パネルディスカッション「今できることから始めよう!」
基調講演終了後、アクサ生命の富田氏がモデレーターとして登壇。「中小企業における治療と仕事の両立に向けて、今できることから始めよう」と題したパネルディスカッションが開始される。パネリストは桜井氏、坂本氏に加え、東京商工会議所会員交流センターの中村氏、アクサ生命統轄産業医の柿沼氏の4名だ。
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基調講演が終わにったところで、来場者に健康のためのストレッチが促された
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モデレーターを務めた、アクサ生命執行役員ヘルス事業本部長 富田誠一郎氏
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東京商工会議所会員交流センター所長 中村友樹氏
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アクサ生命統轄産業医 柿沼充氏
日本の生産年齢人口は減少の一途をたどっている。そんな状況の中で、働く意欲のある人が生き生きと働き続けられる環境をいかに作っていくか、それが働き方改革だ。一方、検診の促進によって病気の早期発見が進み、生産年齢人口層のがんや生活習慣病の患者はむしろ増加している。同時に、医療技術の進歩によってがんは日常生活の中で治療していく病気へと変化してきている。
このような状況の中、患者、医療従事者、企業、社会はどのように向き合っていけばいいのだろうか。
桜井氏はがんと診断された当時を振り返り、急に仕事の引き継ぎが発生した苦労や、経営者側も対応に苦慮したであろうことを説明。「病気のスタートから、全員が猛ダッシュをした感じがありました。平時からどういう環境を構築しておくかが重要です」と述べる。
中村氏はこの話に対し「中小企業の経営者も、突然病気のカミングアウトをされて混乱される方が多いと思います。働き続けてもらえるのか退職するのか、退職するならいつなのか、貴重な人材の穴をどうカバーすればいいのか……。それに備えた人間関係づくりが必要です」と企業側の視点を語る。
坂本氏は医療従事者側の視点を「医療はマイナスをゼロにしようという発想が非常に強いと思います」と説明。「ですがもっと患者さんの生活を見て、その人に必要なものはなにか、このまま自宅に帰すとどんな問題が生じるかという想像力を持ってもらえれば」と続ける。さらに「健康経営とは、病気になっても働き続けられるエビデンスがあること。不健康な状態に備えるのではなく、不健康な状態で働くことをベースに考えましょう」と考えを述べた。
柿沼氏は、アクサ生命の産業医という立場から「大企業では、時間単位の有給休暇取得、フレックスタイム、裁量労働制、テレワーク、傷病手当金や傷病休暇の取得も進んでいます。ですが制度はあっても安泰ではなく、上司などに相談しづらい環境はまだまだあると思います」と運用面の問題点を挙げる。
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熱意を込めて治療と仕事の両立について語るパネリストたち
ここまでの話を受け、桜井氏は「中小企業は逆に仕組みがなくとも情があり、制度がなくとも運用できている例があります」と言及。中村氏は「制度を作るという認識ではなく、カルチャー／風土を作っていかなくてはいけないのではないでしょうか」と述べる。
さらに柿沼氏は「色々な制度がありますが、知ったもの勝ちのようなところがあって、病気にならなかったらなかなか調べないし、誰に聞いたらいいかもわかりません。制度や窓口について健康経営アドバイザーの方がしっかりお話しいただくと良いと思います。」と補足。最後に坂本氏が「医療や職場など立場を超えた人たちが地域ごとにクラスタを作り、病気や障害があっても働き続けられるためにどんなものが必要か、なにができるかを考えていかなければならないと思います」とまとめた。
クロージングスピーチにアクサ生命CEOが登壇
非常に濃密なトークが繰り広げられた、アクサ生命のCR Week記念シンポジウム。クロージングスピーチにはアクサ生命代表執行役社長兼CEOのニック・レーン氏が登壇。感謝の意を述べるとともに、閉会の挨拶とした。
「今回のCRWeekは、世界60カ国のキックオフとなるシンポジウムになりました。中小企業は世界の企業の中心となっており、これは日本だけの問題ではありません。中小企業にどのようなサポートを展開するかということは、私たちのビジネスの中心となる課題です。みなさんがこのような問題に取り組んでくださっていることに感謝したいと思います。私自身も、お話の中でいくつかアイデアとして持ち帰りたいことが見つかりました。ありがとうございました」
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アクサ生命代表執行役社長兼CEO ニック・レーン氏
