「サニー」以来の快挙が明るいニュースに

2018年1~6月の国内新車販売(軽自動車を除く登録車)では、日産の小型車「ノート」が車名別で首位に立ったことが大きな話題となった。というのも、登録車市場で日産車が首位に輝くのは、1970年の「サニー」以来、実に48年ぶりとなるからだ。

約半世紀ぶりに「ノート」が首位となった原動力は、エンジンで発電し、モーターで走る技術による新たな運転感覚が受けたことが大きい。いわばハイブリッド車だが、既存の成熟技術の組み合わせによる「ノートe-POWER」が貢献したのだ。

かつて、日産の「サニー」とトヨタ自動車の「カローラ」は、日本の代表的大衆車としてライバル関係にあった。「隣のクルマが小さく見えます」というサニーのキャッチコピーは、ライバル社を追い落とす恰好のセンテンスだった。その後、カローラは残ったがサニーは消えて、国内販売で長らく停滞を続けていた日産にとっては、ノートの首位奪取が久しぶりの明るいニュースになった。

  • 日産「ノート」

    2018年1~6月の登録車販売で首位を獲得した日産「ノート」

2018年上期の販売実態を見てみると

だが、上期の車名別販売を見ると、ノートは7万3,380台で前年上期比12.9%減のトップであり、2位のトヨタ「アクア」が6万6,144台(同3.1%増)、3位のトヨタ「プリウス」が6万4,019台(同29.8%減)となっている。販売実態は、国内登録車市場が停滞する中で、プリウスの新車効果が薄れ大幅に減退し、併売車種のアクアと分ける恰好となったことで、ノートが押し上げられたのだ。ノート自体も、昨年上期に対して2桁減なのに首位となったのは皮肉な現象だ。

それにしても、ノートが首位になって日産の国内販売店に明るいムードが漂い始めたと思ったら、メーカー生産現場での不祥事がまたも露呈して水を差したのだ。昨年秋の完成検査問題で出荷停止となり、ユーザーからの信頼失墜によるダメージを回復してきた矢先でもある。

もっとも、先の日産株主総会では、電気自動車(EV)「リーフ」のユーザーから日産の販売店の事故対応がひどいとの声が上がり、ゴーン会長から指名を受けた星野朝子専務が謝罪する一幕もあった。生産現場にせよ販売現場にせよ、ゴーン体制が長きにわたり過ぎたゆえ、ガバナンスが効かないケースも出てきているのだろうか。