2009年の「アウトバック」が契機に
何がここまでの伸びを生んだのか。スバルで北米の営業を担当する本間俊晴氏が挙げたキーワードは「ラブ」だ。
「2008年から始めた『ラブ』キャンペーンが大きかったと思っています。お客様からのメッセージで『ラブ』という言葉が多く使われていたので、マーケティングでも活用するようにしたのです。最初は年末のキャンペーンで『シェア・ザ・ラブ』というメッセージを掲げ、クルマ1台に対して250ドルを慈善団体に寄付しました。米国には寄付の文化があることも、こうした行動が評価される理由になったようです」
クルマづくりをプロダクトアウトからマーケットインに転換したこともジャンプアップの要因と語っていた。代表作は2009年に登場した先代「アウトバック」だ。
この世代のアウトバックは、他の「レガシィ」シリーズ同様、ボディを一気に大型化し、逞しさを強調したデザインにした。それまでは日本や欧州を意識していたが、この代は米国ユーザーの好みにフォーカスした。日本では批判的な声もあがったが、米国では大人気となり、現在まで続く好調の原動力になったという。
米国向けスバル車の現状は
AWD(全輪駆動方式)や水平対向エンジンによる低重心など、スバルならではの技術が生み出す安全性は従来から米国で評価が高かった。特に冬季は、雪が降る北東部で根強い支持を受けていた。ラブキャンペーンでは、こうした機能そのものを訴求するのではなく、機能から生まれるクルマの価値をアピールする方向に転換した。これが成功したという。
現在、米国向け商品の主力となっているのは最初に紹介したようにアウトバックで、フォレスターがそれに続く。フォレスターは今後、米国でも新型が発売されるので、今年は順位が入れ替わるかもしれない。最近伸びているのは「XV」(現地名:クロストレック)で、昨年は11万台を記録し、今年も伸びているという。
「XVは30~40歳代という若いお客様が多くなっています。スバルの中ではデザインも高く評価されています。『インプレッサ』はさらに若い方と子離れ層に二極化しています。アウトバックは50代を超えていて、フォレスターは幅広い層からまんべんなく支持をいただいています」