東京・赤坂といえば、大企業の本社など数多くのオフィスがひしめきあい、ビジネスマンたちが行きかう街。同時に、都内きってのグルメタウンでもある。そんな赤坂に、接待に最適な雰囲気と料理を堪能できて、なおかつ手頃で他にはない個性的なランチが食べられる店がオープンした。それが今回紹介する「酒亭赤坂かねさく」(東京都港区)だ。

  • 赤坂駅から徒歩1分。古民家風の建物はすぐに目につくはず

こだわり抜いた至極の『熱燗』

赤坂駅のA1出口を出て徒歩1分。路地にひっそりとした落ち着いた佇まいの建物がある。「酒亭赤坂かねさく」は、古民家をリノベーションした2階建ての渋い雰囲気のお店。神田の老舗居酒屋『神田新八』の二代目であり、店主を務める佐久間丈陽さんと、「金子屋」などの居酒屋を手掛ける金子和央さんがタッグを組んで誕生した店なんだとか。

  • 店内はホッと落ち着ける雰囲気でゆっくり食事を楽しめる

  • 2階には大事なお客さまをもてなすにはもってこいの個室もあり

オープンにあたっての店のコンセプトは、佐久間さんが長年追求し続けている「燗酒」を赤坂で普及させたい、ということ。正直、日本酒を飲むときに燗をつけるか冷酒にするかって、そのときの気温や気分で考えていたし、そんなに考えたことがなかった。どうして燗酒にこだわっているのだろうか?

「燗酒というのは、お酒が本来持っている旨味や香りを引き出すということもありますけど、冷酒よりも燗酒の方が、飲む人にとって優しいんです。体に馴染みやすくて、抜けるのが早いので、二日酔いになりにくいんですよ。そういう日本酒の良さ、燗酒の良さをこの店で伝えられたいいなって思っています」(佐久間さん)

  • 珠玉の日本酒ラインナップをじっくりとことん味わいたい

『二日酔いになりにくい』という言葉に思いっきり身を乗り出してしまった。今まではウコンドリンクとかに頼っていたけど、そもそも飲み方によって体への影響が違うものなのか。う~ん、知らなかった!  とはいえ、燗酒といえばやっぱり寒い季節に飲むイメージ。これから迎える夏真っ盛りの時期にも、燗酒をおすすめする理由とは?

「じつは、夏の方が燗酒を飲んだ方が良いんですよ。どこに行ってもエアコンの冷気を浴びていたり、冷たい飲み物を飲む機会が増えて、体が冷えきってしまっているので。それをほぐすには温かいお酒を飲んだ方が、体には良いんです」(佐久間さん)

  • 燗酒用のメニューがズラリ

もちろん、燗酒だけでなく冷酒も提供しているので、最終的にはお客さんの好みにもよる。でも、体に優しくてより美味しくお酒が飲めるなら、飲み会や接待が多いビジネスマンにとっては、燗酒は酒宴の強い味方かもしれない。ちなみに佐久間さん、晩酌には毎晩燗酒を飲んでいるとのこと。先代であるお父さまが、純米酒に携わっていたため、最初からお酒を飲む際には燗酒で飲む習慣があったそうだ。

  • 冷酒のおすすもこんなにあり

「酒亭赤坂かねさく」でメインとなっている日本酒は、埼玉県蓮田市にある「神亀酒造」のもの。醸造アルコールを添加しない、100%の純米酒を、最低2~3年蔵で寝かせてから出荷するという、こだわり抜いたお酒だ。2~3年寝かせて落ち着いた状態のお酒を燗酒で飲むというのが、「神亀酒造」の方針で、お酒を造る段階から、燗酒で飲むように計画されているという。そんなお酒があること自体、知らなかったなあ。

  • お燗番が見守る中食事に合う温度まで燗をつける

燗酒は、お酒の銘柄や、注文した料理に合わせて全部温度を決めて燗をつけているそうで、お酒の温度を管理するスタッフ「お燗番」がいるというから、「燗酒の美味しさを知ってもらおう」という意気込みは並々ならぬものがある。そこで、今回は神亀酒造の「ひこ孫純米清酒」を賞味させていただいた。燗をつけるまえに見せてもらったお酒は、少し黄色がかっている。これは酒造り工程で脱色していないため。また、熟成させることで少しずつ色がついていくのだとか。飲んでみるとまったりとしていて、かなり強い味だ。しかし、燗をつけてからひと口飲んでみると、じつにすっきりとしており、燗をつける前と全然違う味に。とても良い飲み心地だ。こんなにも変わるものだなんてビックリ。こうした味の違いを、もっとも料理に合うように提供しているというから、日本酒好きにはたまらないはず。