光岡自動車は9月6日、MITSUOKA麻布ショールームで『デビルマン クライベイビー』とコラボしたプレミアムスーパーカー「デビルマン オロチ」の発表会を行った。今年で創業50周年の光岡自動車とデビルマンの原作者・永井豪氏の画業50周年を記念した特別企画から誕生した、唯一無二の“悪魔のクルマ”。その魅力は永井氏すらとりこにしてしまうものだった。

「デビルマン オロチ」とのツーショットに原作者の永井氏もご満悦の様子

ベースとなったのは光岡自動車の代表車「オロチ」

光岡自動車と夢の合体を果たしたのは、2018年1月からNetflixオリジナルアニメーションとして配信開始となった『デビルマン クライベイビー』。同作は湯浅政明監督が不朽の名作「デビルマン」を現代版にリメイク・映像化した作品だ。作中ではメインキャラクター・飛鳥了が操るクルマとして、光岡自動車が2006年~2014年にかけて販売した「オロチ」が描かれている。その縁もあって特別企画が実現し、「デビルマン オロチ」は誕生した。

「オロチ」の新車販売はすでに終了しているが、光岡自動車は自社で保有していた走行距離約3,500キロという極上の中古車を基に、「デビルマン オロチ」をワンオフで製作した。ここで、ベースとなった「オロチ」のスペックを簡単におさらいしておくと、サイズは全長4,560mm、全幅2,035mm、全高1,180mm、ホイールベース2,600mm。車両重量は1,580キロで、搭載するエンジンは最高出力233ps、最大トルク328N・mを誇る3.3リッター水冷V型6気筒エンジンだ。

ついにその姿を現した「デビルマン オロチ」

光岡自動車の創業者・光岡進代表取締役会長と永井氏の登場でスタートした発表会では、訪れた一同が息をのむ中、さっそく“悪魔のクルマ”のアンベールが行われた。

発表会には光岡自動車創業者の光岡進会長(左)と永井豪氏が登場

「デビルマン オロチ」のアートワークは、「オロチ」のデザイナーである青木考憲氏と『デビルマン クライベイビー』のアートディレクションを手掛ける阿閉(あつじ)高尚氏が共同で担当。車両コンセプトはズバリ「ひと目でデビルマンだとわかるもの」だ。この点について青木氏は、「随所にデビルマンの爪痕を感じることができる仕上がり」と自信を見せている。

全貌を現した「デビルマン オロチ」。身にまとう鮮烈なデザインはまさに悪魔的なかっこよさだ

「オロチ」が持つ凹凸のある形状は、デビルマンの持つアーキテクチャと親和性が高い。「デビルマン オロチ」からは、それらを違和感なく融合させる工夫が随所に見て取れた。

ボディーの基調色には“ブラッディーレッド”と名付けたカラーリングを採用。通常のクルマにはない自然な陰影で色に深みを与える特徴的な赤の上に、デビルマンのイメージを描くことで、ボディーがより立体的に見える相乗効果を狙っている。

ボンネットにデビルマンの顔が描かれた「デビルマン オロチ」のフロントビュー

青木氏がポイントの1つとして挙げたのが、キャラクターの持つテイストを取り入れて施したボンネットからルーフにかけてのデザインだ。ボンネットはデビルマンの顔、ルーフは「デビルウィング」をそれぞれイメージしたもので、特にフロントビューは圧倒的な存在感を醸し出している。

「デビルマン オロチ」のサイドビュー。「オロチ」の流麗で美しいフォルムにデビルマンテイストが散りばめられている

サイドに目を配ると、キャビン部分を利用してデビルマンの目や、ドアの凹みで『デビルマン クライベイビー』のサブタイトルにもなっている涙が表現されているのが確認できる。さらに、一部にはグラデーション塗装を施しているが、これは主人公の不動明がデビルマンに変身する時、つまりは悪魔に体を乗っ取られる瞬間のゾワゾワ感を捉えて表現したものだ。

「デビルマン オロチ」のコックピット

また青木氏は、インテリアについて公表していないシークレットデザインが1カ所隠されていることを明かしている。これは購入者にだけ分かるようになっているそうで、まさに“誰も知らない”秘密のポイントというわけだ。

原作者・永井豪氏に直撃インタビュー

人気漫画家である永井氏は、これまでにさまざまなキャラクターを世に送り出してきたが、デビルマンは代表作でもあり、特別な思いがあるそうだ。その中で、永井氏の作品として初めてデビルマンがクルマとコラボする今回の話を聞いた時は、「本当にデビルマンのクルマができるの?」と驚きの声を上げたという。

発表会の後、「デビルマン オロチ」に乗り込み笑顔を見せる永井氏

そして、この日初めてデビルマン オロチと対面した永井氏は、「これだけかっこいいオロチにデビルマン仕立てのデザインがされたというのは、本当に嬉しいことです。まさに、世界に1台しかないすごい車が誕生した」と喜んだ。

そのデザインについては「赤の入れ方がすごく上手で、マッチしています。いかにもアニメキャラクターを使ったクルマというのではなく、よく見ると、なるほどデビルマンだとわかるところもすごくいいと思います。純粋にかっこいいクルマとして見れますね」と語った。

「デビルマン オロチ」を記念撮影する永井氏の貴重な姿も見られた

実は免許を持っていないという永井氏だが、実際に運転席に乗り込むと、「シートもぴったりと体にフィットして乗り心地は抜群。73歳で免許を取得するのは無理なので諦めますが、自分で運転できるなら買いたいなという思いがふつふつと湧いてきた」と語るなど、すっかり悪魔の魅力に取り付かれてしまったようだ。

永井氏は「本当は作者である私が買うべきだと思いますけど、あいにく運転できませんので」と複雑な心境も明かしてくれた

「デビルマン オロチ」は1,968万円で販売されることが決まっている。この点について聞くと永井氏は、「オロチが好きで、そしてデビルマンも好きという方が購入して、街を走っていただけたら。どういう方が買ってくれるか、これから本当に楽しみにしています」とした。デビルマンの生みの親も、このクルマの今後には注目している様子だ。

なお、「デビルマン オロチ」は、9月8日~11月15日(木)12時までの間、光岡自動車の専用ウェブサイトでのみ申し込みを受け付けている。申し込みが多数の場合は、抽選により1名を選出する。納車は12月の予定。また今後、光岡自動車では全国のMITSUOKAショールームや大阪文化会館などで行われる「永井GO展」にて「デビルマン オロチ」を展示する計画。いずれも期間限定となる。車ファンならずとも、ぜひチェックしたい1台だ。

「デビルマン オロチ」展示予定
9月7日(金)~9月10日(月) MITSUOKA麻布ショールーム/GALLERY 麻布
9月15日(土)~9月17日(月・祝) 「永井GO展」(大阪文化館・天保山)
9月19日(水)~9月24日(月・祝) MITSUOKA尼崎ショールーム
9月28日(金)~10月1日(月) MITSUOKA福岡ショールーム
10月5日(金)~10月8日(月・祝) MITSUOKA名古屋ショールーム
10月12日(金)~10月22日(月) MITSUOKA東京ショールーム
10月26日(金)~10月29日(月) BUBU MITSUOKAつくばショールーム
11月2日(金)~11月5日(月) BUBU MITSUOKA宇都宮ショールーム
11月9日(金)~11月12日(月) MITSUOKA仙台ショールーム

(安藤康之)