自分のことを知らなかった

――そもそもなぜ女優業を続けながらヨガインストラクターになろうと?

最初はまったく考えていなかったんです。ただ雑誌の連載とともに、資格を取らせていただいて。200時間いろんな授業を受けていくなかで、自分のなかからあふれ出てくるものがあって、それを伝えるためにもインストラクターになりたいと思うようになりました。

――女優業もヨガも、自分との対話が必要なのかなと。

そうですね。とても大切なことだと思います。最近、自分のことを知らなかったんだなぁと思うんです。自分って一番身近な存在のはずなのに、普段は意外と人のことばかり意識しがちですよね。意識しないと、なかなか自分への注意は向かないものです。

女優業のワークショップなどでも、意識を内に向けたりしますが、ヨガをやるようになって、特に意識するようになりましたね。それに伴って、疲れたときや、悩み事にぶつかったとき、その原因を察知できるようになりました。人間って、分かるだけで、ほぼ解決できるものなんです。原因が分かったことで、「あ、大したことないな」と思える。

――ヨガインストトラクターを兼ねている内山さんだからこそ、こういう女優になれるといった強みを感じることはありますか?

うーん、強みは特にないですね。女優業だけでやれている人は、それはそれですごいなと思います。でも自分は自分でしかない。私の場合は、ヨガインストラクターをしていることも、ほかのことも、いろいろ経験することによって、すべてが役に返っています。

――どんな役もゼロから作るのではなく、一度内山さんというフィルターを通っている?

自分を通しますね。舞台の演出家さんに、何度か「器用じゃない」と言われたことがあります。初めて舞台をやらせていただいた蜷川幸雄さんにも、「お前は器用じゃない」と言われました。最初はすごく悔しかったんです。「じゃあ、どうすればいいんですか?」と言ったら、「器用にやろうと思うな、そのままいけ」と。

そのときは悔しく思いましたが、自分自身が感じたことをそのまま表現していけばいいんだと。技を磨いて上手く伝えられる女優さんもいらっしゃると思いますが、私の場合は、自分と向き合いながら、自分から出てくるものと役と一体になりながら進んでいく感じです。

女優業の面白さ

――改めて、女優業のここが面白いと感じる部分は?

そのときにしかできない役があるということですね。年齢だったり、そのときの状況や気持ちだったり。めぐりあわせというか。1年前、2年前、3年前で、周りにいる人も変わっていたりする。それによって自分自身も変わっていく。だからこそ、そのときにしかないものを出せる。そうしためぐりあわせとういうのは、誰にもあることだと思いますが、私の場合は女優をやっていて作品が残っているからこそ、振り返って、改めて感じるのだと思います。そしてだからこそ、ひとつひとつのお仕事を大切にしていきたいと思っています。

――全てはめぐりあわせとのことですが、今後の展望といったものはありますか?

女優のお仕事って、自分でこうなりたいと思ってなれるものではないと思うんです。それこそ、20年やってきて感じています。でも、自分のなかに、ある程度のビジョンといったものはあります。それを外に出そうとは思いませんけどね。ただ、そうしたビジョンのためにも、日々を充実させて、ひとつひとつの出来事を、いいものもダメなものも、しっかりと見て向き合いながら、過ごしていきたいと思っています。

――内山さんは、たとえば仕事とプライベートを分けたり、それぞれのバランスを取るといった考え方ではない感じですね。

そういうくくりはないかもしれません。仕事もプライベートも自分の一部というスタンスです。

――最後に改めて、『雲霧仁左衛門4』の見どころをお願いします。

盗賊ものって、それだけで単純にドキドキワクワクすると思うんです。盗賊が主役で、狙うのは本当の大金持ちだけ。中井貴一さんというお頭のもと、捕まるか、捕まらないか、ずっとドキドキしながら進む時代劇です。若い女性の方にも、「雲霧、見てます」って言われることが多くて嬉しく思っています。シーズン4は、お千代目線で見てきた人には特におもしろいシーズンになっていると思いますよ。

内山理名
1981年11月7日生まれ。神奈川県出身。O型。身長157センチ。高校1年生の時に地元でスカウトされ、芸能事務所・スウィートパワーに所属。翌年にはNHK連続テレビ小説『すずらん』で常盤貴子の幼少期役に抜てきされ、その後も、数々のドラマや映画に出演。2018年は主演映画『single mom 優しい家族。』(10月6日公開)が待機中。ヨガのインストラクターとしても活動し、全米ヨガアライアンスRYT200などの資格を取得している。