米労働省が6月1日に発表した5月雇用統計の主な結果は、(1) 非農業部門雇用者数22.3万人増、(2) 失業率3.8%、(3) 平均時給26.92ドル(前月比0.3%増、前年比2.7%増)という内容であった。

  • 米5月雇用統計レビュー

(1) 5月の米非農業部門雇用者数は前月比22.3万人増と、4月の15.9万人増から伸びが加速した。市場予想の19.0万人増も上回った。好天の影響もあって建設業が伸びたのをはじめ、幅広い業種で雇用が拡大した。3カ月平均では17.9万人増と、ややペースダウンしたが、高水準を維持しており減速の印象は乏しい。

(2) 5月の米失業率は3.8%となり、2000年4月以来の低水準を記録。市場予想の3.9%を下回って改善した。ただ、求職者を含めた働き手の割合である労働参加率が前月の62.8%から62.7%に低下したことが失業率を押し下げた面もある。なお、フルタイム職を望みながらもパート職で勤務する人なども含めた広義の失業率(不完全雇用率)は7.6%となり、2001年5月以来の低水準に改善した。

(3) 5月の米平均時給は26.92ドルとなり、前月から0.08ドル増加。伸び率は前月比+0.3%、前年比+2.7%で、市場予想(前月比+0.2%、前年比+2.6%)を上回った。なお、前年比で伸びが加速したのは、今年1月以来4カ月ぶりだ。

今回の米5月雇用統計は、米連邦公開市場委員会(FOMC)の6月利上げを後押しする内容だったと言えるだろう。雇用者(非農業部門)が92カ月連続で増加し、失業率は18年ぶりの水準に低下している。焦点の賃金についても、堅調な伸びを示しており、今後インフレ上昇圧力となる可能性を示唆している。発表後には、今年の利上げ回数がFOMCの見通しである3回を上回り、4回に加速するとの見通しも浮上。3月利上げに続き、6月、9月、12月の3会合でいずれも利上げを行う確率が3割程度にじわりと上昇した。この雇用統計を受けて米国株が買われ、米国債が売られる(金利が上昇)とともに、ドルが上昇した。イタリア・スペインの政局や、米中貿易摩擦への懸念がくすぶる中、米5月雇用統計が沈滞ムードだった金融市場に喝を入れる格好となった。

執筆者プロフィール : 神田 卓也(かんだ たくや)

株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役調査部長。1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信(デイリーレポート『外為トゥデイ』など)を主業務とする傍ら、相場動向などについて、WEB・新聞・雑誌・テレビ等にコメントを発信。Twitterアカウント:@kandaTakuya