ゴールドカードとはその名の通り、金色の券面がまぶしいクレジットカードのこと。クレジットカードを持っている人なら、一度は憧れたことがあるのではないでしょうか?
今回は一般のカードとの違い、ゴールドカードを持つことのメリット・デメリットについて解説します。
ゴールドカードって何?
ゴールドカードは、一般的なクレジットカード(以下、「一般カード」と呼びます)の上位に位置するカードです。一般カードが持つ機能に加えて、独自の優待サービスが充実しています。
優待内容はカード会社や種類によって異なりますが、一般カードと比べて付帯保険の補償内容が充実している・ポイントの還元率が高い、空港のラウンジサービスを利用できる、などの特徴が挙げられます。その分、一般カードに比べて年会費が高い傾向にあります。
また、ゴールドカードは基本的に、同じカード会社の一般カードよりも審査基準が厳しくなっています。多くは満30歳以上を入会の要件としており、満18歳以上とされることが多い一般カードに比べて、入会できる年齢が高めに設定されているケースがほとんどです(一部、20代向けのゴールドカードを発行している会社もあります)。
審査基準も厳しめで、入会要件として「本人に安定的な継続収入がある」ことを明記しているカード会社が多いです。さらに、実際に入会の申し込みをした際には、勤務先や年収、資産額なども審査に影響することがありますが、ゴールドカードの審査では一般カードよりも高い水準が求められるようです。
このように、一般カードよりも厳しい審査基準や高い年会費が設定されている分、ゴールドカードを持つ人は返済能力の高い人、つまり経済的な信用力の高い人とみなすこともできます。そのため、ゴールドカードは社会的なステータスの高さを示すツールとして使われることもあります。
ゴールドカードを持つメリット
ゴールドカードにもさまざまなものがありますが、主に次のようなメリットがあります。
<1>ステータスが高い
見た目もさることながら、「ゴールド」と名のつくカードを持っていると高いステータスの証にもなります。お財布にゴールドカードが入っていれば、お買い物や食事の会計の際に、さりげなくアピールできるかもしれません。
また、海外では身元保証などのためにクレジットカードの提示や決済を求められる場合があります。ホテルのチェックイン時やレンタカーを借りるといったときに、デポジットといって先に預り金を請求されるケースなどです。
ゴールドカードを持っていれば、ホテル・お店側もあなたに支払い能力があると判断し、スムーズにサービスを受けられることが期待できます。
<2>利用限度額が高い
ゴールドカードの利用限度額は、一般カードに比べて高く設定される傾向にあります。カードの種類や個別の審査結果によって異なりますが、100万円以上の設定になることも。高額なお買い物をするときに便利でしょう。
<3>ポイントの還元率が高い
お買い物代金に応じて付与されるポイントも、一般カードに比べて高い傾向にあります。一般カードではポイントの還元率※が0.5%(利用代金200円に対して1ポイント)程度のものが多いのに対して、ゴールドカードでは2倍の1%(利用代金100円に対して1ポイント)つくものが少なくありません。
また、ポイントの有効期限も比較的長めです。一般カードでは2年程度に設定されるものが多いのに対して、ゴールドカードでは3年程度、中には無期限になるものもあります。
※お買い物代金に対して付与されるポイントの割合
<4>会員特典が充実
クレジットカードの会員になると、カード会社独自のさまざまな特典が付いてきます。これも、ゴールドカードではより充実しています。カード会社・種類によって異なりますが、主に次のような特典があります。
ゴールド会員専用窓口
カードの利用やサービスについての問い合わせ、手続きの電話窓口が、一般カードの会員とは別になっています。フリーダイヤルで電話対応の品質が高いところが多いようです。
空港のラウンジサービス
国内外の空港にあるラウンジが利用できます(国内空港のみ対象のカードもあります)。ソファーやリクライニングチェアでくつろいだり、無料のドリンクを飲みながら新聞や雑誌を読んだりできるほか、有料でシャワールームや軽食が利用できるところもあります。
家族会員なら本会員と同様に利用できる、カードを持っていない同伴者でも1名までなら無料で利用できる、などとしているゴールドカードもあります。
ホテル・レストランなどの割引・優先予約サービス
カード会社と提携しているホテルやレストランを割引価格で利用できる、旅行やコンサート、演劇などのチケットを会員価格で購入できるなど、レジャー関連のさまざまな優待サービスがあります。
医療・健康の電話相談サービス
健康に関する悩みや不安、急病やケガにまつわる相談に、電話で対応してもらえるサービスを提供しているカードもあります。カード会社により、国内での日常生活上で利用できるところと、海外旅行中のみ利用できるところがあります。
充実した付帯保険の補償内容
カードに付帯する保険も、一般カードに比べて充実しているものが多いです。特に海外旅行保険では、旅行中の万が一の死亡やケガ、後遺障害で補償される保険金額の上限が、最高で5,000万円や1億円など高めに設定されているものや、旅行代金などの支払いでカードを利用していなくても補償の対象となる「自動付帯」になるものがあります。
また、一般カードでは対象外になることが多い、航空機の遅延や手荷物の紛失などでの損害をカバーする保険や、急病・出張など自己都合で旅行・コンサートなどにいけなくなった際にキャンセル料を補償する保険が付いているカードもあります。
上記を考慮すると、カードでの日常的な支払いが多い人、海外旅行に頻繁に行く人などにとって、ゴールドカードの特典はとても便利でしょう。詳細は、カード会社・種類によって異なるため、ご自身やご家族が興味を持てるサービスを豊富にそろえているものを選ぶと良いでしょう。
ゴールドカードのデメリット
一方で、次の点は注意したいところです。
<1>年会費が高い
ゴールドカードの年会費は、一般カードに比べて高めに設定されているものがほとんどです。カードにより差があり、安いもので年間2,000円程度、高いものでは2万円以上のものもあります。
初年度は年会費無料、2年目以降は利用状況(お買い物代金)に応じて割引されるカードもありますが、原則としては持っているだけで所定のコストがかかります。あまり使わないのに持っているだけでは、正直もったいないことになりかねません。
<2>審査が厳しい
上位カードという位置付け上、審査は一般カードより厳しめです。ゴールドカードを持ちたくても、誰でも簡単に作れるわけではありません。年齢が若い、カードを初めて作る、年収が低いといった状況がある場合、審査に通らない可能性があります。
また、過去にカードの利用代金を延滞したことがあったり、信用情報が悪かったりすると、より不利になるでしょう。
<3>ゴールドカードの中でも社会的ステータスに差がある
実は、ひとくちにゴールドカードといってもその種類は多岐にわたります。近年は比較的ハードルの低いゴールドカードも登場しており、年齢が若くても持てるものや、年会費が安めなものもあります。
ただし、こうしたカードは券面こそゴールドですが、それだけで社会的なステータスが高いという保証には、必ずしもなりません。特に海外では通用しないこともあります。
このように、ゴールドカードにはうれしい特典が豊富な反面、注意点もあります。自分にとって必要かどうか、十分に活用できるかどうかを検討して、申し込むと良いでしょう
※写真と本文は関係ありません
加藤梨里
ファイナンシャルプランナー(CFP(R)認定者)、慶應義塾大学スポーツ医学研究センター研究員
保険会社、信託銀行を経て、ファイナンシャルプランナー会社にてマネーのご相談、セミナー講師などを経験。2014年に独立し「マネーステップオフィス」を設立。専門は保険、ライフプラン、節約、資産運用など。大学では健康増進について研究活動を行っており、認知症予防、介護予防の観点からのライフプランの考え方、健康管理を兼ねた家計管理、健康経営に関わるコンサルティングも行う。