ベビー用品メーカーのピジョンと、「駅すぱあと」のヴァル研究所が共同で取り組む「育児ゼロアクションプロジェクト(IKZAP)」。IT技術やさまざまなツールを使って育児における"アクション"を減らし、育児を少しずつ楽にすることを目的とした取り組みだ。今回はその一環で、IoTを活用したモニタープロジェクトの模様を紹介する。

  • IoTで育児をもっと楽に! もし、話しかけるだけで育児記録が付けられたら…

    これは……スマートスピーカー?

育児記録はきちんと付けたい…でも大変

赤ちゃんが生まれると、毎日の授乳やミルク、オムツ交換や睡眠などをこまめに記録する人も多いだろう。手探り状態の育児のなかで、赤ちゃんの生活リズムを知ることができ、体調の変化にも気が付きやすくなるというメリットがある。最近では、育児記録が付けられるスマホアプリなども多く登場し、より気軽に記録ができるようになった。

その一方で、育児や家事に追われるなか、すべてのアクションを記録するのは、とても大変だ。寝不足でヘトヘトになりながらの授乳時、スマホを開いてアプリを起動するだけでも億劫になるし、そもそも忘れてしまうこともある。一度付け忘れると、これまでの頑張りが水の泡になったような気持ちになってしまう。

そこで今回「育児ゼロアクション研究所」が開発したのが、2種類のスマートスピーカーを活用して、話しかけるだけで育児記録が取れるという仕組みだ。しかも、記録内容をLINEで送ってくれるので、家族でリアルタイムで共有することができる。

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    「育児ゼロアクション研究所」開発者の2人

育児に積極的なパパはいいのだが、「俺が仕事に行ってる間、家で子どもと寝てるんでしょ」などと言うパパに、いかに赤ちゃんのお世話が忙しいものかをリアルタイムで知らせることもできるのだ。

モニターの松本さん一家

今回は、生後4カ月の男の子を育てる松本さん一家が、10日間モニターとしてこの仕組みを利用する。

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    松本さん一家:夫・岬さん、妻・愛子さん、長男・侑くん(生後4カ月)

松本家は、夫・岬さん、妻・愛子さん、そして長男・侑(ゆう)くんの3人家族。愛子さんは育休中で普段家で侑くんと過ごすことが多い。育児記録はアプリで付けていると言う。

愛子さんによると、「産まれてすぐの頃は、なかなか母乳を飲んでくれなくて、そんななかでアプリを立ち上げて記録を付けるというのが結構大変でした。最近はだんだん面倒になってきて、たまに付け忘れてしまいます」とのこと。アプリでもお世話をするたびに記録するのは大変なようだ。

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    「産まれてすぐの頃はアプリを立ち上げるだけで大変だった」と愛子さん

「僕は、仕事で遅くなると妻と息子は先に寝てることが多いのですが、僕が帰った物音に気付くのか、息子が起きてぐずってしまうことがあるんです。自分であやそうとするのですが、いつミルクを飲んだのか、いつオムツを替えたのか、何時くらいにお昼寝したのかなどがわからなくて、結局妻を起こしてしまうことになりがちで……」と岬さん。

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    途中侑くんにミルクをあげる岬さん。哺乳瓶をくわえる侑くんを見てピジョンのスタッフが思わず「うん、いいお口!」と漏らした

夫の岬さんは、積極的に育児に参加したいと思いつつも、仕事に行っている間の侑くんの生活リズムがわからず、なかなか上手く行かないことが多いようだ。

"はかせ"と"じょしゅ"

初日となるこの日は開発者の2人から、スマホの設定や機器の使い方のレクチャーを受ける。

今回使用するのは、Googleのスマートスピーカー「Google Home mini」とLINEのスマートスピーカー「Clova Friends」。

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    「Google Home mini」今回は"じょしゅ"ということでメガネをかけている

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    「Clova Friends」こちらは"はかせ"仕様

以下のような仕組みで、育児記録を付けることができる。

1. 記録を付けたいタイミングでGoogle Home miniに話しかける
(例)「OK Google,授乳したよ」→授乳開始時刻を記録
そのほか、排尿・排便、搾乳、睡眠、起床、体温などが音声だけで記録できる

2. あらかじめ設定しておいたLINEグループに、その都度記録内容が送信される

3. Clova Friendsに「Clovaお知らせある?」と話しかけると、その日の内容を読み上げてくれる

4. 毎朝8時に前日の記録をまとめたものがLINEグループに送られてくる

※この仕組みは今回のプロジェクトのために開発されたものです。実用化はされていません。

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    侑くんも真剣に話を聞いている

これを利用すれば、ママは両手がふさがっていても育児記録を付けることができるし、パパは仕事中に侑くんの生活リズムを把握し、ママからスムーズに引き継ぐことができる、というわけだ。

そして、松本家の「IKZAP10日間チャレンジ」が始まった。