投資信託を購入するとき必ず交付される目論見書(「もくろみしょ」と読む)は、投資信託の説明書のことで運用に関する情報がまとめられています。今回はその目論見書の読み方について、「購入するときの4つのチェックポイント」で解説したチェックポイントを交えて解説します。同記事で説明した4つのチェックポイントは以下にも示します。

  • 投資信託購入時のチェックポイント

「チェックする内容」が最低限目論見書から読み取りたい情報です。加えて、そもそもファンドがどのような資産に投資しどのように運用しているのかの概要も読み取る必要があります。

目論見書には交付目論見書と請求目論見書の2種類があります。購入時に銀行から証券会社から交付されるのは交付目論見書(以下、「目論見書」)なので、そこから読み取る情報について解説します。

どこに何が書かれているかを知ろう

目論見書を構成する「4つの項目」と「4つの購入時チェックポイント」を対比した表を以下に用意しました。順に詳しく解説します。尚、ここでは「トピックス・インデックス・オープン」(野村アセットマネジメント)の目論見書を例に説明します。

  • 目論見書を構成する4項目と購入時チェックポイントの対比

構成項目の中にどのような項目が書かれているかを小項目としてまとめました。●印が付いている部分にチェックポイントで読み取りたい情報が含まれています。どんな情報をどこで確認すればよいかが分かると、目論見書を読む目的がハッキリして頭に入りやすくなるはずです。収益性で「リスクの定量的比較」が▲なのは、チェック項目のうち一部の情報が読み取れないためです。

(1)ファンドの目的・特色

どのような金融商品に投資しどのような方針で運用や分配を行うかなどをまとめている項目です。そもそもどのようなファンドかを読み取るのに必ず目を通しましょう。また分配の方針が書かれていますので、「投資効率」としてチェックする分配の回数を確認しましょう。

ファンドの特色の中には図のような投資方針や投資対象となる資産が書かれています。特にどのような資産に投資するかは必ず把握します。

分配の方針は、年何回、いつ分配をするかが書かれていて、分配の回数が少ないほど、税金の計算がされる回数が少なくなる分だけ投資効率が良くなります。

(2)投資リスク

基準価額が上下する原因や、基準価額の騰落率が確認できる項目です。「規模と安定性」のチェックとして基準価額の推移や「収益性」のチェックとして騰落率を確認します。「収益性」のうち騰落率以外の、トータルリターンとシャープレシオは書かれていないので、証券会社のファンド情報ページや窓口で確認しましょう。

投資リスクというと損をする危険性というイメージが強いですが、本当は「利益の最大値」と「損失の最大値」の幅のことを「リスク」といいます。目論見書の記述は、損をする可能性が高いという説明に重点が置かれています。裏を返せばリスクがある分リターンが得られる可能性もあるということを理解して読みましょう。その証拠に騰落率がプラスになったりマイナスになったりしています。

実際の基準価額の変動要因の項目を見てみると、元金が割り込むことが大きく書かれていますが、その下の「価格変動リスク」というのが大事です。株価変動の価格を受けますと記載がある通り、株価が上昇すれば基準価額も上昇し、株価が下落すれば基準価額も下落します。何が原因で基準価額が上下するか理解しましょう。