クレジットカードを使っていると、調べるほどでもないが疑問に感じることは多々あるだろう。その理由も知れば納得。素朴な疑問について回答する。

支払いのときに暗証番号とサインのお店があるのはなぜ?

現在のクレジットカードは、ICチップを読み取り、暗証番号を入力することで決済を完了させる支払いが推奨されている。ただし、ICチップを搭載していないカードや、ICカード対応の端末が導入されていない店では、磁気ストライプでカードを読み取り、サインすることで決済を完了させる。磁気ストライプはスキミングされる危険性があるので、セキュリティ的にはICで支払ったほうが安全だ。

最近はVisa payWaveやMasterCardコンタクトレスなど、Suicaのようにタッチするだけで、サインも暗証番号も不要な非接触決済ができるカードも増えている(高額決済では利用不可の場合あり)。店員にカードを渡さずに支払いができ、安全性が高いため今後普及が進んでいくと予想されるが、まだ国内では対応する店舗が少ないのが現状だ。

サインレスで支払いできるのってどんな場合?

サインレス決済の契約を結んでいる店でのみ利用でき、コンビニ、スーパー、高速道路の料金所など、スムーズな支払いが求められる場所で導入されている。店側は不正利用されるリスクが増加するが、それ以上に支払いスピードを速めることを優先させたサービスだ。

サインレス決済では1回払いのみしか利用できず、一定金額以上の支払いでは通常通りサインや暗証番号の入力が必要。たとえばセブン-イレブンでは1万1円以上、ローソンとファミリーマートでは4,000円以上の利用になると、サインを求められる。

「ランチは使用不可」「●●円以下は使用不可」のお店があるのはどうして?

クレジットカードで支払いが行われた場合、客が支払う金額は現金と同じでも、店には手数料を引かれた金額が入金される。そのため、少しでも収入減を避けたい店は、利益の少ないランチタイムや、低額の利用に対しては、カード払いを不可としていることがある。忙しいランチタイムは、少しでも支払い時間を短くしたいために、使用不可としている店もあるだろう。

しかし、店がカード決済導入時に結ぶ加盟店規約では、カード払いも現金払いと同じ扱いをしなければならず、金額や時間帯によって制限をかけることは禁止されている。こうした行為をしている店は、カード会社に報告すれば是正指導されるが、店側も背に腹は代えられないため、なかなか解決しないのが現状だ。

カード番号が凸凹に加工されたものと、印字だけのものがあるのはなぜ?

一般的なクレジットカードは、カード番号や有効期限、氏名などの部分が凸状にエンボス加工されているが、印字だけで凹凸のないカードも発行されている。もともとカードにエンボスがある理由は、インプリンタという器具でカーボン紙の伝票にエンボスを転記して決済を行っていたためであり、現在も海外の途上国などでインプリンタが使われている店はある。

日本ではSuica機能付きのクレジットカードが発行された際に、アンテナ線の関係でエンボス加工ができなかったことから、印字のみとなった経緯がある。現在も交通系電子マネーを搭載したクレジットカードは基本的にエンボスレスで、磁気やICでの決済は問題なく利用できるが、海外に行く際は万が一に備え、エンボス入りのカードを持っておいたほうが安全だろう。

ネットショッピングで求められるセキュリティコードって何?

ネットショッピングの際は、カード番号のほかに、セキュリティコードの入力を求められる場合がある。セキュリティコードとは、カード裏面に印字された3桁の番号のこと。一部のカードは7桁印字で下3桁のみ利用、アメリカン・エキスプレスのカードは表面にある4桁となる。

セキュリティコードは磁気ストライプには記録されていないため、もしスキミングされてもカードが手元になければ知ることができない情報。そのためセキュリティコードの入力が必要なショッピングサイトは、カード番号だけで利用できるサイトよりも安全性が高いことになる。

また、よりセキュリティの高い3Dセキュアを導入しているサイトもあり、こちらはカード番号のほかに、事前に登録したIDとパスワードを入力して支払いをする。カード本体にも記載されていない情報なので、もしカードを盗まれたとしても、犯人はIDとパスワードを入手しない限り、3Dセキュアを導入しているサイトでは支払いができない。

このほかにも近年では、ワンタイムパスワードを導入したサイトや、Apple Payや楽天ペイなどでカード番号を加盟店に通知せず支払えるサイトも増えつつある。ショッピングサイトからカード情報が流出して不正利用される被害は後を絶たないため、今後はカード番号を知らせずに支払える方法が普及していくだろう。

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■ 筆者プロフィール: タナカヒロシ(ライター・編集者)

普段は音楽やエンタメ関係の仕事が多いが、過去に勤めていた会社の都合でクレジットカード本を作ったことをきっかけに、クレジットカード、電子マネー、ポイントなどに詳しくなる。以降、定期的にクレジットカードのムック本を編集・執筆。3月8日発売の『最強クレジットカードガイド2017 本当にトクするカードの選び方・使い方=写真=』(角川SSCムック)では、編集統括および記事の大部分を執筆している。