石原さとみ×野島伸司の“高満足度タッグ”に期待 夏ドラマ展望

今週から夏ドラマが続々とスタート。従来のリアルタイム視聴率ではなく、視聴者の“満足度”を集計してきた「テレビウォッチャー」(データニュース社)の研究員であり、テレビドラマの脚本家や監督、音楽などの制作スタッフに精通しているドラママニアが、そのスタッフが手掛けた過去作の“満足度”に焦点をあてながら注目のドラマを紹介する。

• 『高嶺の花』に出演する(左から)戸田菜穂、芳根京子、石原さとみ、峯田和伸、千葉雄大、小日向文世

『ディア・シスター』以降100%の高満足度

夏ドラマで最も期待値の高い作品は石原さとみ主演の『高嶺の花』(日本テレビ系)。データニュース社が行った満足度調査によると、調査を開始した12年4月期以降の石原さとみ出演作品(連続ドラマ)の満足度(5段階評価)は、『リッチマンプアウーマン』(12年、フジ)3.79、『失恋ショコラティエ』(13年、フジ)3.69、『ディア・シスター』(14年、フジ)3.75、『5→9～私に恋したお坊さん～』(15年、フジ)3.77、『地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子』(16年、日テレ)3.77、『アンナチュラル』(18年、TBS)4.05と、主演か否かにかかわらず、ほぼすべての作品が高満足度の基準3.7を上回る高水準で、今年1月に放送された『アンナチュラル』は自身の出演作で最高の4ポイントオーバーの高数値を記録した。

良作に巡り会える運はもちろんだが、作品選びもうまいのだろう。今作も本人が“野島伸司のラブストーリー”をやりたいと熱望したことで実現した作品だという。『ディア・シスター』以降の彼女の主演作は100%の確率で高満足度なので、今作も満足できるに違いない。

『101回目のプロポーズ』からの進化は

野島伸司氏

そしてこの作品の脚本を手掛ける、90年代を代表する超ヒットメーカーの野島伸司氏にも注目。今作のテーマは“美女と野獣の格差恋愛”と、野島氏の代表作『101回目のプロポーズ』(91年、フジ)を彷彿(ほうふつ)とさせるもので、あれから20年以上が経った今、同様のテーマながらどのような進化が見られるのか、『101回目―』と比べながら観るのも一興だろう。

また、野島脚本の12年4月期以降のGP帯(19～23時)放送の地上波ドラマの満足度は、16年の芦田愛菜主演『OUR HOUSE』(フジ)のみが3.32と低い(※14年『明日、ママがいない』は脚本監修なので除外)のだが、今作の枠“日テレ水曜22時枠”での野島脚本と言えば、98年の竹野内豊主演『世紀末の詩』を思い出す。この作品は、彼の哲学的な部分が思う存分に発揮され、当時の視聴率としては低調だったのだが、野島ドラマファンの中でも人気の高い伝説的な作品。また、同枠での執筆はそれ以来20年ぶりということで、さらに期待が高まる。

日テレ×野島作品は他にも、金城武主演『ゴールデンボウル』(02年)、山田涼介・鈴木京香主演の『理想の息子』(12年、いずれも土曜ドラマ)と、彼の哲学的作風とコメディパートのバランスがちょうどいい良作ばかりで、日テレとの相性はいい(※『家なき子』は企画名義)。高満足度女優と日テレと相性のいい稀代のヒットメーカー・野島伸司氏との化学反応はいかに。