――Amazonプライム・ビデオで『アマゾンズ』をご覧になったという声を聞かれたことってありますか。評判はどんな感じだったのでしょうか。

Season1のころから、映画監督の方とか、ほかの撮影現場でも観ている人が多かったですよ。Amazonプライム・ビデオでしかやっていないにも関わらず、けっこうな反響がありましたし、評判もよかったです。ただ、まだまだネット配信で映画やテレビドラマを観るという習慣が世間全般に浸透していない印象ですね。これからネット配信による映画作品やドラマが当たり前になってきて、地上波では放送できないような映像表現や、実験的な内容の作品がもっともっと出てくるのではないでしょうか。一般大衆とのバランスを取りながら作るのではなく、一方向に尖った作品がどんどん出てくれば、視聴者にとっても選択肢が増えて、面白くなると思います。

――橘は映画『最後ノ審判』においても、アマゾン畜産計画の中心人物として悪だくみされていました。映画の出演依頼を聞いたときはどう思われましたか?

「えっ、やるの?」って驚きました(笑)。それというのも、やると聞かされた時点では、すでにスケジュールが出ていたからなんです。次、このあたりで『アマゾンズ』の撮影が入りますって聞かされて、そこで「もう撮影始まってるの?」と驚いたんです。わりと、そんな感じなんですよ。やることになったときには、すでに台本が届いていましたしね。

――初日舞台挨拶(5月19日)でも話されていましたが、4Cの黒崎に銃で脚を撃たれてのたうちまわる橘、というシーンで、あまりの痛みに慌てふためく様子がコミカルで、それまでの重厚に構えた橘のイメージとかけ離れていて注目されていましたね。あそこのパニックシーンは、往年のドクター真木を彷彿とさせました。

ハハハ! そこ(真木)とはあまりシンクロしたくないって思いながらも、あそこであんな言葉をしゃべって動き回ったら面白いかな、と思ってやっていました(笑)。

――橘はどんなことがあっても取り乱したり、慌てふためいたりしないかな、と思っていただけに、最後の最後でキャラクターを「崩した」のは、神尾さんの計算だったのではないかと思いました。

いや、計算というより、台本では「撃った! 撃った! お前、撃ったなァ!」としか書いていませんでしたからね。ここで何か芝居を入れたほうがいいですよねと石田監督に話したら、「じゃあ何かやっておいてください」って言われましてね。「向こうで黒崎と札森がしゃべっていますけれど、関係なしに芝居してください」とも言われたので、それでああいう演技になったんです。でもね、こういうときに限って三浦(孝太/黒崎役)も籾木(芳仁/札森役)もNGを出すんです。こっちはあいつらのセリフに被って行ったり来たりを繰り返しているのに、最初のテイクで札森がNG、次のテイクでは黒崎がNG、みたいな。お前らナメてんのか!なんて思いました。怒らないですけれどね(笑)。

――神尾さんは真木のような屈折したインテリや、橘のように冷徹な野心家をはじめ、多彩な役どころをこなす"カメレオン俳優"のお一人だと思いますが、善人と悪人とでは、どちらが演じる上で面白いですか。

それはやっぱり悪役ですよね。ただ明朗なだけの人物より、悪人のほうが何か含みが作りやすいというか、演じていて面白いですよ。最近になって、ようやく良い人の役をちょいちょいいただくようにはなったんですけれどね。悪役を演じるほうが、主人公とも対峙できますし、役を魅力的にできる部分がたくさんありますから。

――それでは最後に『アマゾンズ』を応援してくださるファンの方々に向かって、ひとことメッセージをいただけますでしょうか。

AmazonプライムでSeason1、Season2と観てくださり、その上で劇場に足を運んでくだされば、ありがたいですよね。やっぱり、作品を観ていただかないことには、我々俳優のやっていることは実を結ばないので、観客であるみなさまの応援があって初めて「完結」させることができます。ぜひ多くの人たちに映画『最後ノ審判』を観ていただいて、今の「仮面ライダー」はここまで来たか、と驚いてほしいです。地上波・日曜朝の「枠」を突き抜け、飛び越えた「世界」を感じてもらえればうれしいですし、それによって現在の状況が何か変わっていくかもしれません。

――『アマゾンズ』は映画『最後ノ審判』で完結という触れ込みですが、もしも今後、スピンオフ作品が作られるとしたら、ご興味がおありですか?

そりゃあ、出られるなら出たいですよ。そういう声は白倉(伸一郎/プロデューサー)さんに届けてください。橘が加納の上半身と下半身をくっつけようとする話を、ぜひ(笑)!

(C)2018 劇場版「仮面ライダーアマゾンズ」製作委員会 (C)石森プロ・東映