“環境問題”と聞くと、都市化の進んだ地域での話と反射的に捉える人が多いのではないか。だが、きょう26日(15:30~16:30)にフジテレビで放送されるドキュメンタリー番組『環境クライシス~凍てつく大地の環境難民~』で伝えられるのは、大自然に囲まれた国・モンゴルでの信じがたい現実だ。

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    モンゴルの子供=フジテレビ提供

番組のオープニングは、モンゴルの広大な山岳地帯・草原地帯の美しい空撮から幕を開ける。日本ではお目にかかれないスケール感に目を奪われ、環境問題とはほど遠い印象を受けるが、直後に映し出されるスモッグに覆われた光景で、これから恐ろしい現実を突きつけられることが想像される。

「人は馬の上で育つ」という言葉が伝わり、多くの遊牧民が暮らすモンゴルは今、信じられないことに“世界最悪の大気汚染”と言われているという。首都・ウランバートルの大気汚染の程度は、大都市・北京の2倍、世界基準に比較すると25倍にもなり、生活の上での具体的な支障が紹介される。その要因にあるのは、「ゾド」と呼ばれる現象。いかにもおどろおどろしい語感を持つワードだが、これは、地球温暖化による気候変動により、乾燥した夏の干ばつの後に大雪で厳しい寒さが続くという状況を指す。

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スモッグに覆われる町=同

そうなると被害が直撃するのが、たくさんの家畜とともに暮らす遊牧民たちだ。大雪に埋まってしまった動物の救出シーンにとどまらず、ゾドの被害の大きかった場所を訪ねると、あちらこちらに家畜の死がいが横たわるという衝撃的な光景が飛び込んでくる。遊牧民として立ち行かなくなった彼らは、仕方なく町に出てくることになるのだが、その結果、意外な理由で大気汚染を引き起こすことになる。

番組は全編を通して、とにかく映像が美しい。トナカイを家畜として昔ながらの生活をしているツァータン族という民族を取材しているのだが、400頭にもおよぶトナカイの群れは圧巻。5歳の幼い少女が、自分より体の大きい4頭のトナカイを引き連れる場面は、CGかと思うくらいの非現実感だ。

そんな映像が流れるだけに、突如登場する家畜の死がいや、町のスモッグといったシーンは、より一層衝撃的。しかし、気候変動を引き起こすと言われる地球温暖化の原因は、日本を含む先進国の責任が大きいのだから、異国の事象に驚いている場合ではないだろう。それに、日本でも近年、毎年のように豪雨災害が相次いでいる。

そこで番組は、環境汚染に対する日本における取り組みも取材。洋上風力発電、ANAの最新航空機、森ビルの緑化を取り入れた再開発といった事例が紹介されているが、これは、われわれ個人も意識を持っていかなければならない問題のはずだ。

モンゴルを代表する環境学の権威・バトジャルガル博士は、将来的に日本も含めた各国で、海面上昇による“大惨事”が起こることを忠告しているが、その言葉は、視聴者1人ひとりに突き刺さるに違いない。

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(C)フジテレビ