長生きできることは嬉しいですが、その分老後が長くなるということ。やはり、少しでも早いうちから資産運用をして老後の資金を準備していく必要がありそうです。
資産運用のメリット、デメリットは?
資産運用をすることの一番大きいメリットは、やはり銀行の金利以上の利回りが期待できるということでしょう。そして、デメリットは、株式や債券の値段は日々動いているので、購入した時より値段が下がると損をします。また海外の商品に投資をする場合は、為替の影響を受けることがあります。
初めて投資をする人にとっては、「損をしそう」というイメージがあるかもしれませんが、正しい知識を身につけることで、自分に合った資産運用をすることができます。
資産運用初心者は「分散」「長期」「継続」から
資産運用のキホンは、「分散」「長期」「継続」の三つです。
投資の有名な格言に「卵を一つのカゴに盛るな」というものがあります。卵を全て一つのカゴに盛ると、カゴを落とした場合全ての卵が割れてしまいますが、複数のカゴに分けていると割れる卵の数を減らすことができます。投資も同じで、一つの資産に集中して投資するのではなく複数の資産に分けて投資をすることでリスクを抑えることができます。このことを「分散投資」といいます。
とは言っても、どんな資産に投資をしたらいいか分からない。そのような場合に、一本購入することで日本や世界の株式や債券に分散投資をすることができる投資信託という商品があります。
投資信託とは、多くの投資家がお金を出し合って一まとめにしたものを、運用の専門家が日本や世界の株式や債券に投資をして運用し、運用で出た利益を投資家に還元するという金融商品です。
投資信託は金融機関にもよりますが1,000円程度からでも購入することができます。毎月決まった金額を継続して購入することで、投資信託の価格が高い月は少ない口数を、価格が低い月は多い口数を購入することができます。そして長期間購入することで、一時的に価格が下がっていても平均的なリターンが期待できるようになります。
このように、分散投資をしながら、長期間継続して運用を続けることでリスクを抑えることができるのです。
資産運用は長く運用することで、受け取る時に大きな差ができてきます。安心して老後を迎えるために、少しでも早く資産運用を始めてくださいね。
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著者プロフィール: 安部 智香
女性ファイナンシャルプランナーによるお金の総合クリニック「エフピーウーマン」認定ライター/ファイナンシャルプランナー。短大卒業後、証券会社に勤務。在職中は、資産運用を担当。結婚退職後は「もっとお金のこと、家計のこと、資産運用のことを伝えたい」という思いで、個人事務所を立ち上げ、個別相談、執筆業務、セミナー、マネーセミナー講師として活動中。