新世代プラットフォーム採用の効果は
新型フォレスターのメカニズムでもうひとつのポイントは、「インプレッサ」「XV」に続いて新世代プラットフォームを採用したことだ。結果は走りはじめてすぐに分かった。車体全体の剛性が上がり、小刻みな上下動がなくなったからだ。
また、旧型はモデルライフ途中でステアリングの反応を鋭くしており、コーナーでゆったり傾くサスペンションに対して違和感があった。新型では切っていくにつれギア比が早くなるバリアブルレシオを採用する一方、コーナーでの傾きを抑えるスタビライザーを太くすることでバランスを取っていた。
只木氏によれば、従来は足回りとボディの動きがバラバラで、足回りがコーナーに入ったあとボディが付いてくるようだった。それを直し、走りの一体感を出したという。
2.5Lでは特設のオフロードコースも走った。まず感じたのはこのクラスの平均値を大きく上回る220mmの最低地上高で、オーバーハングやフロアをぶつける気配さえない。走行モードを選べる「Xモード」でスノー・ダートを選ぶと、アクセルペダルを踏み込んだままでもスリップする車輪だけに弱くブレーキをかけるなど、きめ細かい制御を行うことで、泥道を着実に進んでいった。
アイサイトのスバルは車内にも目を向けはじめた
スバルが以前から重視していた安全性の面では今回、新たに採用となった「ドライバーモニタリングシステム」が特筆できる。インパネ中央に内蔵したカメラがドライバーの顔を認識し、居眠りや脇見運転などを警告することで安全運転を支援するだけでなく、「おもてなし」を提供する機能だ。おもてなし機能とは、ドライバーが乗車するとシートの位置やドアミラー角度、エアコン設定、メーター表示などを自動的に再現するというもの。最大5人まで識別可能だという。
「アイサイトで車体の外を見てきたので、今度は中も見ようという発想で研究開発を進めました。当初は予防安全のみでしたが、おもてなし機能も間に合ったので入れました。大きな会社では安全装備とおもてなし装備は別々の部署が担当するかもしれません。スバルの規模なので2つの機能を両立できたといえるでしょう」
大きな進化はしていないように見えて、実はパワートレインから予防安全装備まで、あらゆる部分がレベルアップしているのが新型フォレスターだ。しかも、そこにはスバルらしい「安心と愉しさ」が込められている。ライバルが多くなったSUVの中でも、着実に支持を集めていくのではないかと思った。