模型の新製品展示会「第57回 静岡ホビーショー」(主催:静岡模型教材協同組合)が、5月10~13日の4日間、ツインメッセ静岡(静岡県静岡市)にて開催された。身近なスズキ「ハスラー」から伝説のマツダ「コスモスポーツ」まで、多数公開されたクルマの模型をレポートする。

  • ツール系も含めた模型関連企業が計86ブースを出展

ヴィッツやプリウスPHV、身近な市販車をラジコンで

会場の話題をさらったのが、WRC世界ラリー選手権を戦う「トヨタ ガズーレーシング WRT/ヤリス WRC」のタミヤブースでの実車展示だ。「ヤリス」とは、おなじみ「ヴィッツ」の海外名であり、WRCで活躍するこのマシンも市販の「ヴィッツ」をベースとしている。

  • 会場には「ヤリス WRC」や「LB ワークス R35 GT-R」などの実車も

タミヤは、「ヤリス WRC」を1/10スケールの電動ラジオコントロールカーとして試作(今秋発売予定)。L字型のステーが張り出したドアミラーや、2段式の大きなリヤウイングなどの特徴的な部分は、ボディとは別のパーツでしっかりと再現されていた。

  • タミヤ「1/10 電動RCカー トヨタ ガズーレーシング WRT/ヤリス WRC」

手のひらサイズ(1/27スケール)のラジコン「ミニッツレーサー」を展開する京商は、前輪駆動の「ミニッツFWDシリーズ」に、マツダ「デミオ」に続く第2弾としてトヨタ「プリウスPHV」を追加(今月発売予定)。レーシングカーや走り屋御用達のクルマを走らせる従来の遊び方に加え、身近なモデルを操縦する楽しみ方を提案していた。電気を使う「プリウスPHV」は、電動RCカーにピッタリのモデルかも。

  • 京商「ミニッツFWD トヨタ プリウスPHV」

80'sなファミリアから現行ハスラーまでプラモに

青島文化教材社(アオシマ)ブースでは、旧車から現行車まで多種多様なプラスチックモデルキットを展開。1980年代に若者を中心に人気を博し、第1回日本カー・オブ・ザ・イヤーも受賞したマツダ「ファミリア」(今月発売予定)があるかと思えば、同じ1980年代車でもマイナーな日産「パルサーエクサ」(6月発売予定)も一緒に並んでいた。同モデルは「パルサー」のクーペ版で、日産で初めてリトラクタブルライトを採用したクルマだ。

  • アオシマ「ザ モデルカー 1/24 マツダ BD ファミリア XG '80」

  • アオシマ「ザ モデルカー 1/24 ニッサン HN12 パルサーEXA '83」

同社は、接着剤も塗装も不要のプラモデル「ザ スナップキット」シリーズを昨年末にリリースした。色付きのプラスチックをはめこみ式で組み立て、シールを貼れば完成という手軽なキットだ。これまでにスズキ「ハスラー」、トヨタ「プリウス」「86」といった人気の現行車が1/32スケールでモデル化されている。会場には11月発売予定のトヨタ「ヴェルファイア」の試作品も。さらに、レジェンド級のスポーツカーであるトヨタ「2000GT」の製品化も企画されているとのこと。

  • アオシマ「ザ スナップキット 1/32 スズキ ハスラー」

  • アオシマ「ザ スナップキット 1/32 トヨタ ヴェルファイア」(試作原型)

ミニカーは国産車のラインナップが充実!

会場には、ディテールまで実感たっぷりなミニカーの新製品も多数展示された。スパーク・ジャパンは、2018シーズンのF1モデルを早くもサンプルに。注目は、今季からホンダがエンジンサプライヤーとして参加しているトロロッソのマシン(10月発売予定)で、ドライバーの頭部を保護する安全装置“halo(ハロ/ヘイロー)”が印象的だ。

  • スパーク「1/43 F1 2018 Red Bull Toro Rosso Honda」

また、少量生産が可能なレジン製のミニカーは、多くのブースにわたって様々な車種が散見された。京商は1/12スケールで世界初の量産ロータリーエンジン搭載車であるマツダ「コスモスポーツ」(7月発売予定)をモデル化。ミニカー専門店キッドボックスは、1/43スケールの日産「セフィーロ」やトヨタ「カリーナED」など、ニッチな試作品の数々を並べていた。

  • 京商「1/12 samurai マツダ コスモスポーツ」

  • キッドボックス(CAM@製品)「1/43 日産セフィーロ(A32)30S ツーリング 1994年」

各年代の「スカイライン」が勢揃い! 充実の小道具も

そのほか、会場全体で目についたのが、各年代の日産「スカイライン」。もともと人気のある車種だが、昨年に誕生60周年を迎えた余波もありそう。写真で紹介するモデルのほかにも多数出展され、例えばアオシマは「ER34スカイライン」の4ドアセダンを完全新金型で商品化すると発表していた。BNR34(GT-R)ではないところがおもしろい。

  • オートアートのミニカー「1/18 日産スカイラインRSターボ スーパーシルエット1982 #11(前期型)」

  • ハセガワのプラモデル「1/24 ニッサン スカイライン GTS-R(R31)」

  • メイクアップは、トラストやニスモのデモカーとして活躍したBNR32を1/43のミニカーに

ユニークな周辺商品にも注目が集まっていた。精密なミニカーを取り揃えるイグニッションモデルは、「1/64 大黒PA駐車場ジオラマ」を参考出品し、コレクターにアピール。チューニングカーやカスタムカーをディスプレイすればそれっぽいし、同じ車種をたくさん並べて“オーナーズミーティングごっこ”をやるのも楽しそう。

  • イグニッションモデル「1/64 大黒PA駐車場ジオラマ」

また、ハセガワはプラモデルのフロントウィンドウに貼る色付きの透明シート「トップシェードフィニッシュ」(7月発売予定)をモデラーに提案。ひと昔前にはかなり普通に見られ、現在でも一部の車種が標準装備している、上部がブルーやグリーンなどのグラデーションとなったフロントガラスを表現できる。

  • ハセガワ「トップシェードフィニッシュ」と作例

会期後半の2日間には、陸上自衛隊富士教導団・自衛隊静岡地方協力本部の協力により、配備が開始されたばかりの最新鋭車輌「16式機動戦闘車」も来場した。戦車というとキャタピラーのイメージだが、こちらは路上での機動性に優れた8輪車! 究極のクルマと言えるかもしれない。タミヤが早速プラモデル化し、今夏発売予定とのことだった。

  • 陸上自衛隊の最新装備品「16式機動戦闘車」が会場エントランスに

  • タミヤ「1/35 陸上自衛隊 16式機動戦闘車」

国内外から大勢のファンが“模型の世界首都”静岡に訪れた4日間。東京ビッグサイトにて6月7日から開催される「東京おもちゃショー2018」や、同じく東京ビッグサイトにて9月28日から開催される「第58回 全日本模型ホビーショー」においても、今回同様各メーカーから発表されるであろう新製品に注目したい。