「給料日前に財布が底をついた」「好きなブランド品を購入したいが、あいにくと手持ちがない」……etc.こういった状況に遭遇した社会人は少なくないはず。そんなときに便利なのが質屋だ。ただ、今の20代、30代の中には、質屋がどんな生業をしているか何となくイメージはつくものの、その詳細を知らないという人もいるのではないだろうか。何を隠そう、筆者もその一人だ。
インターネットオークションなどで不要な物を売ってお金をつくるのもいいが、「今、この瞬間」にどうしてもまとまったお金が欲しい際、手元にある物を担保としてお金を借りられる――。よくよく考えると、これはかなり便利なシステムと言えよう。
そこで今回7(しち)月8(や)日の「質屋の日」を前に、全国的に質屋業を営む大黒屋の新宿買取センターに勤務する飯村崇史店長に、質屋について根掘り葉掘り聞いてみた。
質入れと買取の値段の違いはどれくらい?
まずは大黒屋を例にしつつ、質屋のシステムを大まかに紹介しておこう。
(1)質屋店舗に特定の品物を持ち込む
(2)専門の査定員が品物を査定し、融資可能な金額を決定する
(3)品物を持ち込んだ依頼人が査定金額に納得したら、公的身分証明書などの必要書類と引き換えに質札(しちふだ)を受け取る。この質札は、質屋に預けた品物(質入れ品)を引き取る際に必要となる
(4)期日までに融資された金額と所定の利息(融資金額によって異なる)と質札を用意し、質入れした店舗に来店すれば質入れ品を取り戻せる。ただし、質入れ品は一定の保管期限(大黒屋は原則3カ月間)を過ぎた場合、「質流れ」となり品物の返却は不可能となる
取材中も、すぐ隣のブースに質入れ品を持ってくる人が入れ代わり立ち代わり訪れていた。一体、どのような人が質屋を利用しているのだろうか。
「利用者は20代から50代まで幅広く、自営業の方はわりと30代から40代が多いですね。おそらく、バッグ・時計・ジュエリー・ダイヤ・貴金属などを担保にお金を借りて、そのお金をもとにご自身で会社経営や運営をされているのではないでしょうか。あとは投資家・不動産業の方や、若年層ではアルバイト主婦層でパートの方やバンドマンやカメラマンなど、幅広くご利用していただいております」
質入れの査定額が希望した金額に届かないような場合は、いっそのこと「買取」という選択肢を選ぶ手もある。ものや時期にもよるが、一般的に質入れの査定額は「買取額の7~8割程度」。買取額が10万円の場合、質入れをして融資してもらえる額は7~8万円が多いという。
市場価格がつけば、ほぼすべての品が質入れ可能
質入れできる商品は幅広く、「市場の価格がつくものは基本は質入れに対応します」と飯村店長は話す。具体的にはバッグや時計・ジュエリー・ダイヤ・貴金属・電化製品・パソコン・タブレット・一眼レフやデジタルカメラなどの主要どころから、携帯電話・なかには結婚指輪も質入れ可能だという。
「ただし、衣類は管理が難しいですね。質入れ品を管理している質蔵は温度と湿度が調整されていますが、衣類の質入れ対応をしている業者さんはあまり多くないはずです。その他にも保存状況によって品物自体の状態が変わってしまうものは対応しておりません」