「R」にはたくさんの意味が込められている

渋谷ブリッジというネーミングには、多世代・異文化への「橋渡し」、渋谷と代官山という異なる顔を持つエリアの「橋渡し」をしたいという想いを込めており、渋谷に訪れる様々な世代・文化をつなぎ、東横線の記憶を次の世代へ受け継いでいくとともに、渋谷~代官山間の回遊性を向上しながらにぎわいを創出していく。また、待機児童や訪日外国人の受け入れなど、地域のニーズに応えながら、渋谷の南側エリアに新しい街の魅力を創出する施設を目指している。

  • 渋谷ブリッジロゴ(写真提供: 渋谷ブリッジ)

ロゴマークを見てみると、「SHIBUYA」と「BRIDGE」の頭文字が鉄道標識をイメージした菱形にデザインされている。「S」は多世代・異文化・エリアを「つなぐ」イメージ、「B」は線路の枕木の形状をモチーフにしており、さらに「BRIDGE」の「R」にアンダーバーを施すことで、「Rail‐Road(鉄道上部)」「Reborn(再生)」「Relay(継ぐ)」という言葉や、円の半径を表しカーブを意味する「R(アール)」を受け継ぐことを表現している。

  • 渋谷ブリッジA棟の現状。工事は8割完了しているという

  • 渋谷ブリッジA棟外観イメージ(写真提供: 渋谷ブリッジ)

  • 渋谷ブリッジB棟の現状。工事は8割完了しているという

  • 渋谷ブリッジB棟外観イメージ(写真提供: 渋谷ブリッジ)

道路を挟んでいるため、渋谷ブリッジはA棟とB棟に分かれてしまっているものの、それぞれの棟は線路跡地そのままに、カーブによってつながりを感じさせる空間となっている。建物の横幅10mからも、かつてここにあった東横線の線路を思い起こさせてくれる。

  • A棟とB棟の間には細い道路があるが、ふたつの棟の形からも、昔ここにあった東横線の線路がイメージできる

東急ホテルとはまた違う、多様なニーズに沿うホテルも

3階建てのA棟には保育所型認定こども園「渋谷東しぜんの国こども園 small alley」が入り、短時間保育への取り組みや子育て支援スペースなどの機能も備える。1階は自由通路も備えているのが特徴だ。

  • A棟の自由通路の現状

  • 渋谷ブリッジA棟 自由通路イメージ(写真提供: 渋谷ブリッジ)

  • 渋谷ブリッジA棟 こども園内装イメージ(写真提供: 東香会)

細い道路を挟んで向かいに広がる7階建てのB棟は、店舗&オフィスを備え、すでにオフィスエリアの入居者は決定済みとなっている。オフィスは入居者が自由に空間をつくることができる仕様の空間になっており、地域に新たな人々を呼び込む店舗やカフェなどの機能も備える。特に90平方メートルの広さとなる3階ルーフトップテラスは今後、緑の壁が立ち上がり、ショップやイベント空間として様々な用途に対応する空間として展開する。

  • B棟の3階ルーフトップテラス。この右側の黒い壁に、これから緑が生い茂る

  • 渋谷ブリッジB棟ホテル ホテルカフェ・ラウンジイメージ(写真提供: 渋谷ブリッジ)

  • 渋谷ブリッジB棟ホテル客室(ダブル)イメージ(写真提供: 渋谷ブリッジ)

  • 渋谷ブリッジB棟ホテル客室(ドミトリー)イメージ(写真提供: 渋谷ブリッジ)

官民連帯で取り組んでいる渋谷川の清流復活水を活用した「壁泉」での再生自体は、完成スケジュールがまだ明確にされていない。開発は地元住人にもヒアリングしながら進めており、実際に「渋谷ブリッジB棟と代官山エリアをつなぐ歩道はつくれないのか」等という声もあるという。広場と緑豊かな遊歩道とともに、渋谷ストリートと渋谷ブリッジがどのようなにぎわいをもたらしてくれるのか、至るところで工事が行われている渋谷駅の南側の完成が待ち遠しい。

  • B棟の先に広がる代官山エリア