東京メトロは11日、丸ノ内線新型車両2000系の報道公開を実施した。鮮やかな「グローイング・スカーレット」と丸ノ内線のシンボル「サインウェーブ」を配した外観となり、車内には同社初というコンセントも設置。2019年2月中旬頃の運行開始を予定している。

  • 東京メトロ丸ノ内線に導入される新型車両2000系

新型車両2000系のコンセプトは「色 -Color- 四季に映える鮮やかな挿し色」「形 -Form- 活力あるTOKYOのカタチ」「機能 -Function- 安心を支える先進の機能」。鉄道車両のデザインを数多く手がけるインダストリアルデザイナーの福田哲夫氏と福田一郎氏が監修し、さまざまな部門から集まった同社社員により、丸ノ内線の特徴から「地上」「活気」「先進的」といったキーワードが導き出された。これらそれぞれの要素を「色」「形」「機能」のデザイン3要素に織り込み、車両コンセプトを策定したという。

外観は丸ノ内線の初代車両300形などを踏襲して赤い車体を復活させるとともに、丸ノ内線の代名詞といえる「サインウェーブ」を配したデザインに。四季に映える鮮やかな「グローイング・スカーレット」を基調に、「サインウェーブ」をホームドア区間でも見やすいように車体上部に配した。車体前面のガラスに丸みを持たせ、車端部の窓を丸窓とするなど、インパクトのある形状を取り入れた斬新なデザインとしている。

  • 外観は鮮やかな「グローイング・スカーレット」に丸ノ内線のシンボル「サインウェーブ」を配したデザインに。車端部の窓は丸窓を採用

  • 車内も丸をイメージしたデザインを取り入れ、開放的な空間を演出している

車内も丸をイメージしたデザインを採用しており、丸ノ内線らしさを演出するとともに、中央天井を高くし、球面形状の天井パネルによる開放的な空間としている。連結面や荷棚、座席横の仕切りに透明な強化ガラスを取り入れ、車内の見通しも改善した。連結部分の大型扉はアシストレバー付き。ガラス部分には丸ノ内線沿線の特色を表したデザインが施されている。座席は赤・黒を基調としたシックなデザインとなり、1人あたりの座席幅を拡大するとともに、クッション性を改良し、座り心地を向上させた。座席付近の吊り革は銀座線1000系でも見られたリコ式風の形状となっている。

6両編成の全車両にフリースペースを設け、片側に腰当、反対側に東京メトロ初というコンセント(2口)と荷物掛け、小物が置けるテーブルを設置している。各ドア上部の車内表示器は17インチワイド液晶を3画面配置し、乗換案内や駅設備案内などを4言語化(日・英・中・韓)して情報提供を行う。車内放送を聞き取りやすいように、高音質の放送システム(ステレオ方式)を導入。訪日外国人向けに車両内無料Wi-Fiも設置する。

  • フリースペースにコンセント・荷物掛け・小テーブルを設置。コンセントは携帯電話などを充電できる

車内快適性の向上も図り、これまでの約1.4倍という冷房能力を持つ冷房装置を導入。犯罪行為の未然防止に備え、車内にセキュリティカメラを設置した。室内灯はLED照明とし、客室天井のグローブ付きLED照明により、まぶしさを軽減しつつ適切な照度を確保。車外の前照灯や種別・行先表示器もLED化し、電力量削減を図った。

環境負荷の低減にも努め、駆動システムに永久磁石同期モーター(PMSM)を採用し、フルSiCの高効率な制御装置とすることで、現行の02系VVVF車両と比較して約27%の消費電力量削減を見込んでいるとのこと。安全・安定性向上も図り、銀座線1000系で実績のある片軸操舵方式の台車により、曲線走行時に発生するレールと車輪の摩擦によるキシリ音などを低減。大規模停電などの異常時を想定し、駅間で停車した際も最寄り駅まで走行できる非常走行用バッテリーを搭載する。

万が一脱線した場合に自動で列車を停止させる脱線検知装置、走行中の車両各装置の動作情報を車両基地や総合指令所などに常時伝送し、状態監視・予防保全に活用できる車両情報管理装置(イーとネット方式)など、東京メトロ初という装置も搭載した。遅延回復等に効果のあるCBTC(無線式列車制御システム)、通話品質・データ通信等の機能向上が可能なデジタル空間波無線を搭載できる構造としており、CBTCについては2022年度の稼動をめざし、新型車両2000系での試験運用を経て本稼動に向けた準備を進めるとしている。

丸ノ内線新型車両2000系は日本車両が製造。2019年2月の営業運転開始後も、約30年にわたり活躍中の現行車両02系に代わる新型車両として順次導入を進める。2022年度までに53編成(計318両)を導入し、全車両を置き換える予定となっている。

  • 東京メトロ丸ノ内線新型車両2000系の車内・外観