一部のアイテムを除き、大半の物が質入れ可能とのことだが、お金を工面したい側としては、どのような物を質入れすれば多くの融資をしてもらえるかが気になるところだ。

飯村店長は「高額質入れ品」の特徴について、「時計や貴金属など、金が絡むものはしっかりとした値段がつけやすいですね。金の価格は公表されていますし。それと、最近はタブレットや一眼レフカメラなども値段がしっかりしてきています」と話す。

その一方で、「価格が流動的になる電化製品」や「シーズンごとに新作を出す(モデルチェンジ)するブランドメーカー」などは質入れ時に高値をつけにくいという。

まず、前者は「質流れになる時点での値段が読みにくい」点がネックになる。例えば、2月にある最新モデルの一眼レフカメラを質入れしたと仮定する。大黒屋の場合、「買取相場」(定価、製造年、モデルなど)と「品物の状態」(保存状態や付属品の有無など)をもとに査定額を決定する。

質流れするタイミングは原則3カ月後であるため、単純計算で5月ごろとなるが、多くのメーカーは春先の4月ごろに新製品を発売する。すなわち、2月の時点で「最新モデル」だったはずの製品が、質流れする際には「型落ちモデル」となっている可能性があるのだ。そのため、2月の時点で5月の市場価格を読むのが難しく、「そこまで思い切った価格をつけづらい」(飯村店長)という。

  • 鋭い目つきで査定を行う飯村崇史店長

    鋭い目つきで査定を行う飯村崇史店長

また、女性に人気のブランドバッグも、特定の条件に該当すると質入れ時に高額な査定額をつけづらいと話す。

「『春モデル』や『夏モデル』といった具合に、一年を通じて新しいバッグを出されるブランドもありますよね。例えば最新の春モデルを買って、冬ぐらいに『春に買ったバッグがいらないんですけど』と言われても、翌春には新しいバッグが出るので、そのバッグの市場価格がつきにくいですよね」

このようなケースだと、買取額と質入れの査定額の差が5割ほど開く可能性もあるとのこと。自分の愛用品を質入れする際は、「季節」が査定額に大きく関与することを覚えておきたい。

質入れした品の利息はいくら?

最後に質入れしていたものを回収(質出し)する際について説明しておこう。先述の通り、質蔵に保管されている品物を引き取るときは、「融資金額+規定の利息」が必要となる。大黒屋の場合、月利は0.95%~で、融資金額が大きいほど利息が下がる。

3カ月以内に所定のお金を支払わないと質流れになってしまうが、万一まとまったお金を工面できない場合は、1カ月分の利息を期限内に支払うことで質流れのタイミングを先延ばしできる。

仮に7月8日に月利5%で10万円を借りたとすると、10月8日までに1カ月分の利息(5,000円)を払えば、保管期限は11月8日まで延長される。さらにその品物を11月7日に質蔵から回収して自分の手元に戻したい場合は、元金10万円+3カ月分の利息(1万5,000円)の計11万5,000円を支払えばOKという仕組みだ。

さまざまなシーンでの活用を

個人が銀行からお金を融資してもらうとなると、審査の手続きが発生してすぐにお金を用意しづらい。だが質屋の場合、来店して質入れしてお金を得るまでに要する時間は、15分ほどですむのが一般的。同じ「お金を借りる」という行為でも、心理的なハードルはかなり低いと言える。

「いろいろなお客様がいらっしゃいますが、中には『帰りの交通費とご飯代だけほしい』と言って、来店される方もいらっしゃいます。質屋は本当にさまざまな使い方ができるので、気兼ねなくご利用いただきたいですね」